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原子力資料情報室通信339号(2002/8/30)より

原子力資料情報室通信339号(2002/8/30)より

使用済み燃料中間貯蔵のまやかし

澤井正子

 現在具体的に動いている使用済み燃料中間貯蔵施設の計画は、2000年11月に青森県むつ市の杉山市長が東京電力に対して立地可能性調査を要請したものだ。東京電力は2001年1月、むつ市内に現地事務所を設置し、4月から旧原子力船むつの母港・関根浜港南東約1キロの原野約20ヘクタールを対象とした調査を開始した。
 施設誘致の目的は、同市長が「金が付いてこない施設ならば誘致しない」と明言しているように、電源三法交付金や固定資産税などの財政資金の獲得である。むつ市の財政状況は危機的で、2001年度に作成された再建計画でも2004年度に赤字は約14億円に達すると試算され、市が赤字再建団体へ転落する可能性もある。
 東京電力は2002年4月、「立地に支障はない」という中間報告を行なった。しかし報告には、調査海域に漁業権を持つ関根浜漁協の協力が得られず、海上音波探査が含まれていない。今後「調査報告」をむつ市が検討し、施設の誘致を決定する手続きが取られると市側は説明している。しかし予定地に関して、2001年のむつ市9月定例議会で市長自らが「買収予定地は概ね決まっているようだ」と答弁しており、さらに東電が立地可能性調査を行なった地点の地主とすでに接触していることが地元紙に報じられている。むつ市の中間貯蔵施設問題は、住民合意のないまま行政と事業者によって建設への既成事実が積み上げられている。

住民投票条例を目指す動きも
 市長の独断的な誘致の表明に対して、市民も動きだした。東電への調査要請後の2001年9月30日、むつ市長選が行なわれ現職の杉山市長が当選した。しかし中間貯蔵施設問題では「凍結(菊池健治候補)」、「白紙撤回(石橋忠雄候補)」を訴えた2陣営の獲得票を合わせると杉山氏の「誘致」票(約12,000票)を3,300票も上回っており、市民の判断は決して誘致推進ではない。その後複数の住民団体が協力して「住民投票を実現する会」を発足させ、住民投票条例の制定を目指す動きも出ている。市が主催する住民説明会でも、「市民は施設に合意していない」、「(いくら約束しても)燃料がむつに居座るのではないか」、「立地した場合の防災対策はどうするのか」など、施設の安全性や核燃料サイクルの不透明性を危惧する意見が多く出ている。

市民を使った安全宣伝
 国・電力会社・むつ市は施設の誘致活動の一つとして、福島第一原発と東海第二原発内の乾式キャスク貯蔵施設に多数の見学者を送っている。写真は東海第二の施設で、2001年12月11日に稼働開始した。幅54メートル、奥行き26メートル、高さ21メートルの大型倉庫のような施設で、ステンレス製のキャスク24基を立置きで貯蔵する(全体で264トン)。
 このキャンペーンでは、一般市民に燃料が中に入っているキャスクを直接素手で触らせる、という常識では考えられないことを行なわせ、施設の安全性を宣伝するために利用している。表面線量率を確認したところ、福島第一はガンマ線:0.002mSv/h、東海第二はガンマ線:0.007mSv/h(自然放射線の約100倍)で、この他中性子線も考えると危険な値だ。この見学会への参加には15歳以上という条件だけで募集が行なわれているため、高校生でも参加可能だ。市民団体と当室が抗議要請を行なったが、むつ市も東電も「わずかな時間であり問題ない」とう回答で終始し、現在も続けられている。

中間貯蔵施設の概要
 核燃料サイクルが行き詰まる一方で、発生し続ける使用済み燃料対策として、国と電力業界は、原子炉等規制法を改正し(2000年6月施行)、発電所外の使用済み燃料「中間貯蔵施設」建設を可能とした。原子力安全委員会によって2002年6月にまとめられた指針(案)審議の経過等から、明らかになった中間貯蔵施設の概要は以下のとおりである。

・対象は原子力発電所から独立して立地される使用済み燃料貯蔵施設で、金属製の輸送貯蔵兼用乾式キャスクに燃料集合体を収納し、別の容器に詰め替えることなく貯蔵。
・貯蔵期間中・貯蔵終了後、検査などのためにキャスクのフタを開放することは想定しない(燃料取扱設備は設置しない)。
・貯蔵される使用済み燃料は、二酸化ウラン燃料と混合酸化物燃料(MOX)。
・貯蔵期間は40〜60年。
・国、むつ市、東電の協議では、貯蔵容量は使用済み燃料5,000〜6,000トン(原発50〜60基分)、建屋が1ないし2を想定。しかし指針(案)には貯蔵容量についての規定は一切なく、いくらでも増設が可能。東電の説明でも、増設や他社との共同運用の可能性もあることが明らかにされている。
・2010年の稼働開始を予定。

貯蔵の問題点
 指針(案)には、異例だが、「使用済燃料中間貯蔵施設における金属製乾式キャスクとその収納物(使用済燃料)の長期的健全性について(以下「健全性について」)」という専門部会から安全委員会への要望が添付された。これは施設内に燃料を取り扱う設備を設置しないため、現行の輸送規則を満足できない事態が想定されるためだ。現在使用済み燃料が輸送される場合、収納物の目視、未臨界確認のためのバスケットの外観目視など発送前検査が行なわれる。中間貯蔵施設から再処理工場への発送前検査でも同様の検査が要求されるが、キャスクの蓋を開ける設備を持たない場合、同様の検査は不可能である。そこで「健全性について」では、「…発送前検査の内容は、貯蔵中の金属キャスクの監視データ等の確認で代替できる。が…代替の考え方、その前提となるキャスクや収納物の長期健全性の知見の蓄積方法を安全委員会が検討することを希望する(省略筆者)」。キャスクや使用済み燃料の長期貯蔵の安全性確証データははこれから集める状態だと言っている一方で、40〜60年前の記録の再確認や貯蔵中の監視で安全は確保できるとしている。いつもの、安全なハズという「安全論」である。
 指針(案)の最大の矛盾は、貯蔵期間の40〜60年だ。40〜60年の明確な根拠は何も示されていない。仮に六ヶ所再処理工場が稼働したとしても、40〜60年後に稼働していることはあり得ない。第2再処理工場の実現性はさらに乏しい。この指針(案)が想定している中間貯蔵は、燃料を再処理工場へ搬出する前の一時的なものではなく、明らかに最終的処分前の「中間貯蔵」である。これは事実上の核燃料サイクル政策の変更を意味している。しかし使用済み燃料全量再処理という建前で再処理工場建設を進めながら、一方で燃料長期貯蔵という本音をなし崩し的に現実化させるのは、市民を騙すようなやり方だ。国や事業者は核燃料政策の破綻を認め、バックエンド対策だけでなく原子力政策全体を本音で市民と議論することを迫られているのである。
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