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原子力資料情報室通信369号(2005/3/1)より

原子力資料情報室通信369号(2005/3/1)より

六ヶ所村―ガラス固化体貯蔵建屋
安全審査に重大な誤り

澤井正子

 原子力安全・保安院は「高レベルガラス固化体貯蔵建屋」他の設工認審査中の2005年1月14日、日本原燃に対して安全解析のやり直しを指示した。日本原燃は、ガラス固化体の中心温度を500℃以下とする設計目標値を示していたが、再評価では冷却機能が設計通りにならず、500℃を超えることが明らかになった。

建屋を安上がりにする設計変更

 今回再評価の指示が出されたのは、英仏への委託再処理によって返還されたガラス固化体を貯蔵する施設の増設部分に関してである。「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」として運転され、既に892本のガラス固化体を受入れている建屋(仮称A棟=1440本分以下A棟)に加えて、設備構造の違う新たな建屋「B棟(=1440本)」が計画され、2003年12月に許可を受けている。2004年からこの施設の設工認審査を開始した保安院は、ガラス固化体の冷却性能解析に関して、原子力安全基盤機構にクロスチェックを委託した。その結果日本原燃の申請においては、解析の中で冷却空気の圧力損失(空気の流れが受ける抵抗)の値が実際より著しく過小評価されていることが判明した。もしも圧力損失が大きくなれば、冷却に使われる空気の流量が減少し、期待されたようにスムーズには冷却が行なわれなくなるため、ガラス固化体の温度が高くなってしまう。
 準備中図1に、A棟とB棟の構造の違いを示す。どちらの建屋も、冷却空気は入口シャフトから→貯蔵ピットの下→収納管の外側を通って貯蔵ピットの上部を抜け、出口シャフトから外部に排出される。基本構造はほとんど同じだが、建設コストを軽減しようとしたためか部分的に鉄骨や鉄板を割愛し、放射線遮へいのため迷路板の構造を変更した。申請では、この迷路板に関する解析が正確に行われていなかった。保安院の指示には、「B棟」と同様の設計で作られた再処理工場の「ガラス固化建屋(315本)」、「第1ガラス固化体貯蔵建屋東棟(2880本)以下東棟」、「同西棟(5040本)以下西棟」の崩壊熱除去解析(冷却能力)も含まれている。これらの施設は、事業所としての違いはあるが、すべて六ヶ所再処理工場の敷地内に並んで建設されいる。「ガラス固化建屋」、「東棟」は建設をほぼ終了、「B棟」「西棟」は設工認審査中である。

500℃を越えるとガラスの変質が始まる

 ガラス固化体は、ホウケイ酸ガラスといわれる硬質ガラスと高レベル放射性廃液を混ぜ、ステンレスのキャニスター(容器)にいれて冷やし固められた物だ。高レベル廃液をガラスと混ぜるのは、液体のままでは扱いにくいので固形化する固体のマトリックス(基質体)として利用するためと、ガラスの構造の中に放射性物質を閉じこめることを期待している。しかしもしガラスの温度が上がって,ホウケイ酸ガラスの融点(1150℃)よりは遥かに下であるが、転移温度といわれる温度領域(450−500℃)を超えると、ガラスは固体よりもむしろ液体に似てくる。610℃以上では,ホウケイ酸ガラスは結晶を生成しはじめる(ひび割れを生じる)ので、機械的強度と耐食性が減少する。同時に,閉じこめておくべき放射性同位体を含む化学物質の動きやすさ(易動度)が増し、ガラス内部から表面に移動しやすくなる。ガラスの最高温度を500℃に保つという目標値は、最低限どうしても守らなければならない値だ。ガラスが不安定化しはじめるまではわずか100℃で、余裕は少ないと考えるべきである。

500℃超の再解析結果

 指示を受けた日本原燃は、「B棟」、「ガラス固化建屋」、「東棟」、「西棟」の申請書の解析を再評価した結果を1月28日に公表した(表1)。圧力損失はほとんど倍の値に、逆に空気流量は1/2〜1/3に減少している。ガラス固化体中心温度は、設工認の申請値では約410〜430℃とされていたのに再解析では430〜624℃で、500℃を優に越え結晶化が始まる温度も超える可能性が確認された。貯蔵区域天井部コンクリートの温度も、60〜65℃以下の申請値に対して、77〜136℃という高温に達する。この結果について日本原燃は、「元請の石川島播磨重工のミス」として、既にほぼ完成してるガラス固化建屋と東棟は設計変更を行うと公表している。しかしこのようにいい加減な「設計ミス」をチェックできなかった日本原燃自らの責任には、何も言及していない。

安全審査は何を審査したのか

 最大の問題は、これら4つの建屋がすべて安全審査を終了し許可を得ていることだ。安全審査、設工認を通じてクロスチェックがかけられたのは、「A棟」だけである。なぜ今回、「B棟」の設工認の段階でクロスチェックがかけられたのか。この疑問に保安院は、「たまたまかけただけ」としてきちんと答えず、この問題を設工認の変更で誤魔化そうとしている。こんな大きな問題が、「たまたま」行ったクロスチェックで発見されるような安全審査とは、一体何を審査しているのだろうか。
 「B棟」の『安全審査書(2003年11月6日)』には、「8.貯蔵に対する考慮、…略…最も高温となる最上段に設置されたガラス固化体の表面温度及び中心温度は、それぞれ280℃及び410℃となるとしている。…ガラス固化体貯蔵時の冷却に対する考慮は、妥当なものであるとしている。これらの評価は、適切な計算方法及び計算条件により行われていることを確認した。」と、具体的温度条件をあげて許可されている。しかしこの条件での冷却は不可能で、固化体の健全性に重大な損傷を生じさせる可能性があった。私たちは、この問題は明らかに安全審査の重大な過誤と考える。「B棟」と3建屋を含む「再処理工場」の許可処分は取り消されるべきである。
 2月17日に開催された青森県の原子力政策懇話会へ、「B棟」の安全審査を行った第47部会長が意見を寄せている。「今回のミスも、仮に見過ごされたままであったとしても、実際にガラス固化体を収納した後、温度の監視を行うことになっていることから」と施設の安全機能を確認する安全審査の役割りを完全に放棄するような無責任な意見を述べている。
 さらに疑問は続く。次ページの時系列は、1月14日以降の調査で判明したこの問題に関する保安院と日本原燃の対応である。再処理工場のウラン試験開始前に、保安院はこの問題を把握していたが、指示を出したのは約1ヶ月後だった。これが原子力安全の実態である。
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