ホーム   最新ニュース   参加・支援する(会員制度)   問合せ・会員申込など   なぜ「脱原発」か  
英語版(ENGLISH)








原子力に関する基本的な用語の意味は?
原子力キーワードガイド
原子力キーワードガイド
1.核分裂のしくみ/2.原子力発電所の種類/3.原子力発電所の主な機器/4.核燃料サイクル/5.放射性廃棄物/6.事故/7.放射能、放射線・被曝/8.行政組織と法律/9.建設手続き/10.電気事業・電気料金


“CNIC EXPRESS” 原子力の現状を伝えるニュースや新刊の書籍、イベント案内など独自の情報が詰まっています。
★ご注意★
メールマガジンをご登録されますと配信サービスを取り扱う『(株)まぐまぐ』からのメールマガジンも自動登録されます。 申し訳ございませんが規約により当室のメルマガのみに登録することは現在可能ではありません。

当室ホームページに掲載した記事、『原子力資料情報室通信』からの記事をピックアップしてメールマガジンを発行しております。
まぐまぐ



 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2010/5/6 17:31:08 (2861 ヒット)

もんじゅの試験運転再開に抗議する

2010年5月6日
NPO法人 原子力資料情報室
共同代表 伴英幸

 高速増殖原型炉「もんじゅ」の試験運転再開には強い不安と深い疑問がある。
 ナトリウム漏えい対策を中心に改良工事が行われたといえども、「もんじゅ」本来の危険性、すなわち暴走事故の潜在的な危険は解消されたわけではない。また、ナトリウム漏えい事故は世界では二度、三度と繰り返している。
 「もんじゅ」の安全総点検が終わった後でも、ナトリウム漏えい検出器の不具合が続出した。このトラブルでは日本原子力研究開発機構(以下、原研機構)の品質保証体制や通報遅れに端を発した組織体制の問題が浮かび上がった。後者は14年前の手痛い経験が活かされず、当時の改善がまもられないまま机上のものだったことを如実に示した。
 設備の点検は万全というが、配管の内側の目視点検はほんの一部だけで、大部分は調べていない。燃料集合体も一体を点検しただけだ。この一体も貫通口がないかを確認し、外側を目視点検しただけで、燃料ピン一つ一つの検査は行なっていない。これでは、漏れていないから大丈夫と言っているに過ぎず、とうてい万全の点検とはいえない。「もんじゅ」は14年間も運転を停止し、動かないまま老朽化した設備なのである。
 設備に対してと同時に、これを運転する組織にも強い不安が残る。運転再開は新たな事故を待つようなものであり、とうてい認めることはできない。
耐震安全性も確保されたとは言い難い。耐震安全審査指針が改定された結果、以前には否定された活断層が認定され、敷地直下に2つの断層面があることが分かった。想定される最大規模の地震動の加速度は466ガルから760ガルに引き上げられた。30年も前に466ガルで設計され、これに基づいて20年も前に建設された建屋や機器類が760ガルにも耐え得るという。建屋・機器の「実力」で評価したというが、これらが持つとされた安全余裕を切り詰めた結果にほかならない。燃料集合体や一部の機器・配管類の最終的な耐震安全性は時刻歴波形を使って検討され、安全性が確保されるとしているが、観測地震データもない敷地で計算上作られた時刻歴波形の信頼性があるとは言い難く、まさにロシアンルーレットのようである。加えて、最大の地震動(760ガル)の策定に疑問が残る。震源断層面の不確実性(断層面の上端を4kmでなく3kmを基本とすべき)、その上の地盤減衰の不確実性(630mまでの地盤の減衰率は3%でなく1%とすべき)、水平動と上下動の関係の不確実性(直下の活断層を考えるなら水平動の3分の2の上下動でなく、さらに強くするべき)などを考えると、とうてい十分とは言えない。
いっそう深い疑問は原型炉「もんじゅ」はすでに原型炉としての意義を失っていることだ。次期実証炉へつなぐはずの原子炉は大きく炉型を変えているからだ。次期実証炉は出力を変えて2基建設するといわれているが、言葉の裏にある実態は、1基が原型炉として考えられているということだ。「もんじゅ」の10年程度の発電実績に何ら意義はなく、運転再開は極めて官僚的な対応に他ならない。
さらに加えて、2050年ごろから商業レベルで導入としているが、果たして高速増殖炉の実用化に意味があるのかどうか深い疑問がある。高速増殖炉の開発先進国はすべて撤退した。技術的困難、経済的困難、社会的合意の困難の3つの大きな困難が克服できずに撤退したのである。本格運転前にナトリウム漏れ火災事故を起こしたような日本の技術が、困難を克服できるとは考えられない。技術力の低下はそこかしこで指摘されていることである。また、実用化のためにはコストが原発並みに、あるいはそれ以下になって、この炉の経済的有利さが証明されなければならない。「もんじゅ」の建設費は軽水炉の7倍以上高く、遠い先の50年ごろからの実用化と言ってみても、何ら根拠のある数字ではない。スケールメリットなどが描かれてはいるが、現在の技術の延長上に経済的困難が克服できるとは考えられない。
加えて、高速増殖炉のプルトニウム増殖はプルトニウム239の割合が98%に達する超核兵器級のプルトニウムの増殖である。しかも、この再処理は核分裂生成物が少ないことから、原発の使用済み燃料の再処理に比べて容易といわれる。核拡散が深刻な状況に陥っている現代の国際社会にあって、このプルトニウムの取り出しが容認されることは考えにくい。社会的合意の面からも困難が克服できるとは考えられない。
「もんじゅ」の運転再開に抗議すると同時に、運転を即時停止して、高速増殖炉から撤退することを訴える。


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2010/4/19 16:12:37 (1613 ヒット)

2010年4月18日

日本原子力研究開発機構
理事長 岡崎俊雄 様
敦賀本部長 早麝ぐ 様

もんじゅ再開反対!現地抗議集会
呼びかけ団体
原子力発電に反対する福井県民会議
原水爆禁止日本国民会議
ストップ・ザ・もんじゅ
原子力資料情報室
反原発運動全国連絡会
現地集会参加者一同

ムダ、ムリ、無謀のもんじゅ再開に抗議

高速増殖炉原型炉「もんじゅ」再開は、多くの周辺住民や国民の不安を大きくしています。貴機構のこれまでの対応をみるとき多くの住民は、再会すれば予想もつかない事故が待ち受けていると受け止めており、重大な惨禍が住民に降りかかるであろうと懸念しています。住民の不安にこたえる努力を軽視し、年度内再開を最優先してきた貴機構の再開強行姿勢に強く抗議します。

14年以上も停止していた原子炉の再起動は世界に例がなく、ましてや事故を起こした研究開発途上の高速増殖炉です。もんじゅで、1次、2次を含む長大な配管の健全性はどこまで確実に確認できたといえるでしょうか。ナトリウム検知器の誤警報で明らかになった建設当初からの取り付けミス、屋外排気ダクト腐食の放置などずさんな品質保証体制は根深くあります。事故後に行われた安全性総点検にもかかわらず、実際に点検されていなかった実態も明らかになり、膨大な機器の点検が十分かどうかも疑問です。監督責任がある国の信頼も地に落ちました。

貴機構は建設当初は「ない」といってきた活断層の存在について、耐震見直しの結果、直下に白木―丹生断層とC断層の2本があることを認めました。しかし評価を変更したことについて、過去の過ちを反省する姿勢はなく、耐震評価に対する住民の質問書にも答えていません。
地震時にナトリウムが漏れても原子炉を停止しないことも明らかになり、事故再発の思いを強くせざるをえません。耐震評価はさらに見直すべきです。

研究開発から約半世紀。高速増殖炉開発総額に2兆円、わずか1時間しか発電していないもんじゅに9000億円の税金がつぎ込まれてきました。費用対効果なしで、さらに突き進む愚行はもう止めてください。

私たちは運転再開に強く抗議し、もんじゅの廃炉を求めます。

以上


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2010/4/1 22:42:39 (4106 ヒット)

緊急声明
「もんじゅ」の運転再開に反対する

事故後14 年以上停止していた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が、3月中にも運転再開されようとしている。これほど長期の停止後に運転再開した原発は世界にもほとんど例がなく、高速増殖炉では皆無である。
「もんじゅ」の事業者である日本原子力研究開発機構は運転再開の準備が整ったとし、国の原子力安全委員会もそれを了承した。しかし、冷却系等配管の点検、蒸気発生器伝熱管の未貫通の亀裂や穴あきの探傷、炉心燃料集合体の健全性調査はほとんど行われず、いかなる欠陥が潜んでいるかわからない。
一連の運転再開準備も、数百個にのぼる接触型ナトリウム検知器の点検漏れが「誤警報」によって偶然発覚したり、排気ダクトの腐食損傷が放置されていたなどずさんな実態が明らかになり、運転再開は四度も延期された。この先、未発見の重要な点検漏れがないとする保証はない。トラブルの対応においても、連絡遅れ等の頻発など組織の体質が改善されたとは思われない。経験者の多くが去り、人材面も問題である。このような状態で運転を再開することは危険であり、再び事故を起こす恐れが大きいと私たちは考える。
一方、「もんじゅ」の建設費が軽水炉の約5 倍と高いことから、実用化像としては、「もんじゅ」とまったく異なる構想に描き直されている。したがって、「もんじゅ」は、もはや実用化に向けた原型炉ではない。運転目的の「発電プラントとしての信頼性の実証」は、実用化像と大きくかけ離れていては実益に乏しく、「ナトリウム取扱技術の習得」に「もんじゅ」が不可欠なはずもない。「燃料や材料の照射試験」用にはすでに実験炉「常陽」がある。高速増殖炉推進の観点に立っても、「もんじゅ」の運転再開には意味がない。
しかし、最も根本的な問題は、そもそも高速増殖炉自体実用になる見込みがないうえに、高速増殖炉を運転すると核兵器に最も適した超核兵器級プルトニウムが容易に生産・取り出せることだ。
高速増殖炉は、プルトニウムの増殖により圧倒的な電力用資源が得られるとの期待から、他の原発に先立ち開発が始められた。しかし、開発は困難を極め、半世紀以上かけても実用に到らなかった。先行した米国、英国、フランス、ドイツ各国は、いずれも約20年前までにすべて高速増殖炉開発から撤退した。理由は、 軽水炉に比べても格段に危険であり、 経済的に成り立つ見通しが無く、 核兵器の製造に容易に結びつく恐れがあるからであった。ロシア、中国の炉は増殖炉とは無縁の濃縮ウランを燃料とする高速炉であり、フランスの新計画は放射性廃棄物対策の一環であって増殖炉とは関係ない。資源または軍用目的で残った国は日本とインドのみとなった。数十年先といえども、日本一国で未知の技術開発のかたまりである実用化を実現できるとは思われない。日本は、目下、厳しい国家財政の中で、多くの社会問題の解決を急がれている。無意味な「もんじゅ」運転に、危険を冒してまで毎年巨額の税金を投入し続けることは到底許されない。
以上の理由から、私たちは「もんじゅ」の運転再開に強く反対する

2010年3月31日
「もんじゅ」運転再開に反対する学者有志一同

「もんじゅ」運転再開に反対する学者有志一同(アイウエオ順)
淡川典子(元富山大)
新井栄一(東京工業大名誉教授)
石田紀郎(京都学園大バイオ環境学部)
井野博満(東京大名誉教授)
今中哲二(京都大原子炉実験所)
海老沢徹(元京都大原子炉実験所)
荻野晃也(元京都大工、電磁波環境研究所)
尾崎充彦(元大阪大工)
川野真治(同志社大工)
木原壯林(京都工芸繊維大名誉教授)
木野茂(立命館大)
小出裕章(京都大原子炉実験所)
小林圭二(元京都大原子炉実験所)
小村浩夫(静岡大工)
小山英之(元大阪府立大工)
佐藤進(京都大名誉教授)
正脇謙次(元京都大工)
白鳥紀一(元九州大理)
槌田敦(名城大)
朴勝俊(京都産業大)
橋爪健郎(鹿児島大)
馬場浩太(元広島修道大人間環境)
広瀬勉(元熊本大工)
藤井石根(明治大名誉教授)
藤田祐幸(元慶応大物理)
藤村陽(神奈川工科大)
細川弘明(京都精華大教授)
前田耕治(京都工芸繊維大工芸科学研究科)
宮内泰介(北海道大文)
三輪浩(信州大名誉教授)
山内知也
山口幸夫(和光大)
山田耕作(元京都大理)




緊急声明(説明篇)
「もんじゅ」の運転再開に反対する

14年以上にわたり停止していた福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」が、3 月中にも運転再開されようとしている。これほど長期間停止した後に運転再開された例は、数多い軽水炉でも世界に1 例しかなく、高速増殖炉では皆無である。この停止中にもトラブル等の発生が相次ぎ、予定された運転再開時期は四度も延期されてきた。このような「もんじゅ」の運転再開は危険であり、再び事故を起こす恐れが大きい。さらに、「もんじゅ」運転の意味、そして高速増殖炉開発自体には根本的疑問がある。したがって、私たち学者有志は「もんじゅ」の運転再開に強く反対する。
以下、反対理由をより詳細に説明する。

【理由】
1、点検や運転再開準備の実態は万全にはほど遠い
「もんじゅ」の事業者である動力炉・核燃料開発事業団(事故当時、現日本原子力研究開発機構、以下原子力機構)は、1995年に事故を起こした後、事後原因の調査、安全性総点検、再発防止等の改造工事、組織や安全体制の見直し、所管官庁や規制当局によるチェックを経て、点検や機器・系統の試験等の準備を終え、運転再開可能になったとしている。しかし、その実態を知るにつれ万全にほど遠いことが明らかとなった。
(1) 点検不可能な個所が数多く残されままであり、大幅に点検を省略したものがある
長年の停止中に発生あるいは進行しているかも知れない配管、特にナトリウムを抜き取ったり工事で切断等開口された冷却系等の配管内面は、開口部近辺を除き調査が不可能で実施されていない。
蒸気発生器(蒸発器及び過熱器)では、伝熱管に穴が開くと、加圧水型軽水炉の場合とちがい高圧の水もしくは水蒸気がナトリウム中に噴出し、激しいナトリウム・水反応が起こる。しかし、伝熱管の探傷装置の精度は極めて不十分であり、特に亀裂や小さい孔は検知できず、傷が貫通し同反応が起こるまで検知できない。
燃料集合体は、炉心燃料体、ブランケット集合体それぞれを代表し1体ずつしか検査されない。これでは少なすぎ燃料の健全性を確認したことにならない。
(2)安全性総点検にもかかわらず、多くの点検漏れが見つかった
施設内の到るところに取り付けてある接触型ナトリウム漏えい検知器が何百個も、最初の設置以来点検されていなかった。これも、たまたま「誤警報」の発生という偶然により発見されたにすぎない。
原子炉室からの排気ダクト(放射性物質を含む可能性のある空気の排気通路)の腐食による穴あきや減肉が放置されていた。
これら以外にも必要な点検や改善の漏れがないとする保証はない。
(3)事故時に問題となった組織の旧体質が改善されたとは思われない。
上記「誤警報」発生時に定められた連絡を遅らせたり約束していた連絡を行わないなど、連絡不備や過去のトラブル未報告などの問題が相次いだ。

2、「もんじゅ」は実用炉に結びつかない
(1)日本が描く高速増殖炉の実用化像は、「もんじゅ」とまったく異なる
「もんじゅ」の建設費が軽水炉の約5倍と高いことから、高速増殖炉を実用化するためには設計を根底から変えなければならない。
現在描かれている実用化像は、出力が「もんじゅ」の5倍以上と大きくなるため冷却の失敗による暴走の危険性がさらに高まるにもかかわらず、冷却系ル−プ数を3ル−プから2ル−プに減らし、代わりに配管口径を「もんじゅ」の1.5 倍に拡大するなど「もんじゅ」が持っている安全余裕を大幅に削る。さらに、機器間を逆U字形配管で結び、中間熱交換器と主循環ポンプを一体構造にし、蒸気発生器伝熱管を二重管構造にするなど、全体が多くの未知の新技術で構成される。これら新技術が果たして実用になるのか、経済性改善に結びつくか不明である。
(2)「もんじゅ」はもはや原型炉でない
「もんじゅ」は、当初、高速増殖炉開発における実用化2段階前の原型炉として建設された。原型炉は、実用炉像に似せ完結されたプラントとして作られ、それが工学的に成立することの確認を目的とするものである。しかし、実用化像として「もんじゅ」とまったく異なる型が描かれることになり、「もんじゅ」の高速増殖炉開発における位置づけは宙に浮いてしまった。実態はもはや原型炉ではない。
(3)「もんじゅ」の運転は意味が無く、無駄である
運転再開の目的として、「発電プラントとしての信頼性の実証」と「ナトリウム取扱技術の習得」が挙げられている。しかし、「発電プラントとしての信頼性の実証」は、実用化像と大きくかけ離れてしまってはあまり意味はない。「ナトリウム取扱技術の習得」は、「もんじゅ」でなくとも実験炉「常陽」や代替設備で可能である。
それ以外に、燃料や材料の照射試験が目的に挙げられることがあるが、それも照射実験装置を備えた実験炉「常陽」で可能である。
「もんじゅ」の運転再開は、たとえ高速増殖炉開発推進の観点に立っても意味がない。

3、高速増殖炉は危険が大きく、経済的にも成り立たない
(1)「もんじゅ」(高速増殖炉)は軽水炉にもない多くの危険性をもつ
暴走しやすい
冷却材が沸騰して気体の泡になると、核分裂連鎖反応がより盛んになる性質がある。また、燃料棒配列が乱れたり溶融したりして互いに近づいたり合体したりすると核分裂連鎖反応がより盛んになる。これらの性質が正のフィ−ドバック効果となって核分裂連鎖反応をより加速し暴走事故に到る危険性がある。一方、軽水炉では、一般に、いずれの場合も核分裂連鎖反応が減衰する方向に向かう。
大量に必要な冷却材として危険物のナトリウムが使われる
ナトリウムは水に触れると激しく反応し、その衝撃力が機器を損傷したり、爆発しやすい水素や腐食性の苛性ソ−ダを発生して爆発や機器の破損の原因となりうる。
運転中のような高温のナトリウムが漏れて空気に触れると、燃焼し火災事故につながる(1995年の「もんじゅ」事故)。これまで世界で138 件(アメリカを除く)のナトリウム漏えい・火災事故が報告されている。
ナトリウムがコンクリ−トに触れると激しく反応し、コンクリ−トの強度を失わせる。
燃料を直接冷やす一次冷却材ナトリウムは、強い放射能を帯びる。
ナトリウムは不透明なため、燃料操作など原子炉内作業を直接目で確認することができない。
燃料のプルトニウムは、放射能毒性が非常に強い。
地震に弱い構造
冷却材のナトリウムは水とちがい熱しやすく冷めやすいため、熱衝撃による破壊を防ぐため、配管や機器の肉厚を薄くしなければならない。結果として地震に弱い構造にしなければならない。
(2)高速増殖炉は経済的に成り立たない
巨額の建設費
危険性が大きいため安全対策に多額のコストを要する。実用炉の五分の一以下の規模に過ぎない試験段階の原型炉「もんじゅ」でさえ、直接の建設費だけで5886億円(「事業仕分け」時の予算担当部局資料による。以下同じ)を要した。
これを単位出力当たりで比較すると、軽水炉の約5倍に相当する。
多額の設計関連費、高額の維持管理費を要する
これまで「もんじゅ」の設計関連費用と維持管理費に、国費だけで約3200億円が費やされた。
停止中でも高額の維持管理費
「もんじゅ」停止中も、維持管理費に毎年約200億円、1日約5500万円を支出。
運転再開されるとさらに上積みされる。2010年度予算は233億円。
これ以外に燃料関係(製造、輸送、管理、核不拡散保障措置)の費用が必要
実用化への長期にわたる巨額の開発費
実用化をめざせば、今後数十年にわたり、高速増殖炉本体だけでなく高速増殖炉用核燃料サイクルの開
発にも多くの未知技術開発費が継続的に必要。その額は計り知れず、2010 年度予算では203億円。

4、核兵器製造を容易にする「もんじゅ」の運転
「もんじゅ」を運転すると、燃料を取り囲むブランケット部に、核分裂性物質であるプルトニウム239が約98%占める超核兵器級プルトニウムが溜まる。通常の使用済燃料とちがいブランケット部分は核分裂生成物(死の灰)が少ないため、再処理が極めて容易である。ブランケット部分を選択的に取り出し再処理することによって、核兵器に最も適した超核兵器級プルトニウムを容易に入手することができる。その超核兵器級プルトニウムを、「もんじゅ」は年間約62 キログラム生み出す。これは核兵器12 〜 30 個分にあたる。
「もんじゅ」の運転再開は近隣諸国はもとより世界の核情勢に緊張をもたらし、国際道義上許されることではない。

5、世界はすでに高速増殖炉開発から撤退
日本に先行して開発を始めた各国はすべて、約20年ほど前までには高速増殖炉開発から撤退した。軽水炉に比べても格段に危険性が大きく、経済的に成り立つ見通しがなく、核兵器拡散につながる恐れが大きいことが撤退理由となっている。
米国
核拡散の恐れから1977 年に原型炉(「もんじゅ」と同格)建設を凍結、炉心大事故(炉心崩壊事故)に関する安全論争をへて、最終的には経済性への疑問から、1983 年原型炉クリンチリバ−の建設を中止、高速増殖炉開発から撤退。
英国
蒸気発生器の大事故を経験後、1988年、経済性と将来の実用化に対する疑問から、当時のサッチャ−政権が運転中の原型炉PFR の廃止を決定、1994年、同炉の停止をもって高速増殖炉開発から完全に撤退。
フランス
1991年制定の「放射性廃棄物管理の研究に関する法律(バタイユ法)」によって高速増殖炉開発からの撤退を決定。稼働中の原型炉フェニックスと世界唯一の実証炉スーパーフェニックス両炉は、高速増殖炉から余剰プルトニウムの焼却および長寿命放射性廃棄物の核変換(核分裂させより短寿命放射性廃棄物に変換)研究用の試験炉に変更。その後、スーパーフェニックス炉は経済的理由から1998 年に停止、廃炉作業にはいった。フェニックス炉も、2009年に廃止された。
近年、2015年の稼働を目指すとして原型炉建設の話しが浮上しているが、これも、放射性廃棄物対策が目的の高速炉であって、電力源を目的とする高速増殖炉ではない。
ドイツ
1985年、原型炉SNR − 300が完成したものの、大事故(炉心崩壊事故)の可能性と影響をめぐる安全論争が沸騰。1991年、原子炉に燃料を一度も装荷することなく廃炉を決定。高速増殖炉開発からも撤退。
ロシア(旧ソ連)、中国
原型炉BN − 600が稼働中だが、米露合意による解体核兵器から回収された余剰兵器級プルトニウム処分のため一時的にプルトニウムが使われた以外、燃料には濃縮ウランが使われており、高速増殖炉ではない。ロシアの援助で建設中の中国の実験炉も同じ。
インド
実験炉が稼働中だが、建設中の原型炉も含め、民生用施設を対象とする国際原子力機関(IAEA)の査察対象から除外された。したがって、核兵器製造も念頭に置かれた原子炉と考えられるので論外である。

6、増殖は幻想、増えかたが遅すぎて無意味な「増殖」
高速増殖炉は燃えた量以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」と言われてきた。もんじゅは1.2倍が目標とされている(増殖比)。しかし、燃料の増える速度は非常に遅い。同じ高速増殖炉をもう一基立ち上げるため必要な燃料の量がたまるまでの年数(倍増時間)は、50年から90年にのぼる。再処理過程などで回収できないロス率が大きくなれば、倍増時間はどんどん長くなる。これではいつまで経っても二基目の高速増殖炉さえできないことになり、増殖の意味はなくなる。
軽水炉の使用済燃料から再処理して取り出したプルトニウムは、国際的な約束によって溜めておくことができない。この点からも、高速増殖炉実現の見込みはない。

【結語】
14年以上の停止中に、「もんじゅ」は機器等の劣化も進行し、いまだ気がつかない欠陥も少なくないと思われる。この間、事業主体の「原子力機構」でも経験者の多くが去っていった。準備中に発生したトラブルの数々やその対応を見ても、「もんじゅ」が安全に運転再開できるとは思われない。
「もんじゅ」の存在意義はすでに失われている。国家予算が厳しいなか、救済すべき社会問題が山積する日本の現状で、実現さえ不明な数十年も先のことに、今から毎年、運転・維持管理に巨額を要する「常陽」と「もんじゅ」の2基とも抱えて動かすことは、あまりにも無駄であり許されることではない。
高速増殖炉は、原発としては現在稼働中の軽水炉よりずっと早く開発が始められた。しかし、世界が半世紀以上かけても実用にならなかった。残った国は、事実上、日本だけである。しかし、数十年先といえども実用化の保証はまったくない。日本一国でもやれるとする独善的とも思われる姿勢が大きな禍根につながらないか懸念される。

「もんじゅ」の運転再開には、重ねて強く反対を表明する。

2010 年3 月11 日
高速増殖炉「もんじゅ」運転再開に反対する学者有志一同


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2009/12/18 16:53:37 (2463 ヒット)

原子力資料情報室は12月14日、原水禁国民会議と共同で、鳩山政権に高速増殖炉問題に関する要望書を提出しました。




2009年12月14日

内閣府
政務官 津村啓介様

原水爆禁止日本国民会議
東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館1F
議長 川野浩一 公印略

原子力資料情報室
東京都新宿区住吉町8-9曙橋コーポ2階B
共同代表 西尾漠 公印略

高速増殖炉開発予算の抜本的な見直しについての要請

行政刷新会議の事業仕分けで11月17日、「高速増殖炉(FBR)サイクル技術」が取り上げられました。そこでは、「もんじゅの再開はやむなし」とする一方、研究開発については「縮減も」としながら結論が見送られました。しかしもんじゅをはじめとする高速増殖炉開発は、多くの問題点を抱えています。以下、幾つかの問題点を申しあげ、再度、抜本的な見直しをお願いいたします。

 「もんじゅ」の再開については、財務省から「14年間運転停止しており、何らの研究成果が上がっていないにも関わらず、毎年莫大な経費を要している。来年3月に運転再開を目指しているが、今後とも莫大な経費を投入すべきか否か、必要性を検証する必要があるのではないか」と指摘がありました。別紙1「『もんじゅ』に開発意義なし」に示すように、「もんじゅ」の必要性については多くの識者から否定的な声があがっています。スズキ氏や鳥井氏らは高速増殖炉開発の意義は認めた上で、「もんじゅ」がその開発に必要なものでないことを述べています。開発されようとしている実用炉と「もんじゅ」がまったくの別物である点は、別紙2「『もんじゅ』と実用炉の主な違い」をご参照ください。
 残念ながら「もんじゅ」の実情を知る仕切り人がいなかったこともあり、必要性の検証はできずに終わっています。そのため「再開すべきでない」との結論に至らなかったとはいえ、「再開やむなし」は再開への疑問が多く残ったということでしょう。これで終わりではなく、「必要性を検証する必要」はいっそう重要な課題となっています。
 そこで、たとえ「再開やむなし」としても、2010年度は検証期間とし、予算は運転の維持費にとどめるべきだと思います。「もんじゅ」の運転関係経費要求額233億円の内訳を明らかにし、維持のために必要な費用とその余の費用を選別すべきです。なお、維持費についても、財務省の指摘の通り「毎年の実績を反映しつつ、経費削減を徹底的に行うべき」ことは、いうまでもありません。

 高速増殖炉サイクル技術の研究開発費としては203億円が、仕切りの対象となりました。財務省からは以下の点が指摘され、「本事業は当面凍結すべきではないか」と提言されています。
 第一に、急ぐ必要はないということです。「『もんじゅ』に関する研究ではなく、『もんじゅ』の次々世代の実用炉(2050年目途)に向けた研究であり、急ぐ必要はないのではないか。加えて、『もんじゅ』の運転再開の大幅な遅れにより、その後の実用化に向けた研究計画も大幅な遅れ。本研究についても大幅な後ろ倒しをすべきではないか」。
 次々世代の実用炉に向けた研究とはいえ、当面は次世代の実証炉(2025年目途)に用いる技術の開発につけられた予算です。その意味では、財務省の指摘に誤解があるのかもしれません。しかし、実用炉の計画が1967年の原子力研究開発利用長期計画で「昭和60年代の初期に実用化することを目標」とされて以来、逃げ水のように遅れつづけてきたことは周知の事実であり、2050年前にという現在の目標もさらに先延ばしされることは必至と見られています。むしろ必要なのは、そうした「失敗の歴史」の総括なのではないでしょうか。
 現原子力安全委員長の鈴木篤之氏は、東京大学教授であった1997年当時、「原型炉『もんじゅ』の次にくる実証炉の建設には反対だ。実証炉をつくらなくても、作った場合と同等の目標を達成できるような技術手法はあり、そうした考えを導入すべきだ」と表明されていました(1997年7月1日付電気新聞)。にもかかわらず、多額の予算を獲得することを良しとする官僚体質のもと、むだな実証炉開発予算がつけられつづけています。

 第二に、費用の額が大きすぎることが問題視されています。「そもそも『もんじゅ』に巨額の国費が投入されていることに鑑みれば、それ以外の関連研究開発は極力抑制すべきではないか」。
 実は高速増殖炉サイクル技術の研究開発予算要求は、203億円だけではありません。経済産業省も、「発電用新型炉等技術開発委託費」の名目で、実証炉の技術開発予算56億円を要求しています。他にも隠された開発予算がまだありそうです。
 なかでも、まったく不用不急なものとして、経済産業省の要求する「高速炉再処理回収ウラン等除染技術開発」費があります。「高速増殖炉が本格導入される2,050年以降」に、その使用済み燃料を再処理して得られる回収ウランから不純物を取り除く技術です。明らかに、削除されてしかるべきです。
 また、高速増殖実験炉「常陽」という、既に事業目的を失ったものについて、いまだに20億円近い予算が文部科学省から要求されています。「常陽」は、すでに高速増殖炉開発における役割を終え、一般的な照射試験炉となっていて、他の原子炉で代替できるものです。しかも2007年6月に事故を起こして以来、停止されています。

 第三に、民間中心で進めるべきという点です。「本研究は、民間出資により設立された株式会社が実施。実用段階の研究開発は、民間中心に進められるべきではないか」。
 本事業の"主体"である日本原子力研究開発機構の前身のひとつで高速増殖炉開発を行なってきたのは、旧どうねん(動力炉・核燃料開発事業団)です。どうねんは当時、「政府資金開発事業団」と揶揄して呼ばれていました。政府資金を引き出し、研究は民間に丸投げするという実態からです。
 1980年から2009年までの費用9032億円のうち民間から1382億円(15%)の出資があった「もんじゅ」について、文部科学省は「官民共同で進めている」と説明しています。本研究は商業目的の技術開発であり、そのような「官民共同」で済まされてよいはずもありません。予算の要求に際して官民の負担割合が明記されていないようでは、検討すらできないでしょう。



[別紙1]

「もんじゅ」に開発意義なし―原発推進派からもこんな評価

☆肩書きは発言当時のもの

高速増殖炉『もんじゅ』の建設については、電力業界はもう資金負担に応じきれない、計画そのものを白紙に戻して再検討してほしい――と事実上、動燃のプロジェクトから降りる姿勢を明らかにした。(1974年10月21日付読売新聞)

原型炉『もんじゅ』についての最近の情報は良く知らないが、いまでも10年前の設計で居眠りしたままやっているんだろうか。『もんじゅ』が完成したとき、『作ることにだけ意義のあった現代の遺物』にならないよう祈る。(ケネス・T・スズキ=米カリフォルニア大学、『原子力工業』1981年7月号)

大型MOX炉[プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料を用いるタイプの高速増殖炉の意]は開発意義が乏しい。(平岡徹=電力中央研究所特別顧問、2000年2月13日付福井新聞)

[もんじゅが高速増殖炉の実用化に役立つというのは]車の運転によって飛行機の運転に役立つと言っているようなもの。(鳥井弘之=日本経済新聞社論説委員、2000年2月16日付福井新聞)

もともと(もんじゅへの)期待感は薄いものがあった。(資源エネルギー庁関係者、2003年1月29日付電気新聞)

いつまでもだらだらと高速増殖炉を開発する必要性があるのか。(豊田正敏=元東京電力副社長・日本原燃相談役、2004年11月15日付福井新聞)

高速増殖炉原型炉「もんじゅ」を巡り、周辺住民が国の設置許可の無効確認を求めた訴訟で、最高裁は設置許可を適法とする逆転判決を下したが、裁判で勝利したはずの経済産業省の受け止め方は複雑だ。……旧通産省以来、同省の本音は核燃料サイクルの放棄だったとみていい。……しかし一度決まった国策、しかもすでに「もんじゅ」は7000億円を超える投資をしているだけにストップをかけることができなかった。今回の最高裁判決でさらに歯止めがかからなくなると予想される。省内には「反対と言っていた幹部はなぜ体を張らなかったのか」と歴代幹部を責める声が強い。(『エコノミスト』2005年6月14日号)

往々にしてもんじゅは動かすことに頭がいっていて、もんじゅを一体どういうふうに使うかということが、この14年間の空白の中で若干当事者、関係者含めて忘れ去られている。(田中俊一=原子力委員長代理、2009年8月18日第31回原子力委員会定例会議議事録)

過去、運転再開を4度延期し、14年間も停止したままの「もんじゅ」。政府は後継実証炉の利用技術などの検討をしているが、はた目には「ロードマップ」へのこだわりが強いようにみえる。いま一度、運営体制の抜本的な見直しを基本に、計画を再考してみてはどうか。(S.A.、『原子力eye』2009年10月号)



[別紙2]

「もんじゅ」とFBRサイクル実用化研究開発が目指す実用炉の主な違い


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2009/11/11 15:49:49 (2060 ヒット)

'09 もんじゅを廃炉へ!全国集会

再開はムダ、ムリ、無謀
4度目の延期であとがなく、来年2月?再開準備

事故で運転が停止してから満14年になる「もんじゅ」は、ナトリウム漏洩検知器の誤作動や屋外排気ダクトの腐食、ずさんな保守管理などが原因で4度の再開延期を繰り返してきました。しかし原子力機構は来年2月〜3月の再開に踏み切ろうとしています。
旧動燃の体質をひきずったまま、核燃料サイクル政策全体の行き詰まりをごまかすための再開です。スケジュール優先の再開は無謀であり、重大事故の再来が危惧されます。
再開に反対し、廃炉の声を結集しましょう。


'09 もんじゅを廃炉へ!全国集会 【終】

12/5(土)AM11時 敦賀市白木へ
敦賀市白木海岸(もんじゅ前)行き JR敦賀駅前午前10時出発
貸し切りバス代 往復1500円

午前11時 白木海岸抗議集会と原子力機構申し入れ

午後1時30分〜3時30分 もんじゅ廃炉を求める全国集会敦賀市民文化センター
 もんじゅの現状とこれから 原発反対福井県民会議 小木曽美和子
 またまた延期した六ヶ所再処理 青森核燃阻止1万人訴訟 山田清彦
 そこが問題!日本の核燃料サイクル政策 淑徳大教授 横山裕道

午後3時30分〜4時30分 市中行進 文化センター〜JR敦賀駅

午後5時30分〜7時30分 各地交流会 敦賀商栄会館(敦賀駅前)


全国集会に賛同してください。

郵便振替ロ座:
00760-6-50628
原発反対福井県民会議 もんじゅを廃炉へ!全国集会賛同費

個人賛同費 一ロ1000円以上
団体賛同費 一口5000円以上



'09 もんじゅを廃炉へ! 全国集会実行委員会
呼びかけ団体:原子力発電に反対する福井県民会議 / 原水爆禁止日本国民会議 / 原子力資料情報室 / ストップ・ザ・もんじゅ. 反原発運動全国連絡会
連絡先
原子力発電に反対する福井県民会議 〒910−0859福井市日の出3-9-3 TEL/FAX 0776-25-7784
福井県平和センター TEL 0776-2-5321 FAX 0776-27-5773

'09もんじゅを廃炉へ!全国集会ちらし


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2006/4/1 18:44:00 (2779 ヒット)

高速増殖炉開発の官民役割分担をめぐり原子力部会で議論

 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会では、原子力政策大綱を着実に実施していくとの構えで議論を重ねている。12月26日、2月3日の2回は高速増殖炉サイクルの実用化が議題で、12月の回には「ポストもんじゅ」なる言葉が登場してもんじゅに続く炉が議論され、2月の回はその炉の実現のための官民の役割分担がテーマだった。

 政策大綱に言うように、高速増殖炉の実用化像とそこに至るまでの研究開発計画は2015年ごろに日本原子力研究開発機構が提示し、国としての検討を行なうことになっている。現行はもんじゅの次の炉の担い手はいない。部会に提案された考え方案によれば、軽水炉発電相当分のコストとリスクは民間事業者が負担することを原則とするというものだった。運営主体は経済性の見通しが現実的な視野に入っている場合には電気事業者が実質的に運営を、そこまで到達していない場合には日本原子力研究開発機構と民間事業者が実施主体に参画することが有益とされた。

 曖昧模糊とした役割分担であるが、国が責任をもって開発を進めるべきとの主張が多かった。政策大綱での議論では軽水炉並みのコストで実用化されれば利用したいと表明した電気事業者だったが、原子力部会での議論は軽水炉相当分の負担を民間事業者に求めるものとなった。

 また、2010年から検討が開始される第二再処理工場についても、核不拡散性の高いものとするためには「国の役割は極めて重要」とした。この工場が高速増殖炉用に使用済燃料を再処理する位置づけとなれば、高速増殖炉開発における官民の役割分担に準じた形で整理するべきという基本的考えが示された。

 民間では負担が多くて担えない開発に対して国の負担で進めようとする姿勢がはっきりとみえる議論だ。


『原子力資料情報室通信』381号短信
情報は執筆時点のものです


※『原子力資料情報室通信』(月刊)は会員の皆様にお送りしております。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原子力資料情報室は脱原発のため活動する独立の調査研究NGOです。
賛助会費は年間6000円。正会費は年間10000円。
月刊『原子力資料情報室通信』などをお送りします。

データ集『原子力市民年鑑』(七つ森書館)もご活用ください。
無料メールマガジンも発行しています。“CNIC EXPRESS”http://www.mag2.com/m/0000066670.html

このWEBサイト http://cnic.jp/ をふくむ当室の活動は、会員の方々の会費および寄付によって支えられています。


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2006/1/22 14:18:00 (3093 ヒット)

もんじゅ改良工事で安全は確保できるか


 原子力長計策定会議がそそくさと「高速増殖炉サイクル技術の研究開発のあり方について」をまとめたのが2005年2月10日、1月末には中間とりまとめが出ていると予定していたためか、7日に西川一誠福井県知事が改良工事入りの了解を行なった。これを受けて、旧核燃料サイクル開発機構(現、日本原子力研究開発機構)は10年間止まっていた「もんじゅ」の改良工事の準備工事に着手した(本格着工は9月1日)。その後、申し合わせたかのように最高裁が5月30日、原告住民の主張を認めて設置許可を無効とした名古屋高裁の判決を覆した。12月、再審請求も棄却された。
 福井県知事の了解は、福井新幹線や福井県エネルギー研究開発拠点化計画への19億円の予算獲得などとの取引といわれている。
 「もんじゅ」運転再開の目的は“電炉としての信頼性の実証、▲淵肇螢Ε犲茲螳靴さ蚕僂粒領と原子力政策大綱で述べている。発電炉としての利用期間はおおむね10年程度で、その後には国際協力の拠点とするという。増殖炉としての位置づけは事実上放棄されているようだ。
 発電炉としての信頼性が実証できるかは怪しいが、仮に実証できたとしても、その次がない現状ではなんの役にも立たない。運転員も事故前からの人間は3分の1に減っているという。増員して経験をつんだ運転員が増えても、彼らが活かされる前途がない。ナトリウム取り扱い技術にしろ「もんじゅ」で行なわなければならない理由は何もない。「もんじゅ」が臨界を迎える前に当時の動燃事業団は、ナトリウム取り扱い技術はすでに確立されており、万全であると主張していた。「目視できないナトリウム中での燃料交換が確実にできること」などは「常陽」で済ませたと主張していた。
 高速増殖炉サイクル技術開発に1兆7000億円が04年度までに投じられてきた。このうち、「もんじゅ」への直接の投資は8100億円である。事故で止まっている間にも毎年100億円ほどの費用が維持管理のために費やされてきた。この先、改良工事に180億円、そして毎年の運転維持に150億円ほどかけることになるが、費用をかける意義は全くない。
 さて、改良工事は第一に、10年前にナトリウム漏れの原因となった温度計さやの取替えである。当該温度計さやは段つき構造となっておりナトリウムの流れの中で振動破損したことから、段つき構造でないものに変え、長さも短くする。研究上必要だとしていた"長さ"の必然性はやっぱり崩れ去った。12月12日からこの温度計の取替えが行なわれている。
 第二に、ナトリウム漏洩時の対策を施す。具体的には、早期漏洩検知のためにセルモニタを設置する。ナトリウムの抜き取り時間を短縮するためにドレン配管を追加したりしてドレン系統の改造を行なう。加えて、漏洩時の影響緩和策として壁・天井への断熱材設置、窒素ガス注入装置、ビデオカメラなどによる総合監視システムの設置などを行なう。がちがちの対策を取ったようだが、例えば、大口径のドレン管に変えても最終的なドレンタンクへの入り口は従来のままの径のようで、これで十分な効果が上げられるのか不安が残る。逆に、ここも大口径に変えると今度は熱衝撃でオーバーフロータンク自体の破損のおそれが高まる。
 事故後のナトリウム漏洩実験では床ライナに大小5個の穴が開いた。動燃事業団(当時)はナトリウムと鉄板との高温下での化学反応(溶融塩反応)についての知見を持っていなかったと言う。しかし、追加対策の中で、床ライナの厚みを増すことは全く考えられていない。
 第三に、蒸気発生器への対策である。具体的には、蒸発器伝熱管からの水漏れ=水・ナトリウム反応事故への対応として蒸発器カバーガス圧力計の増設と伝熱管内の水・蒸気の排水(ブローダウン)性能を高める放出弁の追加工事などが行なわれる。カバーガス圧力計は蒸発器に増設しただけ(過熱器は従来のまま)、圧力を伝える通信系統は一つしかなく、ここが故障すれば役に立たない。
 これらは、伝熱管の高温破損(ラプチャ)への対策として出てきているのだが、この高温破損について旧核燃機構は隠し続けていた。裁判闘争の中で原告側が明らかにしていったものである。追加対策によって、高温破損は防止できると安全評価しているが、高温破損に関する実験は過去に2度程度しかなく実証性に乏しい安全評価である。
 これらは主としてナトリウムに係わる対策であるが、これで「もんじゅ」の安全が高まったとは言えない。「もんじゅ」の本来の危険として指摘されている暴走事故や上部引き回し構造という配管設置の耐震安全性の弱点などは依然としてある。さらに10年の歳月は、ナトリウムの劣化、機器類や配管の劣化をもたらしているに違いない。11月1日から始まった「もんじゅ」安全性確認検討会(原子力安全・保安院原子炉安全小委員会の下部)が課題として掲げる「長期間使用していない機器・システムや燃料等の健全性を確認」がどの程度行なわれるのか? 機器類のすべてをチェックすることなど不可能で、住民が求める安全は確認されないだろう。なによりも健全性確認といってもその法的な枠組みがない。
 加えて、従来指摘されていなかった活断層が地震調査会の調べで分かってきたという。それによれば、浦底断層から滋賀県に続く柳ケ瀬山断層が連続したものとして、敦賀湾の海底でつながっていると指摘している。旧核燃機構は、建物や機器類の固有振動数は秘密のまま、想定外の地震であるが計算結果では大丈夫としている。その客観性を示すものはないのだ。調査はさらに若狭湾へと延びているが、調査結果は耐震設計を上回る恐れがある。改良工事でも「もんじゅ」の安全が高まったとはとてもいえない。
 原発に反対する福井県民会議を中心に当室も主催団体に加わって、「もんじゅ」の廃炉を求める大きな現地集会を12月10日に行なった。集会では、市民サイドの監視委員会を設置して改良工事の監視を進めながら、廃炉へ向けた大きな取組を進めていくことを確認した。
(伴英幸)


『原子力資料情報室通信』379号(2006.1.1)
情報は執筆時点のものです

※『原子力資料情報室通信』(月刊)は会員の皆様にお送りしております。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原子力資料情報室は脱原発のため活動する独立の調査研究NGOです。
賛助会費は年間6000円。正会費は年間10000円。
月刊『原子力資料情報室通信』などをお送りします。

データ集『原子力市民年鑑』(七つ森書館)もご活用ください。
無料メールマガジンも発行しています。“CNIC EXPRESS”http://www.mag2.com/m/0000066670.html

このWEBサイト http://cnic.jp/ をふくむ当室の活動は、会員の方々の会費および寄付によって支えられています。



 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/12/6 16:05:46 (2780 ヒット)

事故後10年・もんじゅの問題点

伴英幸(共同代表)

関連記事
http://cnic.jp/modules/news/index.php?storytopic=14


●改良工事でももんじゅの安全性は高まることはない

 もんじゅの欠点といえる炉心暴走の起こしやすさ、蒸気発生器での高温ラプチャの危険、配管類が地震に弱い構造であることなど、本来の欠点は改良工事によっても克服されていない。特に、高温ラプチャ問題ではカバーガス圧力計などの追加対策が計画されているが、十分とはいえず、これによって安全が十分に高まるとはいえない。また、従来指摘されていた活断層に加えて近くに想定外の活断層帯の存在が明らかになってきた。いま、もんじゅの耐震安全性が問い直されている。

●約12年間も運転しかったもんじゅを運転するのはきわめて危険

 10年止まり、改良工事が予定通りに進めば、運転再開は停止から12年後となる。この間にナトリウムの劣化、機器類の劣化、特に、2次系および3次系の配管類の劣化などが危惧される。問題は、これらすべてを調査・評価することができないことだ。定期検査でも原子炉や循環ポンプや蒸気発生器などは通常点検のみで十分には点検されてこなかった。また、改良工事による耐震性の低下もチェックされたとは言えず懸念される。

●もんじゅの改良工事、運転再開は予算の無駄遣い

 欧米各国が高速増殖炉開発をすでに止めている。このことは高速増殖炉の実用化が困難であり、他の方法が合理的であることを示している。つまり、開発の必要性はない。また、日本の評価で、プルトニウム倍増時間が最短で43年という計算結果を核燃料サイクル開発機構が公表している。これでは増殖に意味がないことを明らかにしている。経済性の点からも実用化はできないと言える。もんじゅに続く実証炉計画が宙に浮いているのもそのためだ。これでは、もんじゅを運転再開しても意味がない。
 再生可能エネルギーなど他のエネルギー源を追求した方がはるかに効果的で良い。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

原子力資料情報室は脱原発のため活動する独立の調査研究NGOです。
賛助会費は年間6000円。正会費は年間10000円。
月刊『原子力資料情報室通信』などをお送りします。

このWEBサイト http://cnic.jp/ をふくむ当室の活動は、会員の方々の会費および寄付によって支えられています。

データ集『原子力市民年鑑』(七つ森書館)もご活用ください。
無料メールマガジンも発行しています。“CNIC EXPRESS”http://www.mag2.com/m/0000066670.html


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/9/21 11:49:13 (4192 ヒット)

====================
ご協力ありがとうございました。2005/12/8に福井新聞に掲載されました。
もんじゅ廃炉広告
====================

「もんじゅ」廃炉の願いを新聞意見広告に

 「もんじゅ」の改造工事がこの9月に始められ、3年後には運転再開を行なおうとされています。しかし、10年間も事故で停止している原子炉の再開は、世界に例がありません。技術的に困難なのです。
 私たち5団体は、猛毒のプルトニウムを燃料とし、核暴走の恐れのある危険な「もんじゅ」を運転することには絶対反対です。多くの福井県民も不安を抱いています。
 このため私たち5団体は、10年前にナトリウム火災事故を起こした12月8日に、福井県民82万人にこの「もんじゅ」の危険性を訴えるため、地元の新聞に「もんじゅを廃炉へ」の意見広告を掲載しようと計画しています。
 賛同金は、個人1口500円、団体1口5000円。どちらも、できれば複数口をお願い致します。送付先は郵便振替00760-6-50628 原子力発電に反対する福井県民会議です。意見広告賛同金と明記の上、11月15日までにお送り下さい。ぜひご協力をお願いいたします。

原子力発電に反対する福井県民会議、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、ストップ・ザ・もんじゅ、反原発運動全国連絡会

『はんげんぱつ新聞』330号(2005年9月)より


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/7/6 15:15:28 (2622 ヒット)

7月16日(土)18:00〜(17:45開場)

会場  渋谷勤労福祉会館

報告集会「もんじゅ最高裁判決は違法!」

講師 海渡雄一弁護士

資料代 500円

主催 原発とめよう!東京ネットワーク

〈連絡先〉ストップ・ザ・もんじゅ東京03-5225-7213(AIR内)/大地を守る会03-3402-8841/原子力資料情報室03-5330-9520/日本消費者連盟03-5155-4765/たんぽぽ舎03-3238-9035
住民ひろば〒151渋谷区代々木2-26-5パロール代々木217
◎ 郵便振替え口座 
「 原発とめよう!東京ネットワーク」 00170-0-159426


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/6/28 13:48:37 (4543 ヒット)

行政を救うだけの最高裁判決
−「蒸気発生器伝熱管破損事故」、「炉心崩壊事故」を中心に−

元京都大学原子炉実験所 小林圭二

『原子力資料情報室通信』373号(2005.7.1)より


■もんじゅ裁判は情報取得の闘い


 最高裁判決の根源的な誤りを明快に説明された吉川健司弁護士の前論文につづき、ここでは、「蒸気発生器伝熱管破損事故」と「炉心崩壊事故」について、簡単な解説と最高裁判決の問題点を指摘する。
 「蒸気発生器伝熱管破損事故」と「炉心崩壊事故」は、高裁で争われた4つの争点のうち、高裁判決で「2次冷却材ナトリウム漏えい事故」とともに原告側の主張が認められた2点である。そこに到るまでの過程は、動燃(現核燃料サイクル開発機構)や国、原子力界が秘匿する膨大な情報の公開を求める闘いだった。
 原告は、その中から、安全上重要な科学技術的事実が安全審査で審査されていなかった事実を発見した。「蒸気発生器伝熱管破損事故」では、「高温ラプチャ」という現象が審査されていなかった。「蒸気発生器伝熱管破損事故」は、「評価の考え方」で「設計基準事故」として例示されている。1987年、英国の高速増殖原型炉PFRで多数本の蒸気発生器伝熱管破断事故が起こり、その規模は「設計基準事故」の想定を一桁上回るものだった。しかし、この事故は、日本はもとより世界の原子力界によって、数年間にわたり隠されていたのである。
 「炉心崩壊事故」については、その用語さえ、一審の途中まで目にしたことがなかった。拙著『高速増殖炉もんじゅ−巨大核技術の夢と現実』(七つ森書館)は1994年2月に上梓されたが、その中に「炉心崩壊事故」の用語は1度も登場しない。用語を知った後も研究の現状や方法がほとんどわからなかった。研究が被控訴人の動燃内に限られ、その成果が公開されていなかったからである。やむなくドイツへ出かけ、協力してくれる研究者の教示を受けた。その結果、もんじゅの「炉心崩壊事故」に関する安全審査には、最も大事な「遷移過程」の検討が抜けていることがわかった。そうした努力が高裁の判決となって実を結んだと思っている。

■蒸気発生器伝熱管破損事故

 原子力で発電するには、最終的に水蒸気を作らなければならない。水蒸気を作るため、加圧水型軽水炉のように、もんじゅにも蒸気発生器が設けられる。ただ、もんじゅは、ほぼ同じ構造をもつ2つの機器(材質が違う)、蒸発器と過熱器で構成されている。蒸発器で水を水蒸気にし、その水蒸気を過熱器がさらに高温にする。ここでは両者あわせて蒸気発生器と呼ぶことにする。
 蒸気発生器では、高温のナトリウムから水へ、伝熱管(細く長い金属管)の管壁をとおして熱が伝達される。よく知られているように、ナトリウムと水が触れると爆発的に反応する。もし伝熱管が破損し穴が開けば、水または水蒸気がナトリウム中に噴出し衝撃圧と熱が発生、つづいて水素と苛性ソ−ダを生じる。水素は蒸気発生器や冷却系配管を高圧にし、苛性ソ−ダは金属を腐食する。熱は周辺を高温にする。こうしたことが蒸気発生器や配管に悪影響を与えるが、なかでも隣接する他の伝熱管が破損される恐れがある。他の伝熱管が破損すれば、ナトリウム・水反応の拡大によって破損する伝熱管は増加し、蒸気発生器や配管への脅威はさらに高まる。このように、高速増殖炉では伝熱管の破損が伝播拡大することが、軽水炉の伝熱管破損事故と根本的に違う点である。
 高速増殖炉で蒸気発生器の「設計基準事故」を評価するとき、破損する本数を何本まで想定すればいいかが評価条件の最大のポイントである。もんじゅの安全審査では、最初の1本を含む合計4本の伝熱管がギロチン破断する場合と想定され、それに相当する水の噴出量が解析の条件とされた。それは、模擬実験で観測された最多伝播本数が2本であったことを根拠に、それに保守性を持たせるため1本加えたものとされている。
 しかし、英国の事故では8秒間に40本がギロチン級の破断をした。これは「設計基準事故」で想定した数の10倍にのぼる。予想外だった理由は、破損を伝播させるメカニズムが違っていたからだとわかった。模擬実験では、破損伝播の支配的メカニズムは「ウェステ−ジ効果」(苛性ソ−ダによる腐食とその噴射による研削との相互作用)だとされてきた。PFR事故はウェステ−ジではなく、「高温ラプチャ」だった。「高温ラプチャ」とは、ナトリウム・水反応の発熱で伝熱管が高温になり、強度が低下して内圧に抗しきれず破裂する現象である。金属類は数百度を境に、温度が高くなるにつれ強度が急速に低下するからである。「ウェステ−ジ」に比べ、「高温ラプチャ」は桁違いに大規模な伝熱管破断の伝播をもたらすことが、現実の事故によって明らかになった。もし「高温ラプチャ」を想定して事故評価をやり直せば、「評価の考え方」が示した基準を満たさない可能性がある。中間熱交換器(1次冷却材ナトリウムから2次冷却材ナトリウムへ熱だけ伝達し、放射性物質の流入は遮る機器)にかかる圧力はずっと高くなり、中間熱交換器が破損するかもしれない。中間熱交換器の伝熱管が破損すると、強い放射能を持つ1次冷却材ナトリウムが漏えいしたり、炉心に水素などが流れ込む恐れもある。その重大な「高温ラプチャ」が安全審査で看過されていた。高裁は、これを行政手続き上の重大な欠落として認めたのである。
 伝熱管が破れナトリウム・水反応が起こったとき、事故の拡大を防ぐには蒸気発生器への水の流入を停め、伝熱管内から水や水蒸気を急いで排出する必要がある。それを急速ブロ−という。急速ブロ−は検知器が発する水漏えい信号で作動するが、安全審査では、圧力開放板の作動信号により作動する条件で解析された。しかし、最高裁判決が確認された事実として挙げたように、この条件では「高温ラプチャ」の発生は防げないことが、のちの解析で明らかになった。核燃料サイクル開発機構はやむなく設置変更許可を申請した。ガバ−ガス圧力計(水素の発生による蒸気発生器内の圧力上昇によって伝熱管破損を検知)を安全上重要な機器に格上げし、重要機器としての基準を満たすため、それを増設する改善策である。設置変更は安全審査を経て許可されたが、このことは、とりもなおさず以前の安全審査に誤りがあった証左に他ならない。
 ところが、最高裁は、安全審査が「高温ラプチャ」を看過したか否かについていっさい明示しなかった。そのかわり、“設計どおりの操作が進めば、その発生の抑止効果を相当程度期待することができる”と述べ、最高裁自身で科学技術上の専門的判断を行なうというル−ル違反までして国を救済した。その根拠も、「設計基準事故」の解析で期待されていなかったカバ−ガス圧力計はもとより、運転員の判断と手動操作に頼るナトリウム中水素計にまで絶対的な信頼を置くという、申請者も卒倒するような判断を行なったのである。
 先述のように、この事故は長いこと隠されていた。原告が知ったのは約3年後、本誌193号(1990年8月)に投稿された匿名の内部告発論文だった。世界中の原子力学会・業界誌がその後も隠し続け、公式に紹介されたのは、前にも後にも、1992年英国原子力学会誌ただ1つである。やがて我々は、動燃自体が事故前の安全審査中に「高温ラプチャ」の実験を密かにやり、模擬伝熱管25本が破損していたことを探り出した。その結果は国へも報告されていなかった。事故後まもなく、技術者が英国へ調査に出張したこともわかった。実験報告書や出張報告書の開示要求が種々の手段を使って行なわれ、一審の結審間際にようやく入手することができたのである。

■炉心崩壊事故

 高速増殖炉の炉心には、軽水炉にない危険な性質がいくつかある。代表的な2点を上げると、チェルノブイリ原発と同じように冷却材が沸騰すると核分裂反応が盛んになることと、燃料棒が互いに近づいたり合体したりすると、やはり核分裂反応が盛んになることである。たとえば、停電で冷却材循環ポンプが停まると冷却材ナトリウムの温度が上がり始める。原子炉を停止させなければナトリウムは沸騰し、出力の上昇により炉心の温度は上昇、やがて燃料が溶融する。燃料が溶融し互いに合体(炉心崩壊)すると核分裂反応はさらに盛んになり、悪ければ核的爆発が起こる。放射性物質(死の灰)の放出につながる。以上が、もんじゅの安全審査で取り上げられた炉心崩壊事故のうち、最も影響の大きな「1次冷却材流量減少時反応度抑制機能喪失事故」のあらすじである。このように、炉心崩壊とは、高速増殖炉の危険性の特異さとその潜在力の大きさを象徴する事態である。
 ところで、上記の経路は、ポンプの停止とそのあとの原子炉停止の失敗という2つのトラブルの重なりを考えている。したがって、「評価の考え方」では、「事故(設計基準事故)より発生頻度は低いが結果が重大であると想定される事象」とされている。しかし、「高速増殖炉の運転実績が僅少である」から、「起因となる事象」や「事象経過」について十分に評価し、「放射性物質の放散が適切に抑制されること」を確認しなさいと要求している。原告は、安全審査が「事象経過」について十分審査せず、最も重要な「事象経過」の審査を看過・欠落させたと主張し、高裁はそれを重大な違法事実として認定した。
 炉心崩壊事故は、いくつかの特異な危険性が複雑に関与するうえ、現実の実験が不可能なため、事故の態様が必ずしもわかっていない。多くの経路が推定でき、どれが可能性が高いか定かでない。上記のような単一のシナリオを確定的に描くことはできないのである。その中で、当時もその後の知見でも、比較的可能性が高いと推定されている経路がある。それは、もんじゅで選定された、「起因過程」で炉心崩壊が一気に進み即発臨界となり核的爆発に到る経路ではなく、「起因過程」では炉心崩壊が徐々に進行し、溶融炉心のプ−ルが形成されていく「遷移過程」へ移行する経路である。最悪のケ−スでは、遅発臨界を繰り返しながら徐々にプ−ル領域を拡大し、最終的に全炉心規模の沸騰プ−ルが形成され、即発臨界となり核爆発を起こす。その結果、どの経路より大きい破壊エネルギ−を放出する。炉心崩壊事故の評価における「遷移過程」の重要性は極めて大きく、「遷移過程」抜きの炉心崩壊事故評価など無意味なのだ。
 ところが、安全審査で「遷移過程」は審査されなかった。審査を担当した斉藤、秋山両委員の証言でもはっきりしている。しかし、最高裁判決は、“安全審査において、遷移過程の事象推移についての評価を欠くと解するのは相当ではない”として高裁の判断を破棄した。その理由に、“海外の評価例、関連する実験研究等を調査”したという抽象的記述と、シミュレ−ション・コ−ドSIMMER-IIによる動燃の計算が挙げられている。まず、海外の評価例調査だが、米国では規制当局自身が「遷移過程」を解析評価し、ドイツでは推進、反対両グル−プに資金提供され、「遷移過程」の解析合戦が繰り広げられるなど、当時の海外では「遷移過程」の評価が積極的に実施されていた。それが日本の安全審査に反映されていない。実験面では、当時も今も部分的現象を模擬した小規模実験以外なく、「遷移過程」自体を推定できる実験研究は皆無に近い。一方、SIMMER-IIによる計算は安全審査とは関係なく、動燃が独自に実施したものである。しかも、動燃自身は精度に乏しいとして正式の評価手段に採用しなかった。ついでながら、SIMMERコ−ドは、その後の改良型も含め非公開であり、動燃内のごく一部の研究者以外使うことができない。学会で研究者間の検証にもさらされておらず、信頼性を知るすべがない。最高裁は、関係のないことまで勝手に持ち出して虚偽の“事実”を創作し、安全審査が「遷移過程」を評価した証拠を偽造したのである。
 炉心崩壊事故でも情報は秘匿された。動燃は、事故時の放出エネルギ−として380MJ(メガジュール)が最大だという計算結果を示し、耐衝撃計算には余裕をもたせ500MJを採用した。しかし、その陰には、992MJという結果を出した別のケ−スが秘匿されていた。原告はこの秘匿資料を入手するとともに、米国高速増殖原型炉クリンチリバ−では1200MJで、ドイツのSNR-300では925〜1110MJ(いずれも大気圧までの等エントロピ−膨張による仕事量)で評価を求められた事実と比較し、安全審査の不当を指摘した(高裁もそれを認めた)。
 しかし、最高裁は、“本件原子炉と規模、構造等が異なる”との理由で“本件安全審査を不合理なものということはできない”とし高裁の判断を破棄した。クリンチリバ−炉の規模(熱出力)はたかだかもんじゅの約1.36倍、SNR-300はわずか1.07倍にすぎず構造も極めて類似している。一方、放出エネルギ−値の違いは2倍からそれ以上大きく、規模等を理由にした最高裁の判断に根拠がないことは明らかである。
 最高裁は手続きの欠落を裁く法的役割を棄て、科学技術上の専門家になりかわり、原告側の主張をいっさい切り捨て国側の主張のみ一方的に採用し、高裁で認定されていない新“事実”まで創出して高裁の判決を覆した。行政追随ぶりの露骨さもここに極まれりである。


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/6/28 13:46:38 (4287 ヒット)

もんじゅ廃炉を目指す運動は終わらない―最高裁が言い渡した最低判決の問題点

もんじゅ訴訟弁護団 吉川健司

『原子力資料情報室通信』373号(2005.7.1)より


 2005年5月30日、最高裁第1小法廷は、もんじゅに係る原子炉設置許可処分の無効を確認した名古屋高裁金沢支部判決を破棄し、住民の控訴を棄却するという不当判決を言い渡した。

■高裁および最高裁における争点は何だったのか

(1)この裁判は、内閣総理大臣が1983年5月27日にした「もんじゅ」に係る原子炉設置許可処分が無効であるか否かを争った裁判であり、許可処分の効力を判断するため、原子力安全委員会が行なったもんじゅの「基本設計」の安全性にかかわる事項について審査する過程に「看過しがたい過誤、欠落」、すなわち違法性があったのか否か、そしてその違法性が重大なものであったのか否か、が名古屋高裁金沢支部における争点となった。
 最高裁判決には、極めて重大な問題があるのであるが、その点を理解する前提として、そもそも原子力安全委員会における「安全審査」とはどのようなものか、「基本設計」の安全性にかかわる事項について安全性が確認されるというのは、どのような場合をいうのかについて述べておく。
(2)さて、「基本設計」の安全性にかかわる事項について安全性が確認されるということは、「高速増殖炉の安全性の評価の考え方について」(以下「評価の考え方」)という原子力安全委員会自らが決定した審査基準によれば、次のとおりである。
 すなわち、「評価の考え方」に定められた各種の「運転時の異常な過渡変化」及び「事故」(両者をあわせて「設計基準事象」という)が起きたと仮定した上で、それらの事象が想定されたシナリオどおりに収束し、「評価の考え方」が定めている基準を守ることができる「基本設計」となっていることが、事故解析等によって確認されることをいう。例えば、「事故」の場合であれば、]Э瓦和腓な損傷に至ることなく、かつ、十分な冷却が可能であること、原子炉格納容器の漏えい率は、適切な値以下に維持されること、周辺の公衆に対し、著しい放射線被ばくのリスクを与えないこと、という基準が定められている。
 そして、上記の「事故」として想定されているものの中に、名古屋高裁金沢支部判決及び今回の最高裁判決において問題となった「2次冷却材漏えい事故」「蒸気発生器伝熱管破損事故」が含まれている。
 さらに、原子力安全委員会は、上記の「事故」より更に発生頻度は低いが結果が重大であると想定される「事象」(指針の第5項に定められているため、5項事象と呼ばれる)について、「防止対策との関連において、放射性物質の放散が適切に抑制されることを確認する」ことになっている(どのような「事象」を選定するかは申請者に任されている)。今回、問題となったのが「1次冷却材流量減少時反応度抑制機能喪失事象」、いわゆる「炉心崩壊事故」である。
(3)名古屋高裁金沢支部判決は、前記の、2次冷却材漏えい事故、蒸気発生器伝熱管破損事故に対応するための「基本設計」について、前記の 銑の基準が守られていると判断した原子力安全委員会の安全審査の過程には「看過しがたい過誤、欠落」があったとした。また、いわゆる「炉心崩壊事故」についても、「放射性物質の放散が適切に抑制される」と判断した原子力安全委員会の安全審査の過程には「看過し難い、過誤、欠落」があったとした。
 そして、名古屋高裁金沢支部判決は、「看過し難い過誤、欠落」があったと判断する前提として、様々な事実を認定した。
 代表的なものとしては、動燃自身が1995年のナトリウム漏えい事故を受けて、「基本設計」の変更許可申請を行なったこと(「基本設計」が安全であるというのであれば、変更許可申請は不要のはずである)、動燃が「高温ラプチャ」という現象が発生することを自らが実施した実験によって知っていながら、原子力安全委員会へその実験結果を報告せず、原子力安全委員会は、その実験結果についての情報を知らないまま、「高温ラプチャ」現象についての安全審査を何もせずに、蒸気発生器伝熱管破損事故に対応するための「基本設計」が安全であるとしてしまったこと(なお、1987年には、イギリスの高速増殖炉において蒸気発生器伝熱管破損事故がおき、その事故において「高温ラプチャ」という現象が発生したことが確認されている)、いわゆる「炉心崩壊事故」に関し、動燃は、発生するエネルギーの数値が高い解析結果は記載せず、その数値が低く、原子炉の安全性が維持されることが明らかな解析結果のみを記載した申請書を作成し、安全審査会は、当該申請書をほぼそのまま追認する安全審査を行なったこと、などがある。
(4)名古屋高裁金沢支部判決が認定した上記の事実は、「原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する」(民事訴訟法321条1項)はずであるから、最高裁も高裁判決が認定した事実を前提として判決をしなければならない。
 したがって、最高裁における争点は、高裁判決が認定した事実を前提として、安全審査に「看過し難い過誤、欠落」すなわち違法性があったのか否か、そしてその違法性が重大なものであったのか否かになるはずであった。
 ところが、最高裁判決は、高裁判決が認定していない事実を「原審の適法に確定した事実関係等」として書き加える一方、最高裁が書き加えた事実に矛盾する高裁判決が認定した事実はすべて無視した。そして、最高裁は、いわば勝手につくりかえた事実を前提として、前記の3つの「事象」についての安全審査の過程には何ら「過誤、欠落」はなく、従って、設置許可処分には何の違法性もなく、違法の重大性や明白性は問題にもならないとしたのである。

■最高裁判決は司法の役割を放棄したに等しい

(1)前記のように、最高裁判決は、いわば事実を勝手に書き換えたに等しく、これだけでも重大な問題がある。
 その上、以下に述べるように、今回の最高裁判決は、事実上、原子炉設置許可処分の効力を争う裁判を無意味にしかねない極めて問題のある判決となっている。
(2)最大の問題点は、安全審査の対象となる「基本設計」の安全性にかかわる事項に該当するかどうかは、主務大臣(経済産業省大臣、実質的には原子力安全委員会)の合理的な判断にゆだねられるとした点である。
 この判示の意味を、「2次冷却材漏えい事故」について考えると以下のとおりとなる。
 もんじゅの2次冷却材漏えい事故についての安全審査においては、2次冷却系からナトリウムが漏えいして燃焼しても、コンクリートの床に鋼製の床ライナーを貼れば、ナトリウムが燃焼落下することにより鋼の温度が上昇しても、鋼の融点がそれより高いので、鋼製の床ライナーが溶けることはなく、ナトリウムとコンクリートが接触することはない、したがって「基本設計」は安全である、とされた。
 しかし、1995年にナトリウム漏えい事故がおき、動燃が安全性を確かめるために燃焼実験を行なった結果によると、「溶融塩型腐食」という現象が起きた場合、鋼製の床ライナーが溶けてしまうこと、したがって、鋼製の床ライナーが薄かったり、湿度が高かったりすると、ナトリウムとコンクリートの床が接触する可能性があることが判明した。
 さて、最高裁判決は、前記のように、安全審査の対象となる「基本設計」の安全性にかかわる事項に該当するかどうかは、実質的に原子力安全委員会の合理的判断にゆだねられるとした。そして、国が鋼製の床ライナーの厚さをどのようにするかは、「基本設計」の安全性にかかわる事項ではなく、後続の「設計及び工事方法の認可」の段階で審査する問題であると裁判において主張したことから、最高裁も、その主張をそのまま認めた。
 ここで、原子炉設置の手続について述べておくと、経済産業省は、最初に「原子炉設置許可」を行ない、その後実際の工事を行なう段階において「設計及び工事方法の認可」を行なう。「原子炉設置許可」については、原子力安全委員会によって「基本設計」について安全審査が行なわれる。しかし、「設計及び工事方法の認可」の手続については、原子力安全委員会による安全審査はなく、経済産業省だけで決定することができる。
 つまり、原子力安全委員会が、鋼製の床ライナーの厚さをどのくらいにするかは「基本設計」の問題ではなく、後続の「設計及び工事方法の認可」の段階で審査する問題であり、原子力安全委員会が安全審査を行なうことではない、と主張した場合、裁判所は、その主張を基本的に認めなければならない、というのが最高裁判決の論理なのである。
 この最高裁判決によれば、恐るべき事態が生じかねない。
 そもそも、申請者(動燃)が、床ライナーの厚さが不十分なので、2次冷却材のナトリウムが漏えいした場合、コンクリートと接触するおそれがあります、などと主張することなどありえないのであるから、原子力安全委員会が、独自に安全審査を行ない、床ライナーの厚さが十分かどうかを判断する必要があることは、一般常識に照らしても明らかであろう。
 ところが、最高裁判決によれば、原子力安全委員会が、申請者の主張を鵜呑みにしてまともに安全審査を行なわなかったとしても、その後の裁判において、ナトリウムとコンクリートの直接接触は防止できると判断した、したがって「基本設計」の安全性は確認できた、床ライナーの厚さをどうするかは、「設計及び工事方法の認可」の段階で審査する問題である、と主張しさえすれば、裁判所は、原子力安全委員会の安全審査の過程に「看過し難い過誤、欠落」、すなわち違法性があると判断することができないのである。
 すなわち、最高裁判決によれば、国が、この点は、原子力安全委員会が安全審査を行なうことではないと裁判で主張しさえすれば、安全審査の違法性が認められることはおよそなくなってしまいかねないのである。
(3)国は、この裁判において、床ライナーの厚さをどうするかは、「設計及び工事方法の認可」の段階で審査する問題であり、原子力安全委員会の安全審査の対象ではないと主張したが、名古屋高裁金沢支部判決は、この主張を採用しなかった。
 それは、前記のように、国が主張し、最高裁判決が採用してしまった論理を推し進めれば、原子力安全委員会が杜撰な安全審査を行なっても、裁判で負けることが事実上なくなってしまうこと、したがって、原子力安全委員会が、まともな安全審査をしなくなってしまう危険性に気付いたからであろう。
 ところが、最高裁は、国の主張をほぼそのまま認めたのであり、いわば、原子炉設置許可処分の効力を争う裁判における裁判所の役割を事実上放棄してしまったのである。
 原子炉設置許可処分の効力を争う裁判に対する最高裁の政治的意図を感じずにはいられない判決である。

■最後に

 確かに、20年間に及ぶもんじゅ裁判は、最後に、最低の判決によって終わった。
 しかし、裁判の終わりは、もんじゅ廃炉を目指す運動の終わりではない。
 例えば、地震に関する研究は相当進んでおり、地震についての安全審査にはかなりの疑問が示されている。その他、施設の老朽化、技術者の不足等の問題もあり、もんじゅ運転再開までには、いくつものハードルがある。
 住民がたたかいを続ける限り、もんじゅはいずれ廃炉に追い込まれる。そのとき最高裁は今回の判決を恥じることになるであろう。敗れたのは原告ら住民ではなく、国であり、最高裁である。


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/5/31 12:33:06 (6152 ヒット)

民事訴訟法に明確に違反したもんじゅ最高裁判決

海渡雄一(もんじゅ訴訟弁護団)


⇒伊東良徳弁護士コメント
⇒飯田哲也氏「むつの二の舞」
⇒原水爆禁止日本国民会議声明

『エコノミスト』2005.6.14
「もんじゅ設置許可適法の判決喜べない経産省の本音」
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/


1 上告審は法律審である

 上告審が法律審であるということは、次の点を指している。
 上告理由は憲法違反に限定される(民事訴訟法312)。
 上告受理申立理由は判例違反と法令解釈に関する重要な事項を含む場合に限定する(民事訴訟法318)。
 原判決において適法に確定した事実は上告裁判所を拘束する(民事訴訟法321)。
 このように、高裁の事実認定を基礎に法律的に高裁判決に問題がないかどうかを判断するのが最高裁の本来の使命である。

2 最高裁の法律審としての役割を踏み越えている。

 ところが、今回の判決はこのような最高裁の法律審としての役割を大きく踏み越え、高裁判決の事実認定について、全面的に筆を入れて書き直したのである。このような判決は明らかに民事訴訟法321条に明らかに違反している。

3 最高裁判決の不可解な点

1)最高裁による高裁の確定した事実関係による拘束無視
・ 上告受理申立理由と判決の関係が全く説明されていない。
・ 上告受理申立理由のメインであった第1−3は無視し、第4−8を問題とし、各論についての事実認定そのものを判決の中で取り上げている。
・ 最高裁判決は冒頭に基礎となる事実関係を「原審の適法に確定した事実関係<等>の概要は次のとおりである。」として、1−26頁に原審の適法に確定した事実関係以外の事実を付加して基本的事実関係として認定しているが、この中には原判決に基づかない事実が付加されている。しかし、最高裁の法律審としての制約からその根拠を示すことは不可能であり、結果として証拠に基づかない認定がなされている。
・ 逆に、原判決の適法に確定した事実関係のうち、最高裁の結論に矛盾する事実関係の多くが、根拠もなくこの認定から逸脱している。

2)無理矢理の事実認定によって事実誤認の続発

・ そして、十分な論争を経ないで、事実調べもなしに判断をしているため、最高裁は、ことごとく事実誤認を重ねている。
・ 例えば、ナトリウム漏れについて鉄板を敷くということだけが基本設計であるとするが、実際には変更許可において急速ドレーンの付加という変更がなされている。
・ 蒸気発生器の高温ラプチャについてはもともとの許可で発生しないことが確認されているとするが、そのような安全審査などされていない。既存の安全設備だけでは高温ラプチャの発生が不可避なために、カバーガス圧力計の付加など変更がなされているのである。
・ 炉心崩壊事故について遷移過程についても安全審査がなされているとするが、審査などなされていない。
・ このように、高裁判決には含まれない、誤った事実認定がなされた。

3)違法行政を追認救済する司法による行政のひいきの引き倒し判決

・ そして、最高裁は国が変更許可まで必要とした事件について、実はそのような変更は必要なかったのだといっているのである。行政追随と言うよりも違法行政を追認救済する司法による行政のひいきの引き倒し判決と評するしかない。

4 司法の著しい汚点

1)このような明らかに誤った判決が最高裁という最終審で、自判という形で下されたのは、司法の著しい汚点である。

2)もんじゅ廃炉で恥をかくのは最高裁である。

 10年も止まっているもんじゅは、これまでほとんど運転はしていないがナトリウムを循環させてきた。既に劣化して老朽化している。ほとんどの技術者が退職してしまっている中で、簡単に運転再開などできるはずもない。直近の断層による大地震の危険性を指摘する国の地震調査推進本部の見解も示されている。かならず、もんじゅのトラブル・事故など問題が続出するだろう。闘いをやめなければいつか確実に廃炉に追い込める。そのとき恥をかくのは最高裁の方である。敗れたのは原告ら住民ではなく、国であり、最高裁である。



 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/5/30 21:13:04 (4181 ヒット)

「もんじゅ」最高裁判決コメント

原子力資料情報室
2005年5月30日

 5月30日午後3時、最高裁は「もんじゅ訴訟」の判決において、もんじゅの設置許可を無効とした高裁判決を破棄し、原告住民の控訴を棄却した。これにより原告住民の訴えを退けた地裁判決が確定したことになる。
 20年にわたって闘い続けてきた原告住民の思いを踏みにじる文字通り最悪の不当判決である。
 長い時間をかけて真剣に弁論を行ない、それに基づいてなされた高裁判決を、最高裁は単に政治的な思惑のみで踏みにじった。まさに司法不信を強めるのみの判決にすぎない。
 最高裁判決によりもんじゅは延命され、改造工事を経て運転が再開されようとしている。しかし、判決によって安全性が担保されたわけではないことは言うまでもない。
 10年余も止まりっぱなしの原子炉を動かせば、今度はどんな惨事を招くか。そもそも設置許可当時の設置目的は失われており、判決の如何にかかわらず、もんじゅは廃炉とすべきものである。また、実用化の見通しは全くなく、破綻が明らかになっている高速増殖炉開発は直ちに放棄すべきだ。
 不当判決に抗議すると共に、改めて、もんじゅの廃炉、高速増殖炉開発の放棄を提言したい。


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/5/30 21:11:37 (3350 ヒット)

「もんじゅ」最高裁判決についての声明

 本日、最高裁は名古屋高裁金沢支部の判決を破棄し、我々の控訴を棄却し、もんじゅの変更前の設置許可を有効とする判決を下した。
 しかし、もんじゅ設置許可はナトリウム漏えい事故時の対策についてナトリウム溶融塩型腐食という重大事象を考慮に入れず、また蒸気発生器の伝熱管破損事故時の対策について高温ラプチャ現象発生の可能性について安全審査を欠落し、また炉心崩壊事故時については現実に発生しうる事故としての安全審査を欠落させたものである。
 ことは、万が一にも重大事故を起こしてはならないプルトニウムを燃料とする原子炉の安全性に関わる問題である。伊方最高裁判決の枠組みにしたがって判断すれば、安全審査の過程に看過しがたい重大な過誤欠落があったことは明らかであり、許可の違法性を認め無効を言い渡した名古屋高裁金沢支部判決は正当なものであった。
 ところが、この判決は、基本設計の安全性に関わるかどうかについても行政の合理的な判断に委ねられているとし、行政の判断の尊重を口実にして極端な行政追随を行うものであり、司法のあるべき姿とは大きくかけ離れた不当なものであって、我々は強く抗議する。このような判断の下では、原子力訴訟そのものが成り立たなくなってしまうであろう。
 もんじゅはプルトニウムを燃料とする、未だ研究開発段階の高速増殖炉である。世界的に見れば、高速増殖炉の「夢」は敗れ去り、アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス等では開発は終わりを告げている。我が国においても、高裁判決の指摘した危険性に加えて、開発目的も失われ、実証炉など今後の開発の目処は全く立っていない。
 我々は、このような不当判決に屈することなく、今後も、もんじゅを廃炉にすべく、なお一層の努力を尽くす所存である。今後とも、全国の皆様のかわらぬご支援をお願いする次第である。

2005年5月30日

「もんじゅ」訴訟原告団
「もんじゅ」訴訟弁護団
原発に反対する福井県民会議
もんじゅ訴訟を支援する会


 : 
投稿者: ゲスト 投稿日時: 2005/5/30 8:53:57 (2944 ヒット)

⇒もんじゅ裁判関係の過去記事(高裁判決など)はこちら

⇒2005/5/30の行動予定は:
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=143


さすが最高裁! と賞賛される判決を期待する

もんじゅ訴訟弁護団事務局長 福武公子

※原子力資料情報室通信371号に掲載
※『原子力資料情報室通信』(月刊)は会員の皆様にお送りしております。バックナンバーは1部300円です。
※図版は省略


 3月17日に最高裁判所第一小法廷で口頭弁論が開かれた。1983年の原子炉設置許可処分を無効とした名古屋高裁金沢支部の画期的な逆転勝訴判決(2003年1月27日)に対して国が上告して開かれた口頭弁論だったから、「高裁判決見直しか?」との新聞報道もなされたが、もんじゅ設置許可処分が有効か無効かを争う、最高裁で初めての原発に関する無効確認の行政訴訟であるから、口頭弁論が開かれるのは当然だ。
 ところで我々は、1992年7月17日、最高裁判所第三小法廷において開かれた口頭弁論において、「住民には訴える利益=原告適格がある」ことを主張し、9月22日、全員に原告適格を認める画期的判決がなされた。最高裁は、「もんじゅは研究開発段階にある原子炉である高速増殖炉であり、その電気出力は28万キロワットであって、炉心の燃料としてはウランとプルトニウムの混合酸化物が用いられ、炉心内において毒性の強いプルトニウムの増殖が行われるものであることが記録上明らかである」とした上で、原告全員について「原子炉設置許可の際に行われる原子炉等規制法24条1項3号所定の技術的能力の有無及び4号所定の安全性に関する各審査に過誤・欠落がある場合に起こりうる災害により、直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される地域内に居住するものというべき」として原告適格を認めたのである。その後の地裁・高裁における審理が「安全性に関する審査に過誤・欠落があるか否か」をめぐってなされたものであることはいうまでもない。

■国は、「無効原因には違法の明白性は必要」と主張するが……

 最高裁は法律審であり、地裁や高裁のような証拠調べを行なわない。最高裁は、高裁が適法に確定した事実を前提として、それに法令解釈を当てはめ、許可処分が有効か無効かを判断する。そもそも、高裁判決は、「原発は潜在的危険性を有する構造物であってひとたび重大事故が起これば脅威にさらされるのは人間の生存そのものであり、許可処分後に新知見が得られて新知見を前提にすれば安全審査に看過しがたい過誤・欠落があることが判明した場合には違法となるのだから、無効確認訴訟でも処分時に違法が明白である必要はない」として、「違法が重大かどうか」だけを論じている。
 国は、「高裁判決は、行政処分の無効原因として重大かつ明白な違法性を必要とする最高裁の判例に明らかに反する」と主張するが、動燃(現:核燃料サイクル開発機構)も国も安全審査において重要な知見を故意又は過失により見落とすという誤りを犯したのであるから、「違法が一見明白ではなかった」などと主張するのは、あまりにも住民を軽視するものであり、不合理である。マスコミも法学者も高裁の判示を支持しているのは言うまでもない。
 そうなると、最高裁における攻防のテーマは、.淵肇螢Ε爐鉄板上で燃焼すると鉄板が腐食して穴があくことを知らなかった、⊂気発生器伝熱管に孔があいて水がナトリウム中に噴出すると伝熱管が高温になって、高圧の水・水蒸気のために破裂することについて審査していなかった、G確舛溶融してゆっくりと再臨界に達して爆発するケースを考慮していなかった、という過誤・欠落がある安全審査を、「重大な違法」とみるかどうかだけとなる。

■国は、「稼働させた場合に重大な事故が起こる可能性が高いと認定される場合のみ、違法と言うべき」と主張するが……

 法的に言えば、事物には「違法か合法か」の区別の外に、違法の場合でも「重大な違法と軽微な違法」の区別がある。取消訴訟の場合には、違法と判断されれば取消が認められるが、無効確認訴訟の場合には、違法が重大でなくてはならないとするのが判例である。
 ところで、国は、「許可処分はそもそも違法ですらない」と主張し、「違法ではあったが、重大な違法とはいえない」という主張をしていない。これは、もんじゅ訴訟が伊方訴訟のような取消訴訟ではなく、無効確認訴訟であることをことさらに無視し、取消訴訟と同じレベルで論じようとするものである。
 95年にナトリウム漏洩事故が現実に起こり、ナトリウムとコンクリートが直接接触することを防止する鉄板に穴があく恐れがあることが判明してもんじゅが運転できなくなり、核燃料サイクル開発機構は、2001年に、ナトリウム漏洩事故が起こった場合には配管からナトリウムを早く抜き取れるように設備等を改良する変更許可申請をしたのだから、素直に考えれば、基本設計がまちがっており、許可は違法だったと認めればよさそうである。ところが、国は、「鉄板の厚さや形状は安全審査の対象ではなく、後日、詳細設計で考えるべきもの」「変更許可申請は従来の基本設計の適否とは無関係」と主張してきた。また、蒸気発生器についても、検出計を増強する変更許可申請を行なっているのだから、これまた、基本設計がまちがっていたことを認めればいいのにそうしていない。それはなぜだろうか。「安全審査については、原子力安全委員会等の専門技術的判断が尊重されるべきである」と主張しているところから見て、「裁判所は専門技術的知識や経験がないのだから、行政がおこなった判断を尊重すべきだ。越権行為をすべきではない」との意識があるのだろう。ただ、それを法律的に言おうとして、「裁判所は、原子炉を稼働させた場合に重大な事故が起こる可能性が高いと認定する場合だけ、違法と言うべきで、そのように認定ができない限り、許可は違法などというべきでない」としたのである。
 ところが、こうすると、今度は国の主張が伊方判決に抵触することになる。民事訴訟の場合には、原子炉を設置・運転した場合に、周辺住民の生命・身体に危害が加わる恐れがあるかどうかを裁判所が判断することになるが、行政訴訟の場合には、許可に至る過程における手続きや判断過程に過誤欠落があるかどうかをチェックし、過誤欠落があれば、もう一度行政に差し戻して判断させるのが裁判所の役割だと考えられているからである。施設や設備が安全であるかどうか見るために一定の事故を想定して、いろいろな仮定のもとに事故が収束するとして許可を下しているのだから、安全審査においては仮定が間違っていたときどうなるか等と言うことはそもそも検討されていない。それなのに、裁判所が、「事故がさまざまな経過を経て放射性物質放散の結果をもたらす重大な事故となる可能性が高い」などと認定・判断することができるはずはない。そう考えると、国の主張がいかに裁判所に不可能を要求するものであるかはよくわかる。

■取消訴訟と無効確認訴訟の異同

 高裁判決に対しては、「安全審査に過誤欠落があることが、『看過しがたい過誤欠落』へ、さらに『重大な瑕疵』へと無条件に結びつけられて取消原因と無効原因の区別があいまいにされている」とか、「放射性物質放散の具体的可能性まで言わなくても『重大な瑕疵がある』と認定出来る場合があるのではないか」という批判がなされている。確かに高裁判決は、違法の重大性をいうために、積極的に「原子炉格納容器に閉じこめられている放射性物質が外部に放散される具体的危険性を否定することができない」と認定している。しかし、前述したとおり、安全審査における事故解析において、重大な知見を見落として解析したことが判明し、その結果、判断基準に適合していると判断したことは誤りである、と認定できたとしても「その結果、事故はどのように進展していくか」は裁判所としては認定できないと考えられる。原発は他の工業施設と異なって比類のない高度の危険性を有しているのであるから、原子炉等規制法はその危険性を顕在化させないための極めて高度の規制を行なう法律であり、その判断基準は厳格に解釈されるべきである。そうすると、高裁のように踏み込むべきではなく、判断基準に適合しているとした審査がまちがっていれば、それだけで「看過しがたい過誤欠落」であり「重大な違法」と認定すべきである。

■口頭弁論で我々が訴えたこと

 最高裁第一小法廷は、泉徳治(最高裁事務総長・東京高裁長官)、横尾和子(厚労省・駐アイルランド大使)、島田仁郎(大阪高裁長官)、甲斐中辰夫(東京高検検事長)、才口千晴(弁護士、企業再建実務に詳しい)の5裁判官で構成され、もんじゅ裁判では福井県出身の泉氏が裁判長である。最高裁に係属した事件はまず調査官が調査するが、阪下勝調査官が担当であり、主席は高世三郎調査官である。
 3月17日午後1時30分、口頭弁論は開かれた。原告(被上告人)本人11名、代理人8名、元補佐人(小林圭二先生)1名、司法修習生3名が出頭して、バーの中には本人2名と代理人8名が着席した。傍聴席は、マスコミや特別傍聴券を受け取った当事者以外は、長蛇の列を作って12枚の一般傍聴券を獲得した傍聴人で埋まった。
 口頭弁論において、国は非常に消極的な態度を示した。提出した書面は上告受理申立理由書のみであり、口頭陳述は、岩渕正紀弁護士(元訟務検事であり、原発訴訟を多く手がける)が3分間行なっただけであった。変更許可がなされていることについてもいっさい触れなかった(もっとも裁判所も質問しなかったが)。それに対し、我々は、2003年10月23日付答弁書、2004年9月29日付答弁書補充書、2005年2月28日付答弁書補充書を提出した上で、小木曽美和子さんが本人として、国が最高裁判決を待つべきという大方の福井県民と国民の世論を無視し、設置変更許可によるもんじゅ改造工事に着手したことの不当性を訴えた。続いて、代理人6名が「行政がもんじゅのずさんな安全審査について非を認めようとしない以上、最高裁が、原子炉設置許可処分の適法性に関する、あるべき司法判断を毅然と示すことによって、安全規制行政のあり方を正すことが求められている。司法本来の使命を全うされることを切に要望して、2度目の口頭弁論とする」と堂々と主張した。裁判官は熱心に我々を見て、我々の主張に耳を傾けていたことが強く印象に残った。

■来るべき判決は国の上告棄却である

 適正かつ迅速な司法をめざして、裁判所における審理・判断が速くなってきた。最高裁で口頭弁論が開かれた場合、遅くとも数ヵ月で判決が言い渡されると見られている。国の主張が法的にみておかしいことに、最高裁は気づいているはずである。国の上告を棄却する判決が下されることにまちがいはない。万一、想定外の事故を起こして10年も運転を停止しているもんじゅにつき、安全審査に違法はなかったなどという判断を最高裁がしたならば、行政追随も極まったと言われ、司法の権威は地に落ちるからである。ただ、一つ気になるのは、変更許可がなされていることである。法的にいえば、変更許可によってもともとの許可処分の内容が一部にせよ変えられることになるから、場合によっては、変更許可の内容を審理すべきであるとして、高裁に差し戻す可能性も皆無ではない。
 いずれにせよ、もんじゅを廃炉にするための重要な時が近づきつつある。

=======================================================

もんじゅ改良工事入りは暴挙

伴英幸(原子力資料情報室共同代表)

※原子力資料情報室通信369号に掲載
※『原子力資料情報室通信』(月刊)は会員の皆様にお送りしております。バックナンバーは1部300円です。

 西川福井県知事は核燃料サイクル開発機構(以下、核燃機構)に対して、2月7日に「もんじゅ」の改良工事入りを了解することを正式に伝えた。これを受けて、核燃機構は年度内に工事に着手するという。
 年度内の了解と工事着工は予算をにらんでの政治的な暴挙である。同機構は改良工事の予算をすでに計上しているが、着工しなければその予算はカットされる。今回は2度目のカットの瀬戸際だった。他方、福井県は新幹線と県が進めるエネルギー研究開発拠点化計画への国の協力を取り付けた。どちらも予算確保を意識しての対応だった。
 県民世論が無視されたことは言うまでもないが、加えて、最高裁判決を待たずに判断したことは司法の軽視だ。今回の判断は過去の反省の上に立ったものとは言えず、将来に禍根を残すものだと思わざるを得ない。
 とはいえ、報道によれば福井県は「改造工事と運転再開は一連の事柄だが、節目で一つずつ着実に確認しながら、県民に理解できるような判断をしていく」と述べ、敦賀市は「運転再開とは明確に切り離し、工事のみを了承する」との態度だ。
 工事内容は、温度計鞘の交換、ナトリウム漏洩早期検知システムの導入、漏洩ナトリウムの早期排出パイプの拡充、蒸気発生器の漏洩検知装置の追加などである。これで万全の対策とはいえない。例えば、漏洩検知装置の追加は同じ配管上に数を増やすだけである。また、排出パイプの拡充といった追加工事が新たな欠陥を作り出す恐れもある。
 核燃機構は、工期は約2年、健全性確認に1年程度かけた後の2007年から本格運転に入るとしている。発電炉としての運転を10年程度行なった後は研究開発炉として利用するという。知事の了解発言に原発反対福井県民会議などの地元反対運動団体が相次いで抗議を行なうとともに、県民世論を再び盛り上げるために、上告棄却をもとめるハガキ行動を訴えている。
 報道によれば、中山成彬文部科学大臣は「新原子力開発利用長期計画でも最終的に再確認され、積極的に推進されるよう最善を尽くす」と述べたという。6日の同大臣と西川知事との会談の席上のことである。しかし、新長計での再確認は行なわれていなかった。
 新長計策定会議では高速増殖炉開発について何も議論されなかったに等しい。高速増殖炉でウラン資源が飛躍的に有効活用できるのかの議論、実用化の見通しがあるのかの議論、有力な選択肢となりうるのかの議論、これら重要な観点に対する検討・議論を求めたにもかかわらず、議論されなかった(「有力な選択肢」は2000年長計からの位置づけだが、しかし他の選択肢との比較検討は行なわれていない)。また、高速増殖炉開発なのか高速炉開発なのか、推進内での微妙な位置づけの違いも前回長計同様に表面化したが、高速炉に関する定義はなされないまま、論点整理という形でまとめられた。
 策定会議の議論の中での電力委員の対応は高速増殖炉開発の行方を暗示している。第16回会合の時に電事連会長の立場から「高速増殖炉サイクルの実用化までには信頼性や経済性を含めて解決すべき技術的課題が多いと理解しており、国が主体となって開発を進めていくことを期待いたします」と藤洋作委員が述べたきり、2人の電力委員は黙して語らず。「電力、逃げるな」という某委員のヤジにも沈黙を守ったのである。高速増殖炉開発が(現状では)実用化につながらないと、電力サイドが見ていることが態度に出ている。
 現行路線を追認した原子力委員会の言い分は以下のようだ。核燃機構が行なっている高速増殖炉の実用化戦略研究は2005年度末までに第2段階のとりまとめを行なう予定で進んでいる。そこで、少なくとも第2段階の取りまとめが出てくるまでは開発を加速するとか後退するとかの評価ができない。進行中の長計策定会議の審議日程からすれば、とりまとめを待つわけにいかず、とりあえず現状を維持するしかない。
 2000年長計は「もんじゅ」の早期運転開始を求めているが、これでは「もんじゅ」早期運転再開に意義がないことを証明しているようなものである。
 「もんじゅ」の意義とは、核燃機構によれば“電炉としての信頼性の実証▲淵肇螢Ε犲茲螳靴さ蚕僂粒領をあげているが、発電プラントとしての実証が陳腐なものであることは言うまでもないだろう。またナトリウム取り扱い技術は「もんじゅ」運転前から声高に「確立されている」と宣伝していたはずだ。「もんじゅ」改良工事に合理性はなく、それは第2の「むつ」へ向っているようだ。







原子力市民年鑑2011-12




まるで原発などないかのように


ほんとにだいじょうぶ?身近な放射線


破綻したプルトニウム利用 政策転換への提言


エネルギーと環境の話をしよう


申し込み・資料請求メールフォームへ
会員の方には、『原子力資料情報室通信』などをお送りいたします。会員制度についてはこちらをご参照ください。


政府や原子力産業から独立した立場を維持するため、活動資金は主に会費とカンパでまかなっています。ご協力をお願いします。
【カンパ送り先】
郵便振替00140-3-63145
原子力資料情報室


放射能ミニ知識web版






NEW OPEN★



Powered by XOOPS 2.0 © The XOOPS Project
Theme Designed by OCEAN-NET