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ウラン-235(235U)

半減期 7.04億年

崩壊方式
アルファ線を放出して、トリウム-231(231Th、1.06日)となる。ガンマ線が放出される。トリウム-231の崩壊でプロトアクチニウム-231(231Pa、3.24万年)が生じ、崩壊が続いて最後は鉛-207(207Pb)となる。

存在と生成
 天然ウランに0.720%含まれ、天然に存在する唯一の核分裂性放射能である。(「ウラン-238」も参照)

化学的、生物学的性質
 (「ウラン-238」を参照)

生体に対する影響
アルファ線による内部被曝が問題になる。不溶性の二酸化ウランの10,000ベクレルを吸入した時の実効線量は61ミリシーベルト、経口摂取した時は0.083ミリシーベルトになる。可溶性の硝酸ウラニルの10,000ベクレルを吸入した時の実効線量は6.1ミリシーベルト、経口摂取した時は0.44ミリシーベルトになる。(「ウラン-238」も参照)

「濃縮ウラン」の製造
ウラン-235同位体比の高い濃縮ウランが製造されている。核兵器製造にはウラン-235同位体比90%以上の高濃縮ウラン、軽水炉運転にはウラン-235同位体比3~5%の低濃縮ウランが必要である。
現在おこなわれている濃縮ウラン製造では、揮発しやすい六フッ化ウラン(UF6)を製造し、気体拡散法または遠心分離法によって濃縮ウランを得る。同じ工程を繰り返す必要があり、特に高濃縮ウラン製造には機密が多く、「ウラン爆弾」の製造は決してやさしくはない。

天然原子炉
1972年、フランス原子力庁は、アフリカのガボン共和国のオクロ鉱山で採掘されたウラン鉱中にウラン-235同位体比が0.62~0.64%と低いウランが存在すると報告した。ルテニウムとネオジムの同位体組成に核分裂生成物の影響が認められた。その後、同位体比が0.44%の試料も発見された。一連の結果は、ウラン-235同位体比が3%だった17億年前に核分裂の連鎖反応が自然に起きていたと解釈されている。これを「天然原子炉」というが、現在のところオクロ以外で天然原子炉は発見されていない。
これは、いくつかの条件が整えば天然で核分裂の連鎖反応が持続できるとする黒田和夫の予言(1956年)を裏付けるものである。

「劣化ウラン」と「減損ウラン」
濃縮ウランをつくると、ウラン-235同位体比が0.2~0.3%と低い劣化ウランが残る。現状では、劣化ウランは原子力利用には役立たないが、非放射性のふつうの元素のように利用しようとする動きがある。ジェット機の翼の錘に用いたこともあった。最近では、「劣化ウラン弾」のイラク戦争での実戦使用が問題になっている。健康に悪影響を与えているとみられる劣化ウラン弾の使用は禁止されるべきではないか。
減損ウランは、原子炉内で燃焼させたウランである。天然ウランと同程度のウラン-235が残っていて、濃縮すれば核燃料として再利用できる。ただ、ウラン-236(26U、2,340万年)などがあって放射性が高く、取扱いに注意すべきである。

放射能の測定
 (「ウラン-238」を参照)

 

放射線エネルギー(100万電子ボルト) アルファ線,4.22(5.7%), 4.32(4.4%),4.40(55%), 4.56(4.2%), 4.37(17%);ガンマ線,0.186 (54%)他
比放射能(ベクレル/g) 8.0×104
排気中又は空気中濃度限度(六フッ化ウラン、フッ化ウラニル、硝酸ウラニル等の六価の化合物、ベクレル/cm3) 2×10-7
排液中又は排水中濃度限度((二酸化ウラン、八酸化三ウラン、四フッ化ウラン等の四価の化合物、ベクレル/cm3) 2×10-2
経口摂取した場合の実効線量係数(二酸化ウラン、八酸化三ウラン、四フッ化ウラン等の四価の化合物、ミリシーベルト/ベクレル) 8.3×10-6
吸入摂取した場合の実効線量係数(二酸化ウラン、八酸化三ウラン、四フッ化ウラン等の四価の化合物、ミリシーベルト/ベクレル) 6.1×10-3
経口摂取した場合の実効線量係数(4価のウラン化合物以外の化合物、ミリシーベルト/ベクレル) 4.6×10-5
吸入摂取した場合の実効線量係数(六フッ化ウラン、フッ化ウラニル、硝酸ウラニル等の六価の化合物、ミリシーベルト/ベクレル) 6.0×104