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ラドン-222 (222Rn)

(ふつうは、ラドン-222をラドンといい、トリウム‐232(232Th)が崩壊を続けて生じるラドン-220(220Rn、56秒)をトロンと呼ぶ。)

半減期 3.824日

崩壊方式
アルファ線を放出して、ポロニウム-218(218Po)になり、さらに崩壊が続く。ポロニウム-218(218Po、3.05分)→鉛-214(214Pb、26.8分) →ビスマス-214(214Bi、19.9分)→ポロニウム-214(214Po、0.00016秒)→鉛-210(210Pb、22.3年)。ラドンがあれば、4種の短寿命放射能がある。

存在と生成
ウラン-238(238U、44.8億年)の崩壊生成物のラジウム-226(226Ra)がアルファ崩壊して生じる。岩石中のウラン1tに120億ベクレル(1.2×1010Bq)が含まれ、地球上の存在量は150京ベクレル(1.5×1018Bq)に達する。
土壌中ガスのラドン濃度は4,000~40,000ベクレル/m3の範囲にある。このようなガスが混入して大気中のラドン濃度が上昇する。
ある場所の屋内濃度は、その位置、換気の状況、周辺土壌のウラン含有量などによって大きく変動する。年間平均大気中濃度は0.6から30,000ベクレル/m3の間に分布するが、ふつうは10~100ベクレル/m3の範囲に入る。
日本では、平均濃度が13ベクレル/m3、最大濃度は310ベクレル/m3と報告されている。

化学的、生物学的性質
希ガスの一つで、化合物はつくらず、体内に入ってもすみやかに体外に出る。

生体に対する影響
天然に存在する放射能による被曝の中で、ラドンによるものがもっとも大きくなる恐れがあると考えられるようになっている。
ラドンによる内部被曝よりも短寿命放射能の影響が大きく、特に吸入した粉塵に付着した放射能から放出されるアルファ線が問題になる。10,000ベクレルを吸入した時の実効線量は0.065ミリシーベルトとしている。
肺の内部被曝がもっとも重視されている。以前からウラン鉱山で働く労働者に肺がんが多発していることは指摘されていたが、欧米では1970年代以後に一般家庭でのラドン被曝の影響が議論されるようになった。時には、ウラン鉱山周辺に近い高濃度になる。日本でも、この問題に対する対応が進みつつある。
コンクリートから放出されるラドンが注目されがちであるが、実際は土壌から放出されるものが重要である。床下では高濃度になり、木造家屋でも注意が必要で、換気を十分にして、被曝を軽減できるであろう。
国連科学委員会は、ラドン濃度を40ベクレル/m3、短寿命放射能との平衡達成率を0.4と想定した時のラドンによる年間実効線量は1.0ミリシーベルトと評価している(この値には±30%程度の誤差があると考える方がよい)。
アメリカ環境保護庁は、室内ラドン濃度をできれば75ベクレル/m3以下に下げることを勧告している。アメリカなどでは、不動産取引の際のラドン濃度の測定が義務付けられている。
短寿命のトロンとその崩壊生成物による被曝は、ふつうの場所では大きくない。

放射能の測定
水と大気が測定の対象になる。水からラドンを取り出すのはたやすく、大気からは活性炭への吸着などによって分離できる。試料採取から3時間以上経過後にアルファ線またはガンマ線を測定すればよい。
最近のラドン被曝に対する関心の高まりとともに、簡便な測定法も開発されている。プラスチックフィルムのアルファ線照射による放射線損傷を調べる方法はその一例である。

 

主な崩壊方式とエネルギー(100万電子ボルト) アルファ線,5.49 (99.9%)
比放射能(ベクレル/g) 5.7×1015
比放射能(ベクレル/cm3) 5.6×1013
排気中又は空気中濃度限度(ラドンの平衡等価濃度、ベクレル/cm3) 2×10-5
吸入摂取した場合の実効線量係数(ラドンの平衡等価濃度、ミリシーベルト/ベクレル) 6.5×10-6