JCO臨界事故総合評価会議
 
JCO臨界事故総合評価会議はJCO臨界事故の真相と影響を究明する市民サイドの研究プロジェクトです
事務局:原子力資料情報室・原水爆禁止日本国民会議
 
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プレスリリース                          

2002/3/1発表(水戸・県庁記者クラブ)
修正(2002/3/4)

JCO臨界事故・住民生活影響調査2002の単純集計結果について

・調査の目的・ねらい

 住民は、JCO事故から約2年半が経って、現在、どのような不安を抱いているのか。どんな悩みを抱えているのか。健康状態はどうなのか、などを目的に、2000年2月に0〜2km圏全体で行った住民意識調査に続いて、前回回答した世帯を対象に、「追跡調査」を行った。
 原子力安全委員会の調査委員会の報告書を批判的に検討し、事故の真相や問題点を明らかにする市民サイドの団体として、1999年秋に「JCO臨界事故総合評価会議」が、原水禁・原子力資料情報室・市民運動家・弁護士・研究者などによって組織されたが、この調査は、「JCO臨界事故総合評価会議」の第2次の調査・研究活動の一環であり、トヨタ財団の助成を得ている。調査の実施責任者は、東北大学大学院文学研究科教授・長谷川公一であり、富士常葉(とこは)大学環境防災学部講師・田窪祐子、原子力資料情報室、原水禁、水戸市・東海村などの市民グループが協働で、茨城大学人文学部の協力も得て実施した。

・調査対象世帯と回収率

事故を起こしたJCOの転換試験棟の外壁から2km圏に事故当時から居住する世帯で、2000年2月の調査に回答した692世帯に調査票を3票づつ配布し、535世帯から、高校生以上の1008票を回収した(世帯レベルの回収率77.4%)。なお前回調査では、2km圏に住む2683世帯を母集団として、そこから946世帯を無作為抽出し(一部全数調査)、692世帯から回答を得た(回収率73.2%)。回答者の年齢・性別構成、距離別・町村別の構成は表1表2のとおりである。

・主な調査項目

健康状態、事故の生活への影響、今後への不安、事故後の異議申し立て行動、定住意思、東海村の将来像、JCO事故や原子力政策・原子力施設への意見、国際熱核融合実験炉(イーター)立地問題についての知識と賛否、東海村・科学技術庁・マスコミなどの対応の評価などをたずねた。おもに選択肢式。

・調査実施日

2月10日(日)・11日(月)・16日(土)・17日(日) 

・調査結果の公表予定

 1)単純集計結果の「速報」を発表(本日)
 2)東海村または水戸市などで中間報告会を開く(4月はじめ)
 3)調査報告の概要をまとめる
 4)国際社会学会(7月・於オーストラリア)、日本社会学会など、国内外の学会などで報告する。専門誌などでも調査結果を紹介する

・調査結果で注目すべき点

 体調の悪化傾向 事前の予想以上に、「体調が悪くなった」と答える者が多い(問1-1 10.1% 102人)。健康診断に行った者のうち不安や心配が消えない者は25%に及ぶ(問1-3 SQ1)。体が疲れやすくなった、風邪を引きやすくなった、眠れない、突然ありありと事故時のことを思い出す、事故現場への恐怖感などの精神的症状を訴えるものが多い(問2-1)。

2年前の調査からの変化

 1)定住意識の回復(問8-1)。「ずっと住んでいたい」が36.1%から56.3%に上昇
   「引っ越したいができない」、「できれば引っ越したい」は半減。
   子どもに「この地域に住んでほしい」も10%増え、「他の土地で生活してほしい」は9%減(問8-2)。

 2)東海村の原子力施設の操業継続の是非に関しては、現状維持が3.6%増え、即時停止は4.7%減少(問14)。

 3)東海村の対応への評価はなお相対的に高いが、「大いに評価する」は23.6%から8.1%に減少(問23)。

 4)東海村の今後の地域像については、「原子力産業との共存」が 半数近くにのぼるほか、2年前とほぼ同じ割合の回答である。原子力発電について疑問や今後の事故の可能性に不安を持ちながらも、当面は「原子力産業との共存」を選ばざるをえないという「引き裂かれた住民意識」が見られる(問9-2)。

新しい調査項目から

過半数近くがイーター建設に反対

 那珂町へのイーター建設に対して賛成は24%、反対は46%(問15-2)。那珂町住民の方が、東海村住民に比べて問題の認知度が高く、反対の割合が多い(表3表4参照)。賛成の割合は変わらないが、わからない・未回答が12%減って、その分反対が増える。

原発増設には懐疑的

 東海村への原発増設推進論は15%、反対論は76%(問17-F)。
 約3分の2の住民は、原子力発電に関して批判的な意識をもつようになった。全体として原発推進論者は20〜25%程度。総理府の全国調査(99年2月)と比較してみても、日本全体での増設論は20%少なく、廃止論が13%多い(問20-1)。

欧米先進国の原発離れの現状への認識が乏しい

 エネルギー問題・地球温暖化問題・放射性廃棄物問題などへの関心は高い(問19)が、欧米先進国で建設中の原発は実際にはゼロ(ただしフランスの最後の1基は試運転中。3月営業運転開始予定)だが、正確に認識している人は3.8%しかいない(問21)。23%は10基以上建設中と判断している。政府・電力会社サイドの原発推進論の浸透とメディアの報道不足がある。

JCO事故は必ずしも風化していない

 原子力防災マニュアルなどはよく読まれており(問12)、「JCO事故について早く忘れたい」も38%にとどまっている(問17-A)。今後の事故への不安感もなお大きい(問18-B)。JCO事故が「風化」しているとは、調査結果からはいえない。


表1 回答者の年齢・性別構成

  女性 男性 合計
10歳代 11 11 22
  1.1 1.1 2.2
20歳代 38 33 71
  3.8 3.3 7.2
30歳代 85 67 152
  8.6 6.8 15.4
40歳代 71 75 146
  7.2 7.6 14.8
50歳代 124 106 230
  12.5 10.7 23.3
60歳代 98 120 218
  9.9 12.1 22.0
70歳代以上 70 80 150
  7.1 8.1 15.2
小計 497 492 989
  50.3 49.7 100.0

上段・実数は人数
下段は割合
10歳代は16歳以上
年齢不詳の19人をのぞく


表2 回答者のJCOからの距離と居住地域

  東海村 那珂町 合計
350m圏 44   44
  4.4   4.4
350-500m圏 144 9 153
  14.3 0.9 15.2
500-1000m圏 150 68 218
  14.9 6.7 21.6
1000-1500m圏 164 119 283
  16.3 11.8 28.1
1500-2000m圏 197 113 310
  19.5 11.2 30.7
小計 699 309 1008
  69.3 30.7 100.0

上段・実数は人数
下段は割合


表3 居住地域とイーター立地の認知度の割合

  東海村     那珂町     小計
  知っている 知らない 未回答 知っている 知らない 未回答  
500m圏 54.5 42.2 3.2 100.0     100.0
  102 79 6 9      
500-1000m圏 52.0 44.7 3.3 79.4 13.2 7.4 100.0
  78 67 5 54 9 5  
1000-1500m圏 48.2 48.2 3.7 80.7 16.0 3.4 100.0
  79 79 6 96 19 4  
1500-2000m圏 48.7 48.7 2.5 75.2 18.6 6.2 100.0
  96 96 6 85 21 7  
合計 50.9 46.0 3.2 79.0 15.9 5.1 100.0
  355 321 23 244 49 16 1008

上段は各居住地域に占める「知っている」などの割合
下段は人数


表4 居住地域とイーター立地の賛否の割合

  東海村     那珂町     小計
  賛成 反対 わからない 賛成 反対 わからない  
500m圏 23.9 40.4 35.6 22.2 66.7 11.1 100.0
  45 76 67 2 6 1  
500-1000m圏 26.7 41.3 32.0 29.4 52.9 17.6 100.0
  40 62 48 20 36 12  
1000-1500m圏 19.5 44.5 36.0 22.7 54.6 22.7 100.0
  32 73 59 27 65 27  
1500-2000m圏 24.4 41.6 34.0 21.2 53.1 25.7 100.0
  48 82 67 24 60 29  
合計 23.6 41.9 34.5 23.6 54.0 22.3 100.0
  165 293 241 73 167 69 1008

上段は各居住地域に占める「賛成」などの割合
下段は人数
「賛成」は賛成・どちらかというと賛成の合計
「反対」は反対・どちらかというと反対の合計
「わからない」はわからない・未回答の合計

Acknowledge
JCO臨界事故総合評価会議の活動(2001年11月〜2003年10月)はトヨタ財団の助成「市民社会の時代の科学・技術 」を受けています(詳細)

 

 
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