プレスリリース
JCO臨界事故・住民生活影響調査2002について
2002年2月8日/水戸
JCO臨界事故総合評価会議
調査の目的・ねらい
住民は、JCO事故から約2年半が経って、現在、どのような不安を抱いているのか。どんな悩みを抱えているのか。健康状態はどうなのか。私たちは2000年2月に0〜2km圏全体で住民意識調査を行ったが、前回の回答者を対象に、「追跡調査」を行うことにした。
また那珂町は青森県六ヶ所村とともに、国際熱核融合実験炉(イーター)の有力な立地候補地となっている。東海村や那珂町が今後、どのような地域づくりをすすめていくべきか、事故後に県が実施している健康診断や県が発行した「原子力ハンドブック」や東海村がつくった「原子力防災マニュアル」がどのように受け止められているのか。原子力発電や原子力施設に関する意識はどう変わりつつあるのか。これらを明らかにすることを目標としている。
原子力安全委員会の調査委員会の報告書を批判的に検討し、事故の真相や問題点を明らかにする市民サイドの団体として、1999年秋に「JCO臨界事故総合評価会議」が、原水禁・原子力資料情報室・市民運動家・弁護士・研究者などによって組織されたが、この調査は、「JCO臨界事故総合評価会議」の第2次の調査・研究活動の一環であり、トヨタ財団の助成を得ている。調査の実施責任者は、東北大学大学院文学研究科教授・長谷川公一であり、富士常葉(とこは)大学環境防災学部講師・田窪祐子、原子力資料情報室、原水禁、水戸市・東海村などの市民グループが協働で行う。
調査対象
事故を起こしたJCOの転換試験棟の外壁から2km圏に事故当時から居住する世帯で、2000年2月の調査に回答した695世帯。なお前回調査では、2km圏に住む2683世帯を母集団として、そこから946世帯を無作為抽出し(一部全数調査)、695世帯から回答を得た(回収率73.5%)。
調査方法
社会学の社会調査の手法にしたがって、留め置き調査を行う。世帯から最大3名に記入してもらい、補足的に面接する。配布数695世帯。約1000人から回収することを目標としている。調査員は東北大学・茨城大学・筑波大学・富士常葉(とこは)大学の院生・学生、地元市民グループなど約50人(1日あたり)である。
主な調査項目
健康状態、事故の生活への影響、今後への不安、事故後の異議申し立て行動、定住意思、東海村の将来像、JCO事故や原子力政策・原子力施設への意見、国際熱核融合実験炉(イーター)立地問題についての知識と賛否、東海村・科学技術庁・マスコミなどの対応の評価などをたずねる。おもに選択肢式。
調査日程
2月10日(日)・11日(月)・16日(土)・17日(日)
いずれも原則として9時開始。17時頃まで
調査結果の公表予定
1) 単純集計結果が出次第、マスコミなどを通じて「速報」を発表する(3月はじめの予定)
2) 東海村または水戸市などで中間報告会を開く
3) 調査報告書をまとめる
4) 国際社会学会(7月・於オーストラリア)、日本社会学会など、国内外の学会などで報告する。専門誌などでも調査結果を紹介する
前回の主な調査結果
1) 1000m圏までは4割が症状を訴えるなど、事前の予想以上に、体のだるさや皮膚のかゆみなど事故当日や直後の身体の異常を訴える声が多く、かつ不安感や事故現場への恐怖感などの精神的症状を訴えるものが多い
2) 自分や家族への将来の放射線の影響に対する不安感が強い
3) 9割近い住民が科学技術庁の責任は大きいときびしく評価している
4) 村上村長ら、東海村当局の対応への評価は高いが、那珂町・青森県の対応への評価は低い
5) 約3分の2の住民は、原子力発電に関して批判的な意識をもつようになった
6) 東海村の今後の地域像については、「原子力産業との共存」が 半数近くにのぼる。原子力発電について疑問を持ちながらも、当面は「原子力産業との共存」を選ばざるをえないという「引き裂かれた住民意識」が見られる。
以上
文献
・JCO臨界事故総合評価会議『JCO臨界事故と日本の原子力行政』第7章(「東海村住民と那珂町住民の被害・不満・不安」),七つ森書館,2000.
・長谷川公一・田窪祐子「周辺住民の苦悩と不安」『環境と公害』30巻2号,40-46頁,2000.[本日配布]
・Koichi Hasegawa(長谷川公一)&Yuko Takubo(田窪祐子)"JCO Criticality
Accident and Local Residents: Damages, Symptoms and Changing Attitudes"[英文]Citizens'
Nuclear Information Center(原子力資料情報室),2000.[*http://www.cnic.or.jp/books/report/jco_residents.htmlから全文をダウンロード可能]
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