JCO臨界事故総合評価会議
 
JCO臨界事故総合評価会議はJCO臨界事故の真相と影響を究明する市民サイドの研究プロジェクトです
事務局:原子力資料情報室・原水爆禁止日本国民会議
 
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JCO臨界事故総合評価会議中間報告[4月26日発表]
旧動燃の責任は重大だ

JCO臨界事故総合評価会議中間報告

JCO臨界事故総合評価会議中間報告[PDF]1.8MB
[「住民生活影響調査結果」(5月21日集計)を追加]

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「住民生活影響調査結果」(5月21日集計) 0.6MB

[追加分のみのファイル]

※「住民生活影響調査結果」は4月29日発表分でなく5月21日時点の集計結果を掲載しています


[要約]

第1章 事故の経過と原因

公表されている資料では常陽用の燃料製造が最初に行なわれたのは1972年である。これを行なったのは住友金属鉱山で、濃縮度23%の二酸化ウランを600kg製造している。しかし、同施設は核物質使用施設としての許可しか得ておらず、違法な操業であったようだ。
使用施設から加工施設への変更は厳しい審査があるはずであるが、そのような審査が行なわれたとは見えない。敷地境界を見ると、現在もJCOの転換試験棟は住友金属鉱山の建て屋から入室するようになっており、廊下で住金とJCOが別れている。JCOの管理室は廊下である。また、転換試験棟のフィルターを通して出た排気は、他の建物(住金の建物)の排気と合わせて共通の排気孔を通って大気へ放出されている。許可は法人ごとに申請され、放射線施設の維持管理が法人ごとに行なわれなければならないことを考えると、このような施設が許可されていることが疑問である。
核分裂数を原研の分析に基づいて2.5±0.1×1018としているが、この値の正確さについての検討は不十分であり、誤差計算の際の系統誤差に関する考察は不適当である。
今回の事故では中性子線の放出が中心であるが、身体の異常を訴える住民がいることを考えると、徹底的な検討が必要だ。ヨウ素の放射能による内部被曝(特にベータ線による被曝が重要であるかもしれない)。また、ヨウ素放出への対策が講じられたのは10月27日であるが、この間放出は続いていた。

第2章 中性子線による放射線被曝

科学技術庁は転換試験棟から半径350m以内の住民と事故当時JCOの敷地内にいた従業員らのうち、436人(重度の3人を除く)を被曝者として健康管理の取り組みの対象とした。しかし、被曝者はそれだけに留まらない。事故調査委員会は2度にわたって彼らの被曝線量評価値を切り下げている。しかし、線量評価に利用された測定器に採用されている中性子の線質計数や実行線量当量への換算に強い疑念がある。中性子に対するより新しい知見(ICRP公報60)を採用するなら、被曝評価は報告書の2倍の値となる。
被曝した住民や作業員の健康影響について、科学技術庁は「200mSv以下ならガン増加など健康影響の疑念はない」との見解を示している。科学技術庁はこの根拠としてICRP広報60をあげているが、そこは広島・長崎のデータがさまざまな制約があることを指摘している個所であり、200mSv以下なら影響がないとする根拠とならない。むしろ、低線量被曝の危険性に付いては、多くの研究結果がある。軽視すべきでない。

第3章 事故の原因究明に係わる問題点

事故調査委員会は事故原因の部分で、ウランの投入量、沈殿槽利用の動機、沈殿槽への投入に至る経緯、過去の製造実態というもっとも基本的な事実関係において、十分な検討を行なわずに「報告書」をまとめている。特に投入量は臨界質量との関連で重要であるが、厳密な調査がされていない。少なくとも、今次製造に関する操業記録、作業指示書のすべてを提出させ、さらに過去の作業記録の確認を行なうべきである。

第4章 安全審査の問題点

施設の審査を行なった科学技術庁では、審査のための指針がなく、「基本指針」を使い「ウラン加工指針」を参考としたとしているが、審査のための指針を作るべきであった。
転換試験棟では沈殿槽だけが形状臨界管理となっていなかった。当該施設の安全審査を見ると、審査に当たった部会ではその点を審議し、その結果、補正申請が行なわれたようであるが、その内容は計量管理を2度行なうことで形状管理を回避するというものであった。その中でも沈殿槽が形状管理されていないことを指摘する委員がいたが、十分な検討もないまま、行政担当者の説明で了解されてしまっている。さらに臨界がおこらないとしたために、臨界に対する対策が講じられなかった。これらの点から、明らかに行政庁および原子力安全委員会の責任である。提言として、原子力安全行政の独立と規制権限の強化がぜひとも必要である。

第5章 動燃の責任問題

事故調査委員会の報告書では旧動燃の責任問題を意図的に避けている。違法な作業手順は旧動燃の要求に対応するものであり、旧動燃はそれを知りつつ承認していたことは契約書などから明白である。しかも、今回の製造に関しては、契約書仕様書に基づいて転換加工工程表および転換加工要領書を加工開始前に提出して動燃の承認を得る必要があることが明記されている。つまり、動燃が本施設での違法な作業手順などを十分に知っていた。また、もともと転換試験棟は硝酸ウラニル溶液の製造は想定されていず、また、適切な施設でなかったことも動燃は知っていたことになる。その上で動燃はJCOに無理な要求を突きつけていたといえる。

第6章 防災上の対応について

 事故に対応する初動体制や本部体制は失敗であった。被爆実態の把握では、防災業務関係者のうち、茨城県や東海村の職員あるいは警察官なども被曝は考えられる。調査されていないが、検証すべきである。原子力災害対策特別措置法が制定されたが、有効とはいえず、災害対策基本法で基本的に規定されているので、補足強化する方向で対応すべきである。現行の原子力事故への対応に欠けている点は、事故に対応する常時スタンバイ機関がないこと、事故現場の地元自治体と共同して専門能力をもって初動対応する期間がないことだ。


旧動燃や科学技術庁の責任こそ追及されるべき
JCO臨界事故総合評価会議が中間報告を公表

『原子力資料情報室通信』312号(2000年4月)「今月の話題」欄

 99年12月に発足したJCO臨界事故総合評価会議(本誌307号参照)がこのほど中間報告をまとめました。同評価会議は3つの分科会に分かれて検討を進めています。第1分科会は、事故の原因や事故の規模、放射能汚染問題、安全規制・審査の諸問題を検討し、第2分科会は被曝や住民避難・防災、住民意識の変化などを検討します。そして、第3分科会は事故の社会的経済的側面を扱い、JCOを取り巻く経済環境、被害補償、核物質防護上の問題などを検討しています。中間報告は、第1と第2分科会の検討内容を発表しました。

事故原因と被曝などの問題点

 公表されている資料では「常陽」用の燃料製造が最初に行なわれたのは72年です。この時はJCOが独立する前で、住友金属鉱山(株)が濃縮度23%の二酸化ウランをおよそ600kg製造しました。しかし、施設は核物質の「使用施設」としての許可しか得ておらず、取扱量は年間40kgしか認められていません。こう見てくると、当初から違法な操業を続けていたようです。このずさんさが事故につながったといえます。
 沈殿槽への硝酸ウラン投入量は16.6kgといわれていますが、契約書などからは今回の製造量は15kg前後のはずです。この点を明確にすることは臨界量との関連で非常に重要ですが、そういった最も基本的な事実関係が十分に検討されていません。事故原因の解明はできていないといわざるを得ません。

 中性子線による被曝は、人や生物に与える影響が大きく、その被曝線量の評価は極めて難しいのです(本誌308号「今月の話題」参照)。

 今回の事故では中性子線の放出が中心ですが、身体の異常を訴える住民がいることを考えると、徹底的な検討が必要です。その場合、短い半減期の放射性ヨウ素による内部被曝(特にベータ線による被曝)の検討が重要になります。なお、希ガス類やヨウ素が放出され続けていたことが10月8日に確認され、排気口の目張りやチャコールフィルタの設置などの対策が講じられたのは10月27日でした。

 被曝した住民や作業員の健康影響について、「200ミリシーベルト以下ならガン増加など健康影響の懸念はない」との見解を科学技術庁は広めています。科学技術庁はこの根拠としてICRP公報60をあげていますが、文書のその部分は広島・長崎のデータにさまざまな制約があることを指摘している個所ですので、200ミリシーベルト以下なら影響がないとする根拠となりません。

行政庁や旧動燃の責任

 JCOの転換試験棟は住友金属鉱山の建屋から入室するようになっており、別棟のJCOとは、廊下でつながっています。その廊下がJCOの管理室となっているのです。さらに、排気設備ですが、転換試験棟からの排気は、住友金属鉱山側の排気と合わせて一つの排気筒を通って大気へ放出されています。許可は法人ごとに申請されて、放射線施設の維持管理が法人ごとに行なわれなければならないことを考えると、このような施設が許可されていること自体が疑問です。

 施設の審査を行なった科学技術庁では、審査のための指針がないまま審査しましたが、本来は審査のための指針を作るべきでした。転換試験棟では沈殿槽だけが臨界に対する形状管理を施されていませんでした。当該施設の安全審査を見ると、安全審査に当たった核燃料安全専門審査会の第8部会では、沈殿槽が形状管理されていないことが指摘されました。その結果、補正申請が行なわれましたが、しかし、その内容は計量管理を2度行なうことで形状管理を回避するというものでした。そして、科学技術庁は、「臨界は起こらない」と施設の運転を許可しました。臨界対策は講じられませんでした。原子力安全委員会の事故調査では追及されていませんが、明らかに行政庁および原子力安全委員会に重大な責任があります。

 事故調査では、旧動燃の責任問題も言及されていません。旧動燃から事故調査委員会に2人のメンバーが参加していることを考えれば、むしろ、意図的に動燃問題に言及することを避けているといっても過言ではありません。硝酸ウラン溶液での納品は1986年から断続的に行なわれるようになりました(この背景には核拡散防止の措置が深くかかわっています)。旧動燃は、製品ウラン溶液の濃度370g/lと非常に濃く、製造には決して容易でない条件をJCOに求めました。これが作業上の大きな制約を生み、それを解決する中で科学技術庁へ提出した正規の作業手順から逸脱していったと考えられます。旧動燃との契約によれば、今回の製造に関して、JCOは転換加工工程表および転換加工要領書を加工開始前に提出して旧動燃の承認を得る必要があります。つまり、旧動燃は本施設での違法な作業手順などをこれらを通して十分に知っていたはずです。さらに、もともと転換試験棟は硝酸ウラニル溶液の製造は想定されていず、ここでその作業をするには適切な施設でなかったことも知っていたはずです。旧動燃の責任こそ、今回の事故の核心をなす部分といえます。

 防災上の諸問題や住民意識の変化については機会を改めて報告します。JCO臨界事故総合評価会議は、中間報告の内容をさらに吟味し、皆さんからの意見を参考にしながら、最終報告へ向けて活動する予定です。

(伴英幸)

 

Acknowledge
JCO臨界事故総合評価会議の活動(2001年11月〜2003年10月)はトヨタ財団の助成「市民社会の時代の科学・技術 」を受けています(詳細)

 

 
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