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原子力安全委員会
委員長 松浦 祥次郎 殿
提言と要請
2000年9月22日
JCO臨界事故総合評価会議(代表 古川路明)
事務局:原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議(平和フォーラム)
昨年9月30日に起こった東海村のJCO臨界事故は、日本はもとより世界にも大きな衝撃を与える事故であった。政府発表でも400名を越す被曝者を生みだし、2名もの尊い命を失う大事故であった。これにより完全に原子力の安全神話が崩れ去ったことは、多くの人の認めるところである。
さて本来、JCO臨界事故の原因や与えた影響などその大きさからも、第三者機関が公正中立な立場でじっくり調査すべきものである。事故の再発防止やこの事故から引き出される教訓を今後の原子力政策全般に活かすためにも、そのことは必要だと考える。
しかし、原子力安全委員会が組織しおこなった事故調査は、今回の私たちのおこなった事故調査の総合的な評価とは大きな開きがある。その結果から下記の提言と要請をするものである。なお、詳しい内容については、最終報告書にまとめたので参照されたい。
1. 臨界事故の再調査を民間の第三者機関によっておこなうこと
政府による事故調査は、事故原因や事故の責任、被曝評価など様々な点で不十分であった。事故の重大性を考えて,より完全な調査をおこなわねばならない。そのためには,企業秘密の壁などを越えることができる権限をもつ第三者機関によって進められる必要がある。
2. 放射線被曝者に対する心身のケアについて十分な配慮をすること
住民の放射線被曝による健康に対する不安は根強い。確固たる根拠もないのに「安全」を強調することは,むしろ住民の健康を損ねる。長期的な健康診断と心理的なカウンセリングが必要であり,その際に要する経費は国が負担すべきである。それは「350メートル圏内」に限らず、被曝したと考えられる人びと全てに対しても行うべきである。
3. 原子力施設の安全審査の体制を全面的に見直すこと
原子力安全委員会はほとんど権限をもたない委員会である。その改革にはさまざまな方法が考えられるが,もっとも重要なことは原子力推進と安全審査の完全な分離である。現在の体制の小さな手直しでは事態はまったく改善されない。
4. 放射線に関わる教育訓練を強化すること
放射線の安全に関する教育訓練については法的な規定があるが,時間数,内容ともに不足である。「放射線の安全」よりも「放射線の危険性」を重視した教育が必要である。事故を防止するには,すべての関係者が放射線の危険性を絶えず意識していなければならない。
5. 事故の際の防災体制を抜本的に見直すこと
事故通報のみに頼らず初動対応を効果的に行うために,常設の機関を整備して平常から原子力施設を監視するシステムを確立する必要がある。特に重要なことは,事故時に情報が一元的に統制されないことであり,原子力諸機関と人員を平常から整備しておくべきである。
6. 核燃料物質の計量管理を厳格におこなうこと
今回の事故では,濃縮度の高いウランの数量などの管理体制が不適当である可能性が明らかになった。たとえば,臨界を起こした沈殿槽の中に入っていた濃縮ウランの重量についてさえ正確な値が公表されず,転換試験棟の中に存在する核燃料の量も明らかではない。計量管理が十分に行われていない例は他にも多いと考えられる。
7. 日本の原子力の現状について徹底的な見直しをすること
日本の原子力行政では,重要な課題が先送りされていることが多い。核燃料サイクル,高速増殖炉の開発,高レベル放射性廃棄物の処分(保管)と枚挙に暇がない。今回事故を起こしたJCOが青森県六ヶ所村にある「日本原燃株式会社」のウラン濃縮工場から運ばれた六フッ化ウランを再転換していたことを考えても,今回の事故と日本の核燃料サイクルは関係が深いことがわかる。
8.公開討論会の開催を要請します
私たちのおこなった事故の総合的な評価と原子力安全委員会のおこなった事故調査・評価の間にはまだまだ開きがある。事故の原因、影響などを真摯にとらえることが必要と考える。そこで、ぜひ原子力安全委員会と私たちとの間で、オープンな討論をおこないたいと願っている。事故の全体像をより正確につかむことは双方にとっても有益なものと考える。ついては、公開討論会の開催を要請するものである。
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