| ⇒原子力安全委員会の回答
事故調では沈殿槽に投入されたウラン量を16.6kgと判断しており、安全委員会は討論においてもその見解を踏襲しました。その場合、JCOの作業員が14.5kgないし15.1kgを指示する作業指示書(製品溶解パラメータシート等)に違反して16.6kgを投入したことになります。その問題について事故調報告書では解明されておらず、討論においても、投入量は事故の本質に影響しないという発言がありました。この問題が本質に影響せず、解明しないでよいと今も考えていますか。またその理由は何ですか。「投入ウラン量を正確に知ることは事故の本質を解明する上で必要ではない」といった趣旨の発言が金川安全委員からありましたが、それでは安全委員会は「事故の本質」はどこにあると考えていますか。またそのような「本質」はどのような調査・考慮によって導かれたものですか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
「事故の本質」は、報告書に記載している通り、作業者が許認可に定める条件を逸脱して作業を行ったことにより、臨界が発生したということです。
投入されたウラン量が16.6kgであることについては、事故調査委員会において規制当局より提出されたデータに基づいて判断された結果です。
また、この沈殿槽については、報告書において「臨界管理制限値は、2.4kgU/バッチであった。この値は、理論上の最小臨界値5.5kgUから安全係数2.3をみて決められていた。」と記載されており、JCO作業指示書に、14.5kgないしは15.1kgの数値もみられましたが、その作業指示が既に、許認可で定める条件を大幅に逸脱している以上、ウラン量が16.6kgないし14.5kgあるいは15.1kgであるかが事故の本質を定めるということではなく、そもそもなぜそのような許認可条件から大幅に逸脱する作業指示を行ったのかについて、解明することが重要であると考えています。
作業員が沈殿槽を用いたこと(沈殿槽にウラン溶液を投入したこと)の動機・理由は、「細かいこと」「結論に影響を与えない事柄」とは言えないはずですが、これについてさらに検討しなくてよいと今も考えていますか。その理由は何ですか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
貯塔を用いずに沈殿槽を用いた動機や理由については、当該事故を検証する上で重要な事項と認識しています。これらについては事故調査委員会報告書で指摘しています。
JCOにおける「常陽」第4次、第6次製造で貯塔を使用したか否かについて、使用していないというJCOの説明を安全委として現在どのように考えていますか。「常陽」第7次製造開始前の1995年9月8日のJCO社内の安全専門委員会に提出された資料で「実態」として均質化に貯塔を使用していることとの関係を、安全委員会として現在どのように考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
(事故調査報告書においては、均一化の用語を用いておりますので、回答は、「均一化」に統一させていただきます。)
常陽第7次(平成7年10月から)及び第8次(平成8年8月から)キャンペーンにおいて均一化の作業を、貯塔を用いて行ったことについては、事故調査委員会の中でその確認がなされています。
これらより、今回の事故の際のみならず、この以前から均一化の作業工程が不適切であったことは確認されており、そもそもなぜ貯塔又は沈殿槽が使用されたのかについて明らかにすることに意味があったと考えます。
なお、均一化の工程については、事業(設置)許可申請がなされていませんでした。臨界事故発生防止のために形状管理されている貯塔を使用すれば良いという問題ではなく、使用条件の変更を要する場合には、設置許可の変更申請を行うなどの所定の手続きを行うべきであり、安全委員会として遺憾に思っています。
高い濃度のウラン溶液を、再溶解・混合均一化工程で取り扱ったことが、事故の背景にあったと考えられますが、安全審査では濃度をはじめとする運転条件について詳細に配慮した形跡がなく、討論でも金川委員から「濃度についてどこまでのことを想定すべきか」と反対の問題提起をされました。しかし安全審査等においては濃度など運転条件に関して厳密な把握を行なうべきであり、「どこまで」以前に、許可された条件でのあらゆる濃度を想定して検討を行なうべきであると考えられますが、その点について原子力安全委員会として現在、どう考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
原子力施設の安全性は、事業(設置)許可の要件となる基本設計ないし基本的設計方針と、それ以降の設計及び工事方法の認可など詳細設計及びその後の運転管理等とが相まって確保されます。
事業(設置)許可にあたっての安全審査においては、前者の事業許可の要件となる事項を満たしていることを確認しています。
JCO事故の直接の原因は、事業許可の条件とした質量管理を事業者が逸脱し、運転をしたことにあります。
質量管理による235U濃縮度に対応した核的制限値は、規制値となる質量と濃縮度以外のパラメータはどのような値であっても臨界になり得ない値となっており、これが守られる限り、ウラン溶液がどれだけ高濃度であっても臨界になることはありません。
安全審査では、定められた濃縮度のもと、核的制限値とされる質量と当該工程では質量管理が行われることを条件に安全上問題ないと判断しています(さらに、安全委員会では、この質量管理がより確実に守られるように補正を求めていました)。
後者の運転管理については、ウラン加工施設は、発電用原子炉施設等に比べて高圧・高放射線の場でなく、作業工程中の核燃料物質に従事者が近接することが可能であり、運転段階において人の手が介在するところが多いことから、発電用原子炉施設等に比べて運転管理等により安全を担保している割合が大きくなるといえましょう。
JCO事故の教訓として、組織事故として運転管理等が不十分な場合に起こり得る事故をも想定する等、当該施設が持つ潜在的危険性を考慮して、対策を講ずるべきであることが示されました。
このため、原子力安全委員会では、臨界事故の教訓として、安全審査指針とは別に、「ウラン加工施設に対する運転管理等における重要事項」を策定しました。その中で、臨界管理については以下のように示しています。
(「ウラン加工施設に対する運転管理等における重要事項」より抜粋)
1.保安規定における使用条件等の明確化
安全審査においては、臨界安全性を確保するために各設備、機器に係る核的制限値について十分に審査がなされることとなっており、核的制限値は、これのみで十分な余裕を持って臨界安全が確保されるように設定されるものである。
しかし、核的制限値とはなっていないが臨界に影響を及ぼすような設備、機器の使用条件についても、これらが守られることにより臨界安全の確保がさらに確実なものとなる。このため、臨界事故の発生に対する抵抗性を確保する観点から、このような設備、機器の使用条件を保安規定において明確にするとともに、作業者がこれらを遵守し得るよう明示することが必要である。
特に、ウラン溶液を取扱う工程において、核的制限値として質量を設定し管理する場合には、臨界事故の発生に対する抵抗性をより高いものとするために、質量管理に加えて濃度に関する運転管理範囲を設定し、的確に遵守する等の配慮が必要である。
2. 質量管理等の場合における配慮
核的制限値として質量を設定し、その管理が人的操作によりなされる場合には、ヒューマンファクタやフェイルセイフに配慮し、設備、機器の安全設計(インターロックの設置等)で担保するのと同等の信頼性が求められるべきである。このため、機器類の設工認申請書や保安規定等で認められた方法以外の方法での使用の禁止を徹底する、核燃料物質の移動に係る承認手続きを徹底する、これらの手続き等について異なる部門の者によるダブルチェックの仕組みを構築する等の措置が必要である。さらに、設備、機器の使用条件、作業条件を変更する場合には、臨界管理等の安全面において問題がないか確認を行うべく、そのような確認を行い得るような仕組みを事業者自ら構築して実行することが必要である。
加えて、行政庁では、安全規制、運転管理体制について、問題点が整理され、加工施設における定期検査の導入など核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の改正による保安検査制度の導入等の規制強化が行われています。
原子力安全委員会としても、今回の事故を重く受け止め、従来から実施していた設置(事業)許可のダブルチェックに加え、設置許可等の後の建設段階及び運転段階の行政庁による安全規制活動を把握及び確認することを目的とした調査活動(規制調査)を新たに行っています。
溶解塔はもともと精製工程において最初に用いられる容器であり、精製後の再溶解に流用する際には入念な洗浄が必要となります。このような流用を認めるならば、洗浄の手間を省くためにバケツ使用など他の手段を用いることを促す可能性があり、実際にそうなりました。しかし当時の安全審査でその可能性の問題が検討された形跡はありません。この問題について、原子力安全委員会として妥当であったと考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
原子力施設の安全性は、事業(設置)許可の要件となる基本設計ないし基本的設計方針と、詳細設計及びその後の運転管理等とが相まって確保されます。
特に、ウラン加工施設は、発電用原子炉施設等に比べて高圧・高放射線の場でなく、作業工程中の核燃料物質に従事者が近接しやすく、運転段階において人の手が介在するところが多いことから、発電用原子炉施設等に比べて運転管理等により安全を担保している割合が大きくなります。
JCO事故の教訓として、運転管理等が不十分な場合に起こり得る事故をも想定する等、当該施設が持つ潜在的危険性を考慮して、対策を講ずるべきであることが示されました。
このため、原子力安全委員会では、臨界事故の教訓として、安全審査指針とは別に、「ウラン加工施設に対する運転管理等における重要事項」を策定しました。その中で、施設の作業性については以下のように示しています。
(「ウラン加工施設に対する運転管理等における重要事項」より抜粋)
4. 作業性への配慮
ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告書では、許認可で定められた使用方法を逸脱した原因のひとつとして装置の作業性が挙げられている。
臨界安全を確保するためには、設備、機器の具体的な設計において寸法、形状、配置等を考慮することは当然であるが、加えて、作業性が著しく損なわれる恐れがある場合には、作業(運転)手順書を逸脱する場合が考えられ得るので、そのような恐れがないよう設計において配慮されることが重要である。また、そのような恐れが生じた場合には、所定の手続きを経て、設備、機器の改良を行うことも必要である。
加えて、行政庁では、安全規制、運転管理体制について、問題点が整理され、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の改正による保安検査制度の導入等の規制強化が行われています。
原子力安全委員会としても、今回の事故を重く受け止め、従来から実施していた設置許可段階のダブルチェックに加え、設置許可等の後の建設段階及び運転段階の行政庁による安全規制活動を把握及び確認することを目的とした調査活動(規制調査)を新たに行っています。
安全委員会による安全審査(加工事業変更許可)においては、混合均一化工程およびそのための貯塔流用を認めていませんが、科学技術庁(当時)は設工認で貯塔の使用を認可しています。これは実際には混合均質化以外には使用理由は考え難いものです。とすれば、原子力安全委員会の安全審査がその後の科学技術庁の認可で覆されたことになると考えられますが、この経緯について安全委員会として現在問題ないと考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
「ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告」(平成11年12月24日)にもあるように、均一化工程については「核燃料物質加工事業変更許可申請書」(昭和58年11月22日付申請、昭和59年1月31日付及び昭和59年4月2日付で一部補正)、「核燃料物質の加工施設に関する設計及び工事の方法についての認可申請書」(昭和59年7月6日付、御質問中の「設工認」の申請書)のいずれにも記載はありません。貯塔を用いて攪拌混合を行うことについては、前述のとおり攪拌混合、均一化工程が申請書に記載されておらず、許認可の範囲に含まれていません。
このように、混合均一化のための貯塔の使用は設工認の範囲にそもそも含まれておらず、その種の作業を行うことを想定しておりませんので、その申請に基づいて行った原子力安全委員会の安全審査が覆されたことにはならないと考えます。
4月23日に行なわれたJCOの刑事裁判の冒頭陳述及び検察官が紹介した越島前事業所長の供述調書によれば、JCOは転換試験棟の加工事業許可の際の原子力安全委員会の安全審査で、工程全体で1バッチしか取り扱わないとの「1バッチ縛り」が要求された際、そのようなことをしては効率が悪いので到底受け入れられないと考えたが許可のために形だけ受け入れるように指示があり、最初から操業時には「1バッチ縛り」は無視するつもりで安全委員会に対しては受け入れると嘘を言ったと明言しているとのことです。事故調の最終報告書でもここまでの事実は前提にしていませんが、原子力安全委員会はこの新事実を受けて、このような確信犯的な事業者が現実に存在することを前提に、安全審査のあり方をどのように改めるのか、実効性のある対策を具体的に示して下さい。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
本件は裁判中の問題であり、直接コメントする立場にはありません。したがって、以下の記述は一般論としてご理解ください。
安全審査は虚偽の申請を前提に実施することは出来ません。
原子力施設の安全確保に関する責任は、第一義的には事業者にあることが強調されるべきです。
今回の事故は、JCOにおける特殊少量生産における品質管理、安全管理が不十分であり、作業に伴う潜在的危険性の理解不足や違反行為に伴い事故が発生するかもしれないという危機認識の欠落に起因した結果といえます。その背景には、厳しい国際競争の中で作業効率向上を志向するあまり、企業の安全管理意識が鈍化するとともに、企業・技術者の責任感や倫理が低下したことがあったと推定されます。
原子力安全委員会では、「ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告」(平成11年12月24日)において、事業者に対して以下の具体的な提言を行っています。
具体的には、
・ルールを逸脱した行為が計り知れない結果を招くことを認識し、経営者及び従業員に対し、安全管理に関する教育・訓練を具体的かつ適切に行うとともに、安全管理に関する認識を継承するシステムを確立すること
・リスク・アセスメント(リスク予測)やリスク・マネージメント(リスク管理)を日常的かつ適切に行うこと
・契約に際しては、受注者において製造工程、使用する設備等も考慮し、安全性を確認すること。また発注者においては、安全性の確認に関し、一定の注意を払うこと
・企業が、組織として確実に責任を履行しうる適切なコーポレート・ガバナンス(企業統治)を確立する観点から、十分な情報公開を通じた透明性の高い企業経営を行うこと
・積極的な技術革新努力(最新の安全技術の取り入れを含む)を行うこと
・下請け等を含めた責任ある管理を行うこと
また安全管理の技術面に関しては、
・特殊少量生産における特に慎重な安全管理
・機器等による、安全工学的な設計による徹底的な安全確保
・事故後の被害の最小化のための措置の徹底
・事業展開中における技術進歩の設計への反映など、変化への適切な対応と新方式の導入や変更の際の特に慎重な安全性確認
・事業者の自主保安活動として、主要な核燃料関係施設において、安全確保活動が適切に行われているかどうかを定期的に評価し、必要に応じ安全性向上のための対策を摘出するため、定期安全レビューを導入・実施
さらには、
・安全主管者、核燃料取扱主任者等の安全管理上枢要な者の位置づけの明確化と、それらの者による安全管理文書の確認など社内の自主保安体制の充実化
・事業者の内部評価制度や通報制度及びISO9000シリーズの取得などを含め、外部評価制度の導入による、安全確保の全体機能の維持と向上
・人間の心理面に着目した社会科学的手法(指揮命令系統の適切な設計や申し送り書への署名の徹底による匿名性の排除などの社会心理学的装置)による安全確保策
これらを踏まえ、事業者においては、自ら安全管理の見直しや教育訓練等を強化、また、過去の事故や最新の安全研究の成果を活用したより高い安全性の高い施設・設備の導入、施設の改造等に積極的に取り組んでいます。
また、今回の事故を契機として行われた原子炉等規制法の改正により、国の安全規制における制度的措置として、?加工事業の規制項目の追加と定期検査の義務づけ、?保安規定の遵守状況の検査制度の導入、等が講じられました。この強化された安全規制体制において国は、抜き打ち検査の効果的な実施などを通じて、その実効的な運用を行うとともに、事業者の自己責任による安全確保策の充実を強く指導することができるようになっています。
原子力安全委員会としても、今回の事故を重く受け止め、従来から実施していた設置(事業)許可のダブルチェックに加え、設置許可等の後の建設段階及び運転段階の行政庁による安全規制活動を把握及び確認することを目的とした調査活動(規制調査)を新たに行っています。
科学技術庁(当時)による1987年1月21日の保安規定遵守状況検査および、1998年4月から6月の運転管理専門官の巡視において、JCOの操業実態がいかに把握され、或いは看過されたかは、事故に至る経緯を知る上で重要であり、安全委としても無関心であってよいとは思われませんが、安全委員会としてはこの件について独自の確認を行ないましたか。またこの点について現在どう考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
JCO事故は、安全審査で確認された条件を著しく逸脱した操作を行ったことによって引き起こされたものでありますが、このような違反行為を長年にわたって行ってきたJCOの実態を、国として把握できていませんでした。これについて、ウラン加工工場臨界事故調査委員会は?保安規定遵守状況調査は行政指導に基づく任意の調査であったために、法律に基づく審査、検査が優先されていたこと、?施設の運転操業が不定期であったため、施設が操業していないときに行政指導による保安規定遵守状況調査や運転管理専門官による巡視が行われていたことなどを問題点として指摘しました。このため国は、その対策の一環として原子炉等規制法の改正を行いました。具体的には、保安規定の遵守状況を国が検査すること、この検査に関する業務に従事するものとして専門的な知識を有する原子力保安検査官を新設すること、加工事業に係る規制項目を追加し、定期検査を義務付けること等を規定しました。
原子力安全委員会としても、今回の事故を重く受け止め、従来から実施していた設置許可段階のダブルチェックに加え、設置許可等の後の建設段階及び運転段階の行政庁による安全規制活動を把握及び確認することを目的とした調査活動(規制調査)を新たに行っています。
沈殿槽に入っていた溶液の分析と結果の解析が事故の実態を知るにはもっとも重要であることは明らかです。しかるに十分な調査を行なわず、核燃料サイクル開発機構東海再処理工場において溶液を再処理してしまったことは妥当性を欠いており、討論でもその点を指摘しましたが、明確な回答は得られませんでした。安全委員会として、再処理の実行は適当と考えていますか。また、再処理前に核燃料サイクル開発機構もしくは他の機関が再処理前に当該ウラン溶液の分析を行なった可能性がありますが、原子力安全委員会としてその点について把握していますか。もし時再処理前に分析が行なわれたのであれば、その内容は事故の核心にかかわるものとして広く公開されるべきと考えますが、安全委員会としてどう考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
事故発生後の10月20日、分析を行うために沈殿槽内からウラン溶液50mlの抜き取りが行われ、ウラン溶液の分析についての実績、十分な技術的能力を有する日本原子力研究所の2つのグループにおいて分析が実施され所要のデータが得られています。また、その方法、結果等については事故調査委員会において報告され、事故調査委員会報告書において公表されています。必要な分析、結果は全てこの時点で得られていると考えます。
また、当該ウラン溶液の再処理に関連しては、平成12年5月1日、当委員会に対し「再処理施設設置変更承認に係る安全性について(諮問)」が科学技術庁より諮問されており、当委員会としては本再処理施設の安全性は確保し得るものと判断し同年7月17日に答申を行っていますが、その実施に際して、当該ウラン溶液の分析の有無について当委員会は承知していません。
事故の際に放出される揮発性放射能の量を知ることは事故の影響を評価する上で重要です。環境中に放出された放射性希ガスの量は正確には定量されていません。放出量を知るための有効な手段の一つは、沈殿槽内溶液中に残っている放射性クリプトンの崩壊生成物である89Sr,90Srおよび91Yの定量です。放射性クリプトンが放出されたために、89Sr,90Srおよび91Yの量が溶液中で減少しているはずだからです。このような、沈殿槽に入っていた溶液に含まれるβ線放射体の定量・分析が不要であるとの発言がありましたが、それは何故ですか。またこの発言を妥当だと考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
環境の安全を確認するには、環境に放出された放射性物質の最大量を確実に把握することが重要です。日本原子力研究所の分析によって、放出源である沈殿槽内で生じた核分裂総数が確定され、生成した核分裂生成物の全量が把握できたので、その中に含まれる揮発性核種の生成量を評価することができました。そのことにより環境の安全の確認には十分であったと判断したものです。また、同分析結果から、放射性ヨウ素(I-131)は、数%が沈殿槽外に放出されたことが確認されました。
したがって、それ以上詳細に放射性希ガスの放出割合を定量することは、環境の安全を確認するためには重要ではないと判断し、沈殿槽に入っていた溶液中のβ線放射体の定量分析はしておりません。
転換試験棟の核燃料物質加工施設としての適格性について、討論において指摘したとおり、独立した放射線管理室、専用の入口および独立の排気設備をもたない施設は核燃料加工施設としては不適当なものであり、安全審査の際に問題になるべきだと考えます。なぜこのような施設が許可されたのか、安全委員会としてどう考えていますか。「経営の微細構造まで安全審査では実は見ていないと私は思っています」との金川委員の発言がありましたが、この発言が妥当であると考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
原子力安全委員会においては、当該変更許可において?その事業を的確に遂行するに足りる技術的能力があること、?加工施設の位置、構造及び設備が核燃料物質による災害の防止上支障がないものであること(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第14条第2項)、について安全審査を行った結果、妥当なものと認めているものであります。
原子力安全委員会としては、当該施設の安全審査時には、核燃料施設安全審査基本指針に加え、ウラン加工施設安全審査指針を参考に審査を行いました。これらの指針には、例えば放射線管理については施設の閉じ込めの機能、放射線遮蔽、放射線業務従事者の放射線被ばく管理のための対策が講じられているかどうか、また環境安全については放射性廃棄物の放出管理、放射線監視を行うための対策が講じられているかどうかといった点を安全審査の基準として挙げており、厳密な調査審議の結果、基準を満たしていることが確認されました。
なお、原子力安全委員会としては、すべての関係する施設が独立し、又は専用でなければならないとは考えておらず、施設の形態や核燃料物質等の取扱いに応じた適切な管理がなされること等により、上記基準を満たせば安全が確保されるものと考えます。
また、原子力安全委員会の安全審査においては、事業者の経営の微細構造までは審査を行うことにはなっておりません。
事故調に、核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)から委員を入れたことについて、松浦委員長は「重要なことなので今後は注意したい」と述べ、改善を約しました。これを実現するためには、具体的な基準と手続きが必要と考えられますが、独立性を担保するためのどのような仕組みを作る考えですか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
原子力安全委員会における部会委員は、組織代表としてではなく、その部会が対象とする領域に鑑み、専門分野やその分野における専門知識、過去の実績、委員の構成等を総合的に判断し、学識経験者のうちから内閣総理大臣が任命し(原子力委員会及び原子力安全委員会設置法施行令第9条)、専門部会を構成する専門委員、調査審議すべき事項を原子力安全委員会が定めております(原子力安全委員会専門部会運営規程第1条)。
今後とも、委員会運営にあたっては、より一層注意を払ってまいる所存です。
安全委員会の部会のもとで具体的な審議を行なう、いわゆるナンバー部会について、現状では全文議事録が公開されていないことから、討論ではその公開を要求しました。この点について、今後はナンバー部会の議事録を公開されますか。また今後、広く情報公開の強化をどのように進展させるかを具体的に示して下さい。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
ナンバー部会の資料は、議事概要も含めて原子力公開資料センターにて公開しております。
しかし、討論(第2回地方原子力安全委員会)においては、「ナンバー部会の議事の中身、これについて、速記することまで必要かどうかはわかりませんが、議事の概要をきちんととって行政方から提出されていたものと一緒にホームページに掲げるというようなことは、ぜひ今後の改革としてやっていただきたい」とのご要望をいただいていると承知しております。
従前より公開しております議事概要については、内容を充実するよう努力してまいりたいと考えております。
情報公開の強化については、原子力安全委員会では、これまでも委員会の活動の情報公開をさらに促進し、より一層国民に開かれた委員会となるよう、会議の議事及び資料の公開、意見の公募、第2次公開ヒアリングの実施、原子力安全意見・質問箱の設置、地方原子力安全委員会の開催などの施策を行ってきたところです。平成13年4月より情報公開法が施行されましたが、原子力安全委員会に係る行政文書についての開示請求は内閣府の情報公開窓口にて受け付けています。
事故調報告書の「委員長所感」が報告書に収録されていますが、この「委員長所感」では、「直接の原因は全て作業者の行為にある」としています。報告書に収録し、そのまとめとして用いた以上、事故調査委員会としてその見解を共有していると考えられますが、この「委員長所感」について安全委員会としては現在どう評価していますか。現在も、原因と責任は作業者にあると考えていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
原子力安全委員会の下に設置された事故調査委員会は幅広い有識者の参加を得て構成され、その調査・審議は公開されており、また、本報告書は一般からの意見をはじめ、各方面からの意見を踏まえ取りまとめられたものであり、原子力安全委員会としてその見解を重く受け止めております。
ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告にもあるように、事故に関しては、「運転規則の逸脱といういわば単純な行為によっていとも簡単におきてしまったという事実」があります。
このため、「事故調査委員会委員長所感」では、「逸脱行為を責めるだけでは何も解決しないこと、すなわち問題は決して単純ではないこと」が指摘され、事故の「直接の原因は全て作業者の『行為』にある」と記載されたものです。
報告書では、このような逸脱行為を防止し、安全を確保する上での責任は、第一義的には事業者にあるとの認識の下、国や社会においても達成すべき種々の対策と提言がなされています。
この討論会を安全委員会は、今後行なうべきことを洗い出す機会と位置付けていました。そして実際に討論では、色々な問題点が洗い出されたと考えます。しかし討論直後の3月5日、「第二回地方原子力安全委員会の開催について」を議題として開かれた安全委員会本会議では、実質的な議論は全く行なわれませんでした。その後も具体的な反映がなされた様子は伺えません。この程発表された『原子力安全白書』2000年版では「自己点検」を掲げていますが、安全委員会では討論を受けて、どのような事柄を今後の課題として把握していますか。またそれらの事柄をどのように検討し今後のあり方に具体的に活かそうとしていますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
地方原子力安全委員会は、国民の立場に立った活動を行うために、広く国民の皆様のご意見を伺い、自己の活動に反映させる目的で行われているものです。
これまで計3回の地方原子力安全委員会を通じて、国民の皆様から直接伺ったご意見、ご質問については、国民の生の声として参酌し、その後の委員会活動に広く反映するよう努めています。
今回の討論は、事前に要請していた共催の公開討論会の形ではなく、また不十分な時間しか準備されませんでした。そして実際に、臨界事故について必要な議論が全て尽くされたわけではありませんでした。私たちは再度、原子力安全委員会との討論を行なうことを希望します。安全委員会として、今後も開かれた場での討論を行なう用意があるという姿勢と理解していますが、いつどのように実現されますか。またそのような場や、今後の地方原子力安全委員会などにおいて、討論時間を充分に確保する用意がありますか。それは具体的にどのように保証されますか。
(質問者氏名:JCO臨界事故総合評価会議)
(回答)
原子力安全委員会では、広く国民に開かれた委員会を目指して、ご意見、ご質問を受け付ける「原子力安全意見・質問箱」を設置するとともに、地方原子力安全委員会を開催し、生の声を直接うかがう機会を積極的に設けています。
今回の委員会については、貴会議からの要請を受け、開催地、開催曜日、討論内容などの調整を行い、原子力安全委員会初の市民団体との公開の場での意見交換会として実施したものと認識しており、貴会議のご協力に感謝しております。
会場の収容人数の問題や、活発な議論が行われ、会場の皆様からのご質問の時間を十分にとれなかった等の反省もありますが、今回は新たな試みとして、今後の地方原子力安全委員会の開催等の参考にしていく所存です。
今回のような市民団体との意見交換については、今後の地方原子力安全委員会の開催予定や、市民団体からの開催要請等も考慮しつつ、検討してまいります。
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