JCO臨界事故総合評価会議
 
JCO臨界事故総合評価会議はJCO臨界事故の真相と影響を究明する市民サイドの研究プロジェクトです
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原子力安全委員会ウラン加工工場臨界事故調査委員会御中

1999年12月2日
JCO臨界事故総合評価会議

貴委員会においては、現在最終報告書の作成を準備されておりますが、事故の規模、態様、放出放射線量等の最も重要な事実評価に関する部分については、第5回会合で配布された分析(資料5−2。参考1ないし4を含む)以降、さらなる調査、分析がなされていないように見受けられます。これまで得られた結果では、事実の間にいくつも不整合が見られます。このままで調査の幕引きをすることに反対し、さらなる調査の続行と資料の公表を求めます。

資料5−2は、周辺での中性子線等による実効線量当量を推定したものです。中性子線の時間的推移を第一加工棟粉末貯蔵室のγ線エリアモニターのデータのみに基づいてモデル化し、距離的な分布を9月30日20時45分頃に行われた測定に依拠してモデル化し、中性子線量当量の測定からのプラトー部の核分裂数の推定を沈殿槽から250m離れた核燃料サイクル開発機構事務棟で同日23時15分に行われた測定データのみから先程の時間的推移のモデルに当てはめて計算し、核分裂総数を沈殿槽から採取したウラン溶液の分析と転換試験棟外部の冷却機室外機のステンレスネットの放射化分析から推定して、このプラトー部の核分裂数を差し引く形でバースト部の核分裂数を推定するという過程を経て推定しているものです。これらの推定は何段階かの仮定(モデル化)を経ていますし、それぞれの段階での推定の根拠となる資料が極めて少ないように思われます。特に最も重要な資料と思われる沈殿槽中のウラン溶液試料は採取時に撹拌がなされませんでしたし、1回しか採取されず、採取場所も中央付近の1ヶ所だけです。現在では沈殿槽付近の線量率はかなり低くなっておりますので、再度の採取には何ら支障はないと思われますが、何故か貴委員会では再度の採取を全く検討されていないようです。

また金属試料の放射化分析でも室外機のステンレスネットでは転換試験棟の壁等の遮蔽物を模擬して中性子の散乱を計算することになりますが、転換試験棟内にも金属試料はたくさんあり、それらの金属試料の方が模擬すべき遮蔽物が少なくなり、計算の信頼性も高まるはずです。さらには資料5−2の考察は実はすべて時間的推移に関するモデルに依拠していますが、その元になるデータが何故「第一加工棟粉末貯蔵室」の「γ線エリアモニター」のデータなのかということにも疑問が残ります。γ線からの推定ということをおいてもγ線エリアモニターは転換試験棟内に2ヶ所あり、それ以外にも第一加工棟粉末貯蔵室より沈殿槽に近いところに何カ所かあるはずですが、それらのデータは何故使用されず、また何故公表されないのでしょうか。

プラトー部の核分裂数の推定に用いられた核燃料サイクル開発機構事務棟のレムカウンターのデータは沈殿槽との間の中性子の散乱について壁1枚、厚さ40cmで模擬して計算していますが、転換試験棟の外壁及び天井は10cmで、転換試験棟内の沈殿槽のあった仮焼還元室の壁がやはり10cm、転換試験棟内の貯蔵室の壁が30cmですから、方角によりどの壁が何枚あるか、またその角度により実際の遮蔽状況はかなり異なってきます。

そして粒子状の放射性物質の影響については実証的な検討はなされていないようですが、検出できたかどうかは偶然的な要素が入りますので、フィルター等の健全性の確認と実際の捕捉状況から検証しておく必要があるのではないでしょうか。

 資料5−2は、中間段階での一応の見当をつけるという観点からは、有益な資料を提供しているとは考えますが、最終報告という段階においては、より正確な、多重的な証拠に裏付けられた分析を基礎にすべきであると、私達は考えています。

 以上の理由から貴委員会に対して以下の要請をいたします。

 最終報告書の作成前に以下の点について再度調査検討するとともにデータ及び結果を公表するよう要請します。

1、沈殿槽中のウラン溶液について

a、沈殿槽中のウラン溶液について再度の試料採取と分析を行いその結果を公表すること
その際には撹拌するか、沈殿槽の最底辺(沈殿物)、底部近く、中間下層、上層からも試料を採取すること
b、既に採取した試料の分析について検出された物質すべてについてのデータを公表すること

2、金属試料の放射化解析について

a、転換試験棟内部の金属試料(特にステンレスビーカー、ステンレスバケツ、それ以外にも転換試験棟内に金属試料は多数あるはず)の放射化について分析しそのデータを公表すること
b、室外機のステンレスネットの放射化分析について散乱の解析に当たって模擬したモデルの内容を具体的に公表すること

3、中性子線量の推移のモデルに関して

a、ガンマ線エリアモニターのデータについて、転換試験棟内部の2ヶ所のデータを公表すること
b、同じく第一加工棟粉末貯蔵室のモニター以外のモニターのデータを公表すること

4、中性子のエネルギーの算定に関して

核燃料サイクル開発機構事務棟2階の窓際におかれたレムカウンターと沈殿槽の位置関係を特定して、その間の遮蔽物について具体的に特定し、壁1枚、40cmでの計算の妥当性を再検討すること

5、粒子状の放射性物質等の漏洩に関して

転換試験棟の湿式スクラバ、プレフィルター、HEPAフィルターについてその健全性が維持されていることを具体的に確認するとともに、それぞれについて吸着された放射性物質の種類と量を測定し、フィルターへの到達量から見ても漏洩がないかどうかを分析し、データと分析結果を公表すること

6、転換試験棟の使用および加工の許可申請について

a、転換試験棟の使用および加工の許可申請にかかる申請書およびすべての付属書と詳細な図面を提供すること
b、安全審査の過程において参照されたすべての資料(部会資料も含む)を公表すること

以上

Acknowledge
JCO臨界事故総合評価会議の活動(2001年11月〜2003年10月)はトヨタ財団の助成「市民社会の時代の科学・技術 」を受けています(詳細)

 

 
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