コラム「風車」2018年2月

伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の抗告審で2017年12月13日、広島高裁は、18年9月30日までの期限付きではあるものの、「原子炉を運転してはならない」と新たな決定を下した。

火山影響以外の危険性については原子力規制委員会の判断が合理的だとしている点は納得しかねるが、ここでは批判は控えておこう。面白いのは、電力業界の意向を反映した業界紙の反応だ。

15年4月14日に福井地裁が、また16年3月9日に大津地裁が高浜原発3、4号機の運転を差し止める仮処分を決定した時、16年3月15日付電気新聞は「エネルギー安全保障の基幹をなす原子力政策が、地裁レベルの判断で“執行停止”に追い込まれるケースが多発することが想定される」と、「司法リスク」への対応を訴えた。

二つの地裁決定は異議審や抗告審で取り消されたが、今度は「地裁レベル」でなく、「まさか高裁で」の決定で「再燃 司法リスク」(17年12月15日、20日付電気新聞)を迎えた。そこで電気新聞は「高裁レベルでの判断が出された今こそ、国(立法府)が制度変更などに向け、重い腰を上げる時期ではあるまいか」と、原発推進派が多数を占める国会議員を焚き付ける。

何と愚かな。「リスク」だらけの原発から早く足を洗うことを考えるほうがずっと利口だと思うのだが。