コラム「風車」2007年6月

「風車」2007年6月号

原発解体廃棄物のクリアランスが、とうとう現実のものとなった。日本原子力発電が5月31日に発表したところによると、施設外への搬出は6月6日からという。

搬出されるのは、東海原発の解体で発生した燃料取替機などの炭素鋼の一部。まずは鋳造メーカーに送られ、加工されることになる。続いて電炉メーカーへの搬出が関係先との調整中だ。用途としては、鋳造品では「応接テーブル、ベンチ、ブロック、原子力関連施設の遮へい体」、電炉製造品では「原子力関連施設の建設工事で使用する鉄筋」が挙げられており、再利用先は日本原子力発電と原子力関係機関が「当面の候補」とされる。

電力会社などで交渉のテーブルにつくと、それが再利用品だったりするかもしれない。制度が「定着」すれば、再利用先はまったく無制限となる。

「放射性物質として扱う必要がない」とクリアランスをするための放射能濃度測定は、新たに開発された収納容器を用いて、およそ1トン分を一度にできるといい、測定時間は約12分と資料にあるが、06年10月18日付の電気新聞では「約5~6分かけて」とか。それが実際らしい。微量とされる放射能の測定としては、何とも安直だ。

加工に当たるメーカー(鉄工所)で他のスクラップと混ざらない保証もなさそうで、疑問だらけの強引なスタートである。