コラム「風車」2011年2月

「風車」2011年2月号

高レベル廃棄物を受け入れた地域は「死の地域」となるかのように反対派は主張していると思われているとすれば、それは誤解である。

日本のどこかしらでは、受け入れてもらわなくてはならないものなのだ。そこが「死の地域」になってよいはずがない。しかしもちろん、安心して引き受けてよいということではない。大きな危険性を有するものだからこそ、そのことを十分に理解したうえで、危険が顕然化することのないよう管理をしていく必要がある。

安全に処分できますと宣伝をして、お金をつけますから処分地に手をあげてください、国から申し入れがあったら引き受けてください、というやり方は、明らかに間違っている。大変な問題なのだということをきちんと認識して、大変なことをしかしやらなくてはいけないのだ。そのためには、現状では日本中どこでも反対なのだと突きつけるのが早道かもしれない。

そこで初めて、特定の地域が考えればよいことではなく、少なくとも日本に暮らすすべての人が真剣に考えるべきことにできるだろう。地下300メートル以深への処分で安全が保てるのか、もっとよい方法はないのかを改めて問い返すこともできるだろう。廃棄物の量を少しでも小さくして管理の方法その他の選択肢をひろげることに本気にもなるのではないか。