制御棒や制御棒駆動装置にかかわる事故・故障
「原子力資料情報室通信」の事故一覧をもとに作成サクセイ:2001年4月〜2006年3月
年月日ネンガッピ 原子炉ゲンシロ 事故概要ジコガイヨウ 備考ビコウ
20010405 柏崎刈羽5号炉 制御棒手動操作システムの回路基板の不良と見られる異常により,制御棒が操作できなくなるトラブル発生.  
20010708 柏崎刈羽5号炉 制御棒1本が誤作動し手動操作不能になったため,制御回路の基板を交換.  
20010713 柏崎刈羽5号炉 制御棒1本が誤作動し約2時間にわたり手動操作不能になったため,制御回路の基板を交換.7月8日とは別の制御棒で同様の異常が発生. 日立製作所高崎事業所86年9月に製造した汎用IC.東京,中部,北陸,中国,日本原子力発電,核燃料サイクル機構で使用.エレクトロマイグレーションが原因か?
20010727 柏崎刈羽6号炉 制御棒操作系の電源装置の不良で,制御棒1本が手動操作不能になるトラブル発生.  
20010919 柏崎刈羽5号炉 制御棒1本が誤作動し手動操作不能になったため,制御回路の基板を交換.7月8日,7月13日とは別の制御棒で同様の異常が発生.IC回路の異常とみて同炉の制御棒基板185個をすべて交換.  
20011101 福島第二2号炉 原子炉起動中,原子炉中性子束高信号(中間領域)により原子炉自動停止.運転員が制御棒引き抜き操作の際に,現在値を示す中性子束指示計のみを見ており,中性子束の増加傾向を把握するための記録計を確認していなかったことが原因.  
20011101 浜岡1号炉 原子炉圧力容器の底を貫通して取り付けられている制御棒駆動装置ハウジングの溶接部に応力腐食割れが生じ,一次冷却水が漏れているのを発見. インコネル182.スタブチューブ.
20020331 東海第二 落雷が原因で外部への送電ができなくなったため,原子炉が自動停止.停止の際に185本ある制御棒のうち1本が炉心に完全には挿入されず、手動による制御棒挿入操作により約1時間半後にようやく挿入.制御棒駆動水のスクラム排出弁が閉まっており機能しない状態であった.  
20030403 東海第二 定格出力にて運転中に落雷の影響で3月31日に原子炉自動停止したのち、運転再開時に出力上昇中に、原子炉給水系Bで水が流れないトラブルが見つかったため原子炉手動停止。さらに原子炉停止の際に制御棒1本が挿入失敗。  原子炉給水系Bの逆止弁のシート面の異常で開きにくい状態になっていた。制御棒を駆動するためのスクラム排出弁が閉じられていた。
20030528 福島第二3号炉 定期検査中,制御棒1本のハンドル部のガイドローラー取り付け部にひび割れ発見. ハンドル部とシース部をつなぐ溶接部近傍でもひび割れ発見.別の型の他の制御棒でも,同様の場所にひび割れ発見.
20030614 福島第二3号炉 定期検査中,燃料を装荷したセルのうち一ヶ所に制御棒が挿入されていないことを発見し,燃料装荷作業を中断. 保安規程違反. 燃料装荷作業手順の誤り.
20030624 敦賀1号炉 定期検査中,制御棒の外観目視検査で,制御棒表面のさや(ステンレス:SUS316L)とハフニウム固定部材(ステンレス)との溶接部近くに,線状のひび割れ模様を発見. 前回点検で送荷した5本の制御棒(ハフニウム板型)で,合計287ヶ所のひび割れが見つかった.
20030708 常陽 定格出力(140MW)の0.1%以下で運転中に行なっていた制御棒校正試験で,引き抜き後の制御棒挿入が遅れ,「中性子束高」信号により原子炉自動停止. 制御棒操作をしていた作業員2人が出力の指示値を見逃したため.
20030822 福島第一3号炉 定期検査中、制御棒駆動水圧系配管282本中242本の格納容器貫通部の継手部分にひび割れ発見。 格納容器内の大気に含まれる塩素または格納容器外の海水ドレン漏洩による塩化物付着が関与する粒内型(貫粒型)応力腐食割れ。
20031006 福島第二4号炉 定期検査中,2本の制御棒で,ハンドル部ガイドローラ取付部,制御棒表面のシースとハフニウム板固定部材の溶接部にひび割れ発見. 10月10日までに,もう1台の再循環ポンプのインペラでも同様の傷を発見.
20031011 福島第一4号炉 原子炉の点検停止において、制御棒駆動水圧系配管で格納容器外の28本と格納容器内部の1本にひび割れ発見。 格納容器内の大気に含まれる塩素または格納容器外の海水ドレン漏洩による塩化物付着が関与する粒内型(貫粒型)応力腐食割れ。
20031118 福島第一6号炉 定期検査中,制御棒駆動機構ハウジングスタブチューブの点検前の洗浄作業で洗浄装置引き上げの際に炉心支持板に接触し,洗浄装置部品の一部が原子炉圧力容器内に落下.  
20031205 福島第一6号炉 定期検査中,原子炉建屋3階南側制御棒駆動水圧系制御ユニット付近で水漏れを発見. 漏えい量は145リットル,放射能量は350万ベクレル.工事のため切断していた原子炉水位計計測配管の養生部からの水漏れ.
20031220 福島第一6号炉 定期検査中,制御棒駆動装置ハウジングスタブチューブの応力改善作業で応力改善装置が停止. 装置先端駆動部に60〜62個封入されているボールベアリング鋼球(直径0.7mm)のうち27〜29個が脱落.12月25日までに原子炉圧力容器底部および原子炉圧力容器外より計9個を回収.
20040117 柏崎刈羽3号炉 定期検査中,制御棒駆動装置(185本)の摩擦測定検査のため制御棒引き抜き操作をしていたところ,1本の制御棒の位置が確認できなくなり警報発報. 制御棒駆動装置内にあった空気により制御棒の動きに異常をきたしたため.
20040125 福島第一6号炉 定期検査中,原子炉建屋格納容器内制御棒駆動水圧系挿入・引抜配管の継手部から水漏れ. 漏えい量は4.7リットル,放射能慮は12万ベクレル.
20040224 美浜1号炉 定期検査中,制御棒29本を順次引き抜く操作を行なっていたところ,制御用制御棒の一つのグループ(4本)が、検査手順書で定めた位置(317ステップ)より1ステップ多い、318ステップまで引き抜かれていることを発見したため,検査を中断. 制御棒駆動系機能検査の検査手順書の一部に不備があることが判明.制御棒を動作させるタイミングを調整するための動作信号を発信する回路(マスタサイクラ)の位置確認が行なわれなかった.
20040228 福島第一3号炉 定期検査中の「原子炉停止中の制御棒1本引き抜き」確認において、2本の制御棒が引き抜きできたため、インターロックが解除されていることを確認。 保安規定違反。起動に向けた原子炉圧力容器復旧作業中に、制御棒操作と並行して燃料交換機の移動を行なうために、誤った信号入力を行なったため、制御棒の引き抜き防止インターロックが解除されたもの。
20040304 福島第一3号炉 定期検査中、制御棒駆動水圧系の取替工事後の使用前検査において制御棒の挿入・引き抜き試験を行なったところ、1本の制御棒が規定時間内に炉内に挿入されないことを確認。分解点検をしたところ、制御棒駆動機構内に針金状の異物の混入を確認。このほかにワイヤーブラシの毛先状の異物も発見。 1本の制御棒が規定時間内に挿入されず、さらに別の1本が引き抜けない事故が発生。見つかった異物はシュラウド交換時および(前回定期検査)制御棒駆動機構引き抜き挿入配管取替時に放置された可能性。
20040312 柏崎刈羽1号炉 定期検査中,制御棒の動作確認をしたところ,基準にくらべて有意に遅いものと速いものが185本のうち8本あることが判明. 制御棒駆動水圧系内の水泡などの影響によると推定.
20040316 浜岡5号炉 原子炉起動前の臨界確認検査制御棒の引き抜き作業を行なっていたところ,1本の制御棒が引き抜けない事故発生. 制御棒を駆動させる電動機を制御する電気回路に不具合があったと推定.回路を新品と交換.
20040329 柏崎刈羽6号炉 制御棒操作監視系の異常をしめす警報発報.制御棒8本の操作が不能になった. 警報の発生原因となった制御装置を切り離して基板を交換.
20040504 大飯3号炉 定期検査中に原子炉上ぶたのノズル付近にホウ酸の付着を発見.制御棒駆動装置案内管用管台にひび割れ確認.  
20040616 柏崎刈羽5号炉 制御棒1本の挿入圧力の低下が確認されたため,電気出力を98万キロワットまで降下させた.  
20050115 福島第二1号炉 復水器から制御棒駆動水圧系につながる配管の減肉.  
20050410 東通1号 試運転中、原子炉起動時に185本ある制御棒のうち1本の制御棒位置が確認できないことを示す警報が発生したため、原子炉を手動停止。 制御棒位置検出スイッチの動作不良。
20050720 柏崎刈羽5号 定期検査中、外観検査でハフニウムフラットチューブ型制御棒4本にひび割れ発見。2本全ての制御棒で3箇所または4箇所のローラピン溶接部にひび割れ確認。 照射誘起型の応力腐食割れ。
20050910 敦賀1号 制御棒水圧制御ユニットの1体において、制御棒スクラム・アキュームレータの充填プラグのネジ山に不具合を確認。 窒素補給用ホースが接続できないものが他にも7本あることを確認。
20051222 柏崎刈羽3号 悪天候による送電線への影響で再循環ポンプが自動停止し出力降下。その後ポンプを再起動し出力上昇中、12月24日に制御棒引抜き監視装置1系統が表示されないトラブルが発生。 切替用リレーの不具合と推定。
20060109 福島第一6号炉 定期検査中、ハフニウム板型制御棒9本でシースとタイロッドなどにひび割れ発見。うち1本の制御棒ではシースが大きく破損しているのを確認。 中性子照射誘起型応力腐食割れ。2005年12月21日には原子炉停止のために制御棒を挿入した際に途中で挿入できなくなるトラブル発生していた。
20060119 美浜1号 29本ある制御棒のうち1本の制御棒が動いていないにもかかわらず位置指示値が揺らぐトラブルが発生。 位置指示装置変換器の不具合と推定し予備品に交換。
20060301 島根2号 炉心増倍率測定試験において、10本目の制御棒で中性子束上昇率を中性子源領域計装により測定していたところ、指示が急上昇し制御棒が自動で全挿入。 検出器の不具合と推定。
20060311 福島第一3号 定期検査中、ハフニウム板型制御棒5本でシースとタイロッドなどにひび割れ発見。うち1本の制御棒ではシースが大きく破損しているのを確認。 中性子照射誘起型応力腐食割れ。
20060321 女川1号 定期検査中、「原子炉停止余裕検査」において26-19の位置にある制御棒について1ノッチ引抜操作をしたところ、2ノッチ引抜となるトラブルが発生。 制御棒駆動機構の動作速度が速かったと推定。