二国間原子力協力協定の審議に関するお願い

衆議院外務委員会委員各位
参議院外交防衛委員会委員各位

二国間原子力協力協定の審議に関するお願い
2011年2月2日

認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室
Citizens’ Nuclear Information Center
共同代表 西尾漠
国際担当 フィリップ・ワイト
東京都新宿区住吉町8‐5 曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801
Email:cnic[アットマーク]nifty.com
web:http://www.cnic.jp

今国会にロシア、ヨルダン、韓国、ベトナム各国との二国間原子力協力協定の承認案件が提出されようとしています。それぞれ、下記の日付に署名されたものです。

日本・ロシア協定:2009年5月12日
日本・ヨルダン協定:2010年9月10日
日本・韓国協定:2010年12月10日
日本・ベトナム協定:2011年1月20日

昨2010年7月28日、原子力資料情報室は、日露原子力協力協定に関する公開質問を政府に送りました。
www.cnic.jp/936
同協定では、日本からの核物質、資材、設備及び技術が、IAEAの査察を受け入れた施設にのみ移転される保証がないことを質すものです。その直後、公開質問およびそれに関するプレスリリースを衆議院外務委員会委員の皆様および参議院外交防衛委員会委員の皆様にお渡ししました。また、10月4日には、ロシアおよびヨルダンとの協定に関する追加コメントを提供いたしました。
 日本から他の国への核物質、原子力関連資材、設備及び技術を移転することには、核拡散や事故、移転相手国内での非民主的な建設といった問題がありえます。とりわけロシアのような核兵器国への移転には、軍事部門と民生部門に明瞭な区別のないなかで核兵器製造能力の「向上」を助長しない保証はなく、いわゆる「縦の核拡散」への強い懸念があります。
 ところが各国との協定では、核不拡散や安全性に関する項目で、それぞれに相違があります。その大略を以下に記します。

◎ウランの濃縮、使用済燃料の再処理、プルトニウムの転換といった核拡散に直結する技術、設備、核物質の移転:ロシアやヨルダン、ベトナムとの協定では「移転されない」と協定に明記。韓国との協定では「合意された議事録」で移転されないと合意。
◎移転された核物質、回収され又は副産物として生産された核物質の濃縮・再処理:ヨルダンとの協定では、「濃縮され、又は再処理されない」ことを無条件で明記。ロシアや韓国、ベトナムとの協定では、日本からの事前同意があれば可能(ロシアや韓国との協定では、20%未満の低濃縮については事前同意も不要)。
◎移転された核物質、回収され又は副産物として生産された核物質への保障措置の適用:日本およびヨルダン、韓国、ベトナムの各国については、それぞれの国がIAEAと結んでいる保障措置協定の適用を受ける。ロシアについては、原則として保障措置の適用上IAEAが選択している施設に置くものとするが、日本・ロシア双方の書面同意を条件として別の施設に置くことも可能。
◎核物質、原子力関連資材、設備及び技術が置かれ又は用いられる施設の安全性確保:ヨルダンやベトナムとの協定では、「安全性を確保するための措置の実施に関する相互に満足する取極を行うことができる」とされているが、ロシアや韓国との協定には、この項はない。

 このように相違のあることを考慮し、国会での審議では、軍事部門と切り離され、IAEAの査察を受け入れた施設にのみ移転されること、濃縮や再処理について日本からの事前同意を行わないこと、今後続いて締結が予定されている諸国との協定に少なくともヨルダンとの協定にある規定(濃縮・再処理の技術等は移転しない、移転先の国では濃縮・再処理を行わない、安全性確保措置の実施取極を行える)を盛り込むことを求めていただければ幸いです。
 IAEAとの間で追加議定書を伴う包括的保障措置協定を締結していない国と日本との原子力協力協定締結も取り沙汰されています。2010年のNPT運用検討会議に向けて日本とオーストラリアが共同提言したなかに明らかなように、同議定書が「国際的に認知された保障措置の基準となるべきであること」も申し添えておきます。
 どうかよろしくお願いいたします。