配管「管理指針」の見直し等に関する質問書

各地市民が共同で原子力安全・保安院に以下の質問を提出しています。

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美浜3号機事故を踏まえた
配管「管理指針」の見直し等に関する質問書

経済産業大臣 中川昭一 様
原子力安全・保安院長 松永和夫 様
2004年12月3日

【1】福島Ⅰ-5に関する保安院長の発言について
 東電は、保安院から運転継続の了承を得ていたにもかかわらず、福島県の「申し入れ」を受けて、10月中旬、福島第一原発5号機の運転を停止し、余寿命0.8年の減肉配管を交換しました。この減肉問題に関する保安院の10月7日の見解についての私たちの質問に対して、保安院は11月9日、「PWRの減肉率(平均値)について強調しすぎた。0.2、0.3という数字を金科玉条のように認識している訳ではない」、「局部減肉については定義は曖昧なもの」と反省の姿勢を示しました。
 ところが、新聞報道(11月7日付けの『河北新報』と『読売新聞』福島県版)によれば、松永院長は、「保安院の判断に問題がなかったと強調。今後も安全性評価の考え方は変えないとの認識を示した」(『河北』)、「保安院の見解について、『科学的合理性があり、基本的な考え方は変わらない』と強調した」(『読売新聞』)と言います。
 院長の発言は、保安院の11月9日の回答を打ち消す発言であり、黒(非科学的、非合理的判断)を白(科学的、合理的判断)と言いくるめる悪質な発言だと言わざるをえません。
(1)保安院が10月7日に示した判断・見解の理由(1)~(3)(特に(1))のいったいどこが「科学的、合理的」なのですか。具体的に示してください。
(2)保安院は、10月7日の見解を、「運転を継続することは、法令上も、また安全面でも問題はない」と結んでいます。しかし、保安院は、原子力施設の配管の減肉が技術基準を割っている可能性がある場合には、事業者に運転を停止し配管を取り替えることを求めるべきではないですか。

【2】大飯2号での類推による検査省略等について
(1)貴院の「中間とりまとめ」では、大飯2号の主給水管加熱器空気抜き管で、主要点検部位にもかかわらず、同じ配管の両隣の部位から類推し検査を省略していたことについて、問題なしとしています。その根拠について、前回の交渉では「今日は答えられません。確認します」とのことでした。この大飯2号の件について、なぜ問題がないのか、再度答えてください。

(2)前回の交渉では、大飯2号の点検を省略した4箇所について、同じ配管の両隣の部位を測定しているから問題ないとも説明されました。そうであるならば、その両隣の部位はいつ測定したのですか。それぞれについて測定時期と測定結果及び測定履歴を示してください。

(3)関西電力のみならず、泊原発2号、敦賀原発2号、川内原発1・2号でも、「火力基準」を悪用する等して余寿命を意図的に引き延ばしていたことが明らかになりました。これらの事態について、貴院はどのような措置を取るつもりですか。

【3】沸騰水型原発の検査状況について
(1)各電力の「調査報告」の一覧には、各系統ごとに、点検済みと未点検の箇所数があります。ところが、浜岡原発では3号機の抽出系統などで、同一号機の同一系統について、点検済ゼロ、今後点検予定ゼロ、という箇所があります。これらの箇所は、代表部位として点検した箇所が同じ系統に存在しないにもかかわらず、将来も点検しないことになります。
①このような箇所は代表部位が存在しないのではないですか。
 ②このような検査の状況について、問題はないと判断しているのですか。そうであれば、その根拠を明らかにしてください。

(2)東電の原発にも同様な問題が存在しますが、東電は「過去に代表部位であった箇所を対策材に交換したために、炭素鋼の管理からはずれ、数字上ゼロになったのではないか」と説明しています。
 ①このような検査の状況について、問題はないと判断しているのですか。そうであれば、その根拠を明らかにしてください。
②別に代表部位を設定し直す必要があるのではないですか。

(3)東北電力は、去年10月までは、オリフィスや弁の下流の測定範囲を「1.5D又は500mmの大きい方」としてきましたが、去年10月、「150A以上」についても「500mm」としました。この手法について、貴院は妥当なものと判断しているのですか。

【4】機械学会等における管理指針の見直しについて
(1)前回11月9日の説明では、管理指針の見直しについて機械学会、電事連、貴院で行っているとのことでした。
①それは、日本機械学会の「配管減肉対応特別タスク」(以下、「特別タスク」と言う)で行われている作業のことですか。
②前回の説明では、「公開性と透明性を大切にして見直しを行う」とのことでした。しかし、「特別タスク」では、早々と「配管減肉の機能性規格案」を定めたと報道されています。この「特別タスク」で提出されている資料等はhpでも公開されていません。公開されているのは、簡易な「議事録」だけです。「公開性と透明性」のためには、少なくとも資料等を迅速に全て公開すべきではありませんか。
③貴院が「特別タスク」第1回会合に提出した「発電用設備の配管減肉管理手法に関する規格策定の要望」を早急に提出してください。
④「特別タスク」の「配管減肉の機能性規格案」を早急に提出してください。

(2)前回の交渉では、管理指針の見直しに関して、「しかるべきデータ」を集めて行うとのことでした。
 ①「しかるべきデータ」とはどのようなデータのことですか。
 ②管理指針の見直しを行うためには配管の現状や減肉の傾向の基本、その把握のための配管検査の実態を調査する必要があるのではないですか。データを集めるというのは、すべてのデータを集めるのですか、それとも部分的なデータですか。
③部分的なデータしか集めない場合、貴院はその選択についてどのような原則を立てているのですか。
④誰がどのようなデータを選ぶのですか。
⑤最大減肉率の部位とそこの測定履歴を把握することは絶対必要条件ではないですか。
⑥BWRでの「代表部位」とはいかなる原理で選ばれているのですか。

(3)未点検箇所については、データの傾向さえ分からないため、まずは最低1度は点検する必要があるのではないですか。関電の場合、未点検箇所とはほとんどが「その他部位」であり、大飯1号の場合「その他部位」でひどい減肉が起こっていました。そのような傾向が未点検箇所のどこで起こっているか把握できていないのではないですか。

(4)類推による検査の省略は原理的に許されないのではないですか。例えば大飯1号の給水管で減肉がほとんどなかったDループについて、他ループとの区別は判明しているのですか。

(5)管理指針の見直しに際しては、「女川や福島のデータも取り入れてやる」ということですが、例えば女川1・2号機の高圧給水加熱器ベント管の材質ごとの減肉率最大値も取り入れるのですか。その場合、去年10月に変更した東北電力の現行の独自の求め方による減肉率の最大値を報告させるのですか。ステンレスでも減肉することについてどう考えるのですか。

(6)沸騰水型原発の配管の減肉率と余寿命の出し方は、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力とではそれぞれ異なっています。どのような方法に統一しようとしているのですか。

(7)配管の減肉が進んで穴の開いた部位についてもすべて報告させるべきではないですか。

(8)管理指針に対する国の関与についてはどのように考えているのですか。

【5】ランクCへの格下げについて
(1)貴院は9月27日、美浜1号、高浜3号、大飯2号の3基の「定期安全管理審査の評定結果」をBからCに格下げしました。関電のMOX燃料調達体制については、立ち入り検査まで行って調査するような特別扱いをして、品質管理体制についての判断をしています。その場合、トップマネジメントが強調されましたが、事故を起こした体質とは関係ないのですか。

(2)福井県知事は美浜3号の問題が解決しない限りプルサーマルを推進できないと考えているように伝えられています。それについて貴院はどう考えているのですか。

【6】老朽化対策について
保安院長は、11月19日福井県知事に対し、美浜3号機事故を受けて、国として来年3月までに老朽化対策の「中間報告」を出すと伝えました。
これまでの国の「高経年炉対策」は運転開始以来30年を経た原発を対象としています。しかし、美浜3号機は、運転開始以来28年で事故を起こしました。実稼働時間(時間稼働率の累積)でみれば、美浜3号は関電の原発の中で最長です。また関電の原発では、最も古い美浜1号と大飯2号(運転開始から25年)の実稼働時間は約15万時間でほぼ同じです。そうであるのに、美浜1号は高経年炉対策の対象で、大飯2号は対象外というのでは納得がいきません。実際、肉厚管理のやり方は、実稼働時間で評価を行っています。
このように実稼働時間をも考慮すれば、「高経年炉対策」では、少なくとも、運転開始以来25年たった原発を対象とすべきではありませんか。

【7】点検リスト漏れの経緯について
(1)点検リスト漏れの問題について、11月9日の回答では、「まず保安院の中できちっと追及する体制というのを構築いたしました。また、どういう点を今後、きちんとつめていくべきかというのも、今までの情報を元にきちんと整理しまして、今再度、関電、三菱重工、日本アームについて、取り調べというか、経緯を追及するような活動を始めている、ということです。」との回答でした。
①「きちっと追及する体制」とはどのようなものですか。それ以前とどう違うのですか。
②どういう点を追及すると整理したのですか。
③前回以降、3者の問題で明らかになった点はあるのですか。

(2)前回、具体的な回答がなかったため、再度以下の質問に回答してください。
 ①8月11日の日経夕刊及び12日の福井新聞によれば、三菱重工業㈱は日本アームに対して、1999年4月と2000年8月に、検査漏れの指摘や破断した配管部が減肉する可能性があるため検査が必要であることを文書で知らせ注意を喚起していたと報じています。この内容について貴院は三菱重工業㈱に調査を行いましたか。調査した場合、その結果を明らかにしてください。
 ②泊原発1号機でも当該オリフィス下流部がリストから漏れていたにもかかわらず、1995年にはリストに復活したと「中間とりまとめ」には書かれています。その経緯を具体的に明らかにしてください。
 ③同様に、敦賀2号でも当該オリフィス下流部がリストから漏れていたにもかかわらず、2000年にはリストに復活したと「中間とりまとめ」には書かれています。その経緯を具体的に明らかにしてください。
 ④8月30日付の報告徴収では、日本アームに対する指示事項として、「保守点検を的確に遂行し得る能力を有していることの説明」という項目があります。この項目について、日本アームからどのような説明があったのですか。
 ⑤日本アームの説明を受け、貴院は日本アームに対し「的確に遂行し得る能力を有している」と判断したのですか。
 ⑥8月17日付「福井新聞」では、日本アームの社員の話として、高浜4号と美浜1号でも当初オリフィス下流部がリストから漏れていたが、その後確認され、それぞれ1998年と2002年に肉厚測定を行ったと記載されています。この内容について、貴院は調査しましたか。