日米原子力協力協定にかんする訪米団報告

『原子力資料情報室通信』第520号(2017/10/1)より

日米原子力協力協定にかんする訪米団報告

 

原子力資料情報室と新外交イニシアティブは、共催で9月10日から15日にかけて、日米原子力協力協定と日本のプルトニウム政策について米国議会へのロビー活動や、シンクタンクでのシンポジウムなどを通して、この問題への米国の関心を高めるよう訴える訪米団を派遣しました。
訪米団のメンバーは逢坂誠二衆議院議員(民進党)、阿達雅志参議院議員(自由民主党)、服部良一元衆議院議員(社会民主党)、太田昌克早稲田大学・長崎大学客員教授(共同通信論説委員・編集委員)、三上元氏(元湖西市長(静岡県)、脱原発を目指す首長会議・世話人)、山田清彦氏(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団・事務局長)、松久保肇(当室事務局長)、猿田佐世(新外交イニシアティブ事務局長・弁護士)、通訳としてアイリーン・美緒子・スミス氏(グリーン・アクション)。事務局として当室のケイト・ストロネル、新外交イニシアティブの久保木太一(弁護士)、また服部氏のアシスタントとして小糸健介氏も参加しました。
超党派の訪米団であり、原子力政策についても推進から即時廃止まで広範囲の意見を持つメンバーが参加しました。しかし、2018年7月に日米原子力協力協定が満期をむかえることをきっかけに、日本の再処理問題を米国と議論する必要があるという点では目的を1つにしていました。
これまで実施してきた使用済み核燃料の再処理によって、日本は国内外に47トンのプルトニウムを保有しています。さらに来年に稼働が予定されている六ヶ所再処理工場では最大年間8トンのプルトニウムが分離されます。これは日本の国内問題のみならず、国際問題でもあります。現在、韓国・中国は民生用の再処理実施を検討しており、北東アジアでプルトニウムやその取り扱い技術が拡散する状況は、核拡散の観点からも、核セキュリティの観点からも決して好ましいものではありません。

 

議会での活動
今回の訪米では28の議員事務所を訪問し〔上院8(共和2・民主6)、下院20(共和8・民主12)〕、主に補佐官などとこの問題について議論してきました。また4名の議員には直接面会し、この問題に取り組んでいただくよう要請してきました。
中には、議会での具体的な行動を考えるために今後も情報交換を継続したいといったお話や、さらに踏み込んで議員間の調整を行うといったお話もありました。
印象としては北朝鮮の最近の動向や、中国への懸念などから、北東アジア地域の安全保障において、日本がプルトニウムを蓄積することは問題であるとの共通理解が米国にはあると感じました。
ただ、やはり、基本的には日本の国内問題であり、米国は介入しにくい立場にあるというコメントも多く聞かれました。また、協定を改定することは極めてハードルが高く、非現実的であるとのコメントも聞かれました。

 

議会外での活動
議会外でも、ブルッキングス研究所やマンスフィールド財団、軍備管理協会、ヘリテージ財団といったシンクタンクで核不拡散、原子力政策や日米関係の専門家とのラウンドテーブルを行い、さらに、CSIS(戦略国際問題研究所)では日本の核燃料サイクル政策にかんするシンポジウムを行いました。また、核不拡散政策教育センター(NPEC)が主催した下院外交委員会の委員会室での昼食会兼シンポジウムと、保守系の有識者を集めた夕食会にも参加しました。
こうした意見交換の場では、今後の具体的な行動のアイディアも提示されました。日本の国会議員、特に与党自民党の中からも日米協定と日本の核燃料サイクルについて懸念の声があるということはインパクトがあったように思われます。
また、CSISのシンポジウムに登壇したトマス・カントリーマン元国務次官代理は、協定期限が切れるこの機会にこの問題を議論しないことは政治的な失策である、日本が余剰プルトニウムを抱えないことにコミットすることが最低でも必要だと指摘していました。
4日間、極めて多忙な訪米でしたが、日米協定と日本のプルトニウム問題について多様なレベルで多くの方々と議論することができました。
しかし、今回限りの働きかけでは大きなうねりを作り出すことはできないため、今後の継続的なフォローアップは極めて重要です。今回、種をまくことができたさまざまな話を、具体化できるように頑張りたいと思います。

(ケイト・ストロネル/松久保 肇)

 

【訪米団へのご寄付のお願い】

 報告の通り、今回の訪米では米議会や多くのシンクタンク、有識者の間での日本のプルトニウム問題への関心を高めることが目的でした。結果として多くの議員や有識者の関心を高めることには成功したと考えています。ただしこの関心を行動に移すためには、継続的な働きかけが不可欠です。
今回の訪米では旅費・宿泊費・通訳費含め、約500万円のコストを要しました。当初予算に比べておよそ300万円の超過となりました。お恥ずかしい話ではございますが、皆様のお力添えを仰がなければ、継続的に米国側へ働きかけることはかないません。
六ヶ所再処理工場の稼働、日本の核燃料サイクルを止める絶好の機会です。なにとぞこの活動へのご寄付のほどよろしくお願い申し上げます。ご寄付の方法など詳細は同封の付録をご参照ください。
また、10月12日には、訪米団の報告会を行います。こちらの詳細についても、同封の付録をご参照ください。