2008/09/28

「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」一周年報告集会[2008/9/28]【終】

「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」からのお知らせです。


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 「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」
     一周年報告集会   

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 2007年7月16日の中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災するという未曾有の事態を受け、同年8月21日に「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」が発足してから、早くも1年が過ぎました。
 この一周年報告集会では、運転再開をめざす東京電力の主張と、閉鎖を訴える私たちの主張との間の争点を明確にし、現地のみなさんをはじめ、この問題に関心をよせる多くの方々の理解を深めて頂き、東京電力の調査のあり方や、政府の審査の姿勢への問題提起としたいと考えています。

→→【案内チラシPDF】

●日  時   2008年9月28日(日) 13:00~17:30

●プログラム

 1.活動報告
   ・「柏崎刈羽・科学者の会」一年間の活動と今後の課題
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 井野博満・菅波 完
   ・地元団体の取り組み/新潟県技術小委員会の傍聴経過
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 矢部忠夫・山口幸夫

 2.地震・地盤問題の争点 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 石橋克彦
     コメント ・・・・・・・・・・・・・・ 武本和幸・長沢啓行

 3.設備・機器問題の争点 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 田中三彦
     コメント ・・・・・・・・・・・・ 井野博満・黒田光太郎

 4.今後の活動に向けて
   ・総合討論・アピール文採択

  (プログラムおよび発表者は変更になる場合があります)

●会  場 YMCAアジア青少年センター・国際ホール
   http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/hotel/hotelindex.htm

 JR水道橋駅から徒歩5分(東京都千代田区猿楽町2-5-5)
 TEL 03-3233-0611

●参 加 費   800円

●問い合わせ 「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」
 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-21 戸田ビル4階
 Tel 070-5074-5985 Fax 03-3358-7064  
 E-mail  info●takagifund.org →●を@に変えて送信下さい。

< 「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」の活動は、高木仁三郎市民科学基金の助成を受けています。 >


 2007年新潟県中越沖地震からの一年を振り返って

 私たち、「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」は、発足時の呼びかけ文の中で、科学的・技術的見地から、次の4つの問題点を指摘しました。すなわち、1.柏崎刈羽原発周辺で再び大地震が発生する可能性を否定できない。2.敷地地盤は十分な支持性能を有しておらず、新耐震指針に明白に違反している。3.設備・機器が塑性変形を起こし、深刻なダメージを受けた可能性が高く、しかも、その検証法がない。4.地盤が劣悪で近くに活断層があり危険性が高いことは当初から地元住民が訴え続けてきたことであり、不幸中の幸いで大事故にならなかったことを深刻に受け止めるべきである。ということです。

 東京電力は、もっとも被害が少なかったとみられる7号機や6号機の設備健全性評価を先行させ、運転再開を急いでいます。地震動の最も大きかった1号機も並行して調査を進めるという方針で、原子力安全・保安院の了承を得ていたにもかかわらず、1号機の調査は途中で止まっています。保安院もまた、このような東京電力の運転再開シフトを黙認しています。先日発表された、その7号機の報告書にも問題点が多々あります。東京電力の行った地震応答解析(計算)は、設計時と同じではありません。「硬さ試験」によって塑性変形が生じてないことを確認したとしていますが、感度が悪く2%程度のひずみでは検出できないはずです。さらに、放射線被曝が大きい箇所や検査しにくい箇所では、超音波などの非破壊検査も行わないことを明言しています。東京電力はむやみに運転再開を急ぐのではなく、科学的・技術的見地から地震被害の全容をまず明らかにすべきことを、私たちは強く求めています。(詳しくは、当会のリーフレットNo.2をご覧下さい。)

 原発が蒙った地震動の大きさについては、1号機の解放基盤表面での最大加速度は1,699ガルと推定されており、これは旧指針の基準地震動S2の450ガルに比べて3.8倍もの大きな値です。なぜこれほどの過小評価になっていたのか、海底活断層の評価がいい加減だったことがまず指摘できますが、震源特性や複雑な地下構造を正しく知ることが非常にむずかしいのも大きな問題です。東京電力は観測データの分析と同時に新指針にもとづく基準地震動Ssを発表し、それをもとに運転再開をめざして耐震補強工事を進めています。しかし、東京電力の活断層評価については、新潟県技術委員会の小委員会でも、政府の審議会でも疑問が出され、激しい議論が交わされているところです。原発敷地を横切る真殿坂断層が動いたのではないかという問題も改めて浮上しています。将来起こりうる地震に対する基準地震動の策定は、十分慎重に議論を重ねてから行うべきだと、私たちは考えています。
(この点は、まもなく発行する、当会のリーフレットNo.3でも詳しくお伝えしますのでぜひお読み下さい。)