原子力資料情報室声明 「もんじゅの在り方に関する検討会報告書は、原子力規制委員会の勧告に答えていない」

もんじゅの在り方に関する検討会報告書は、
原子力規制委員会の勧告に答えていない

 

 

2016年6月6日

NPO法人 原子力資料情報室

 

 文部科学省が設置した「『もんじゅ』の在り方に関する検討会」(有馬朗人座長)が5月27日に報告書を取りまとめて、馳浩文部科学大臣に手渡した。検討会の設置は、昨年11月13日に原子力規制委員会が馳大臣あてに行った勧告へ対応したものだ。

 検討会がまとめた報告書は、規制委員会が発した2項目の勧告のどちらにも答えていない。報告書は原子炉設置者に求められる当たり前の要件をまとめただけであって、ここからは勧告1項が求めている「日本原子力研究開発機構(以下、機構)に代わる新主体」が見えてこない。馳大臣は、検討会終了後のコメントとして、これから主体さがしを行うと述べた。

 有馬検討会は、勧告2項の「特定が困難であるのならば、もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと」を全く検討しなかった。

 一方、有馬朗人氏が共同代表を務める原子力国民会議が「もんじゅ再生に向けた提言」を3月に発表していた。文科省検討会の議論の最中に、中立でなければならない座長の有馬氏がこのような提言を行うことはきわめて無責任な行為と言わざるを得ない。

 新主体がどのような「者」になるのか、分からないが、報道によれば、機構からもんじゅ関係部門を分離して新法人を設立する方向で検討しているという。検討会では機構よりもんじゅを知る者はないとの意見は多く出されており、委員としては共通の認識だったのではないか。

 勧告は、機構の敦賀事業本部(もんじゅの研究開発の実施本部)に出力運転の資格がないとして、同本部が運転することを認めていない。したがって、この部門に「もんじゅ」の運転を継続させ、新法人の経営層に原子力分野以外の外部専門家を半数以上加えたところで、なんの解決にもならない。原子力規制委員会の勧告を無視した「看板のかけかえ」以外の何ものでもない。

 文科省検討会では最後に3名ほどの委員から、もんじゅの政策における位置づけそのものを改めて(より広い場で)国が検討すべきだと意見が出ていた。

 まさにこの検討を行ったのが、当室が組織した「『もんじゅ』に関する市民検討会」(www.cnic.jp/6982)である。報道にみられる新法人機構の法的問題も検討した。そして、機構にもそれに代わる主体にも出力運転を行う能力はなく、「もんじゅ」は廃炉しかないと政策提言したのである。

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