原水禁・原子力資料情報室、オバマ大統領宛書簡を送付

原子力資料情報室は、7月13日、原水禁と共同でオバマ米大統領宛に被爆地訪問を要請する書簡を送りました。

これは、7月10日に米国の「憂慮する科学者同盟」(Union of Concerned Scientist)ほか著名な団体代表および個人(計12 名)が7月10 日にオバマ大統領に対し、今年の広島・長崎原爆記念日に両地を訪れ、核が二度と使われないようにしなければならないとの考えを再度表明すると共に、任期終了までに米国が取る具体的な措置について発表するよう呼びかける書簡を送付したのを受けてのものでした。

原水禁・原子力資料情報室のオバマ大統領宛書簡 

 私たちは、以下に添付した米国の影響力を持つ諸団体が署名した書簡にある要請を支持します。広島及び長崎を訪れ、その機会を使って「核兵器は二度と使われてはならないということを世界に想起させる」と共に、「核兵器が人類に対して与え続けている脅威を減らすために大統領の任期終了までに米国が取る具体的な措置を発表される」ようにとの要請です。 私たちは、大統領が広島、長崎、あるいはその他の場所で発表する核兵器のない世界に向けた政策――米国の核兵器の唯一の役割は米国及びその同盟国に対する核攻撃の抑止にあるとする「唯一の役割(目的)政策」を最初のステップとして採用することも含め――に反対しないよう日本政府に働きかけます。
 私たちは、また、大統領に次のように要請します。

 高濃縮ウラン及びプルトニウムの更なる蓄積をしないよう世界各国に呼びかけること――2014 年3 月の安倍晋三首相との共同声明において、2009 年4 月のプラハでの大統領の発言に言及しながら呼びかけられたように。
 既存の軍事用余剰及び民生用プルトニウムの安全かつセキュリティーの確かな処分方法開発のために日本政府その他と協力し合うプログラムを開始すること。大統領の共同宣言の表現を借りるなら、これは核軍縮を不可逆なものにするのにも役立つだけでなく、「そのような核物質を権限のない者や犯罪者,テロリストらが入手することを防ぐのに役立つ」でしょう。
 私たちは大統領に期待しています。被爆者が大統領に期待しています。

 


 米団体・個人のオバマ米大統領あて共同書簡

 

July 10, 2015

The Honorable Barack Obama

President of the United States of America

The White House

1600 Pennsylvania Avenue NW Washington DC 20500

 

Dear Mr. President,

We urge you to go to Japan to commemorate the 70th anniversary of the Hiroshima and Nagasaki bombings. You would be the first sitting American president to visit these historic sites.

This visit would provide you an unprecedented opportunity to remind the world that nuclear weapons must never again be used. It would also allow you to follow up on your April 2009 Prague speech, in which you said the United States has a “moral responsibility to act” and to lead the nations of the world in ending Cold War thinking, reducing the role of nuclear weapons, and ultimately achieving the peace and security of a world free of nuclear weapons.

Therefore, we urge you to use your commemoration speech to announce concrete steps the United States will take before you leave office to reduce the risks that nuclear weapons continue to pose to humanity.

These steps could include taking U.S. land-based nuclear weapons off high alert and eliminating the option of launching these missiles on warning of an attack, declaring that the sole purpose of U.S. nuclear weapons is to deter a nuclear attack on the United States and its allies, or independently reducing U.S. deployed strategic nuclear forces to the 1,000-1,100 level described in your June 2013 Berlin speech.

Any of these steps would send a powerful signal to the rest of the world that you remain committed to the goals you laid out in Prague.

Mr. President, we are counting on you. Our children and your children are counting on you. The world is counting on you.

Sincerely,

 

Angela Canterbury, Executive Director

 Council for a Livable World/Center for Arms Control & Nonproliferation

Jay Coghlan, Executive Director Nuclear Watch New Mexico

Lisbeth Gronlund, Co-Director, Senior Scientist Global Security Program Union of Concerned Scientists

Morton H. Halperin Former Director of Policy Planning Department of State (1998-2001)

William D. Hartung, Director Arms and Security Project Center for International Policy

Marylia Kelly, Executive Director Tri-Valley CARES

David Krieger, President Nuclear Age Peace Foundation

Peter Kuznick, Director American University’s Nuclear Studies Institute

Kevin Martin, Executive Director Peace Action

Jon Rainwater, Executive Director Peace Action West

Susan Shaer, Executive Director Women’s Action for New Directions

Catherine Thomasson, MD, Executive Director Physicians for Social Responsibility

Responses can be directed to: Lisbeth Gronlund, UCS, 2 Brattle Square, Cambridge, MA 02138 or lgronlund@ucsusa.org

翻訳:

 私たちは、広島・長崎の被爆70 周年を記念するために日本に行かれるよう要請します。そうすればあなたはこれらの歴史的な場所を訪れる最初の米国大統領となります。
 この訪問は、核兵器は二度と使われてはならないということを世界に想起させるまたとない機会を提供することになるでしょう。そして、2009 年4月のプラハ演説のフォローアップの機会にもなるでしょう。あの演説において、大統領は、米国には、冷戦的思考に終止符を打ち、核兵器の役割を減らし、そして、最終的には核兵器のない世界の平和と安全保障を達成する上で世界の国々の先頭に立って「行動する道義的責任」があると述べられました。
 ですから、私たちは、記念スピーチという機会を使って、核兵器が人類に対して与え続けている脅威を減らすために大統領の任期終了までに米国が取る具体的な措置を発表されるよう要請します。
 これらの措置のなかには、たとえば、米国の地上配備の核兵器を高度な準備態勢からはずし、それにより、攻撃が起きているとの警報の段階でこれらのミサイルを発射するオプションをなくしてしまうこと、米国の核兵器の唯一の役割(目的)は米国及びその同盟国に対する核攻撃の抑止にあると宣言すること、あるいは、大統領の2013 年6 月のベルリンでのスピーチで表明されたように1000~1100 発のレベルに米国の配備戦略核の数を独自に削減することなどが含まれ得るでしょう。
 これらのどの措置も、大統領がプラハで表明されたゴールに今もコミットしていることを世界に訴える強力なメッセージとなるでしょう。
 大統領、私たちはあなたに期待しています。私たちの子供たちもあなたの子供たちもあなたに期待しています。世界があなたに期待しています。