原子力資料情報室声明 川内原発稼働差し止め申し立て却下の鹿児島地裁決定について

特定非営利活動法人原子力資料情報室は、本日、九州電力の川内原発1、2号機の再稼働差し止めを求める住民側の訴えを鹿児島地裁が却下したことを受けて、声明を発表しました。

なお、決定文等はこちらからご覧いただけます。


 

川内原発稼働差し止め申し立て却下の鹿児島地裁決定について

2015年4月22日
原子力資料情報室

 

 本日、鹿児島地方裁判所は、住民が申し立てた川内原発1、2号機の稼働差し止め仮処分の申し立てを却下した。一週間前の高浜原発3、4号機についての決定と比べて、いや、比べるまでもなく志の低い、きわめて残念な決定と言わざるをえない。

 4月17日付電気新聞によれば、「13年2月に司法研修所で開かれた協議会では、裁判所当局側の意を受けた講師らから『原子力規制委員会の判断を大筋で尊重する』という方向」が示されたという。まさにその通りの決定であるが、それにしても鹿児島地裁決定による原子力規制委員会の判断の尊重の仕方はあまりに形式的に過ぎる。原子力規制委員会の新規制基準を無条件に前提とした上に、十分な検討もなく「適合性判断に不合理な点は認められない」とし、避難計画についても「一応の合理性、実効性を備えている」と性急に結論づけている。

 しかし、新規制基準そのものにも、審査内容にも、原子力損害対策の指針そのものにも、自治体が策定した対策にも、大きな疑問があることが、各方面から指摘されてきたところである。それらを司法の立場からていねいに検証することを、決定は怠った。福島原発事故以前に司法の水準を戻すものだ。まことに残念な決定であった。

 にもかかわらず、専門家だけには任せておかない、という大きな時代の流れは、もはや変わらないだろう。私たちは自信を持って次の段階に進みたい。

以上