美浜原発3号炉の事故調査の中間とりまとめに関するコメント

美浜原発3号炉の事故調査の中間とりまとめに関するコメント

2004年9月27日
原子力資料情報室

原子力安全・保安院は9月27日に、美浜原発3号炉の配管破裂事故に関する事故調査委員会で、中間報告をまとめた。5人の犠牲者と6人の重傷者を出したこの日本最悪の原発事故に対して、規制当局は8月9日の発生からわずか1月半という期間で事態の収拾をはかろうとして、拙速な対応を行なっている。

配管はいったいどのように破壊にいたったのか。破裂した配管ではなぜ減肉が他の系統よりすすんでいたのか。今後、事故が起こらないようにするための要となる点について、中間報告では解明がほとんどすすんでいない。

中間とりまとめでは、関西電力、および配管の検査を行なった三菱重工業、日本アームという2つの会社が関わった「配管の管理ミス」が、今回の事故の原因であると断定している。はたしてそうであろうか。「PWR管理指針」などにもとづいた事業者らの配管の管理計画や、老朽化した原発に関する「定期安全レビュー」などの机上の点検結果を無批判に承認してきた規制当局(旧資源エネルギー庁、および原子力安全・保安院)が、今回の事故の後押しをしていたとさえいえる。中間報告には規制当局のこれまでのとりくみに対する批判はおろか反省がいっさいなく、保安院は当事者能力を欠いているとしかいいようがない。

18年も前に米国・サリー原発2号炉で起きた配管破断・労働者死傷事故のそのまま引き写しのような事故が、美浜3号炉で、なぜ起こらなければならなかったのか。サリー事故から何も学んでこなかったからではないのか。

経済性のみを重視する考えから、定期検査期間の短縮と簡略化、老朽化原発の寿命延長運転など、安全性の軽視、切りつめ政策がすすめられている。配管の破裂、そして原発によって尊い5人の命が奪われたことは、日本の原発がおかれている状況にたいする大きな警告である。

原子力資料情報室は、美浜3号炉事故の状況・原因を徹底的に究明すること、事業者および規制当局の責任を明らかにすることがこの事故から教訓を引き出す第一歩であると考える。