制御棒落下,スクラム隠しがあらたに発覚

福島第一4号炉・柏崎刈羽6号炉で制御棒落下,福島第一2号炉でスクラム隠しがあらたに発覚/敦賀2号炉では格納容器気密試験でのごまかし

3月30日に電力各社が経済産業省の原子力安全・保安院に出した電力設備のデータ改ざんに関する報告書のなかで,東京電力の福島第一2号炉と柏崎刈羽6号炉で制御棒落下事故がおきていたこと,同じく東京電力の福島第一2号炉で原子炉自動停止する事故が起きていたことがわかった.また日本原子力発電の敦賀2号炉では定期検査中の格納容器気密試験で弁の故障をごまかして検査に合格していたこともわかった.

福島第一4号炉では,1998年2月22日に34本の制御棒が落下した(全体で137本).当時4号炉は定期検査中で,原子炉圧力容器に通常より高い圧力をかけて試験をしていたところ,逃し安全弁が作動して圧力が急に低下し同時に制御棒34本が1ノッチ(15センチ)落下した.臨界ににはなっていなかったという.圧力容器の圧力が低下したことにより,制御棒が挿入方向に少しうごいたため,コレットフィンガー(留め具)がはずれたとほぼ同時に,弁からのシート漏れにより引抜側の配管にも圧力がかかったことで制御棒が抜け落ちたと説明している.

柏崎刈羽6号炉では,営業運転前の試験運転時に制御棒4本が抜け落ちる事故があった.1996年6月10日,100%運転段階の停止中で,自動出力制御装置の確認試験中に205本の制御棒のうち4本が半分以上(200ステップ中の128ステップの位置まで)抜け落ちた.臨界には達していなかったという.6号炉は「改良型沸騰水型炉(ABWR)」とよばれるタイプの原発で,東京電力などでは,制御棒駆動装置の構造が従来の原子炉とは異なっているので,制御棒が抜けにくいと説明していた.

また,加圧水型の敦賀2号炉でも格納容器の気密試験のごまかしがあきらかになった.

■関連情報へのリンク

東京電力
「当社発電設備に係る点検結果に関する報告書」の提出について
www.tepco.co.jp/cc/press/07033001-j.html

日本原子力発電
発電設備に係る点検結果について
www.japc.co.jp/news/index.htm

北海道電力
発電設備の点検結果報告について
www.hepco.co.jp/info/2006/1173426_827.html

東北電力
発電設備に係る点検調査報告書の提出について
www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2007/03/30b.html

中部電力
発電設備の点検結果に係る報告書の提出について
www.chuden.co.jp/corpo/publicity/press2007/0330_1.html

北陸電力
発電設備に係る点検結果について
志賀原子力発電所1号機の臨界事故についての報告書の提出について
www.rikuden.co.jp/

関西電力
当社発電設備にかかる点検報告書の提出について
www.kepco.co.jp/pressre/2007/0330-1j.html

中国電力
発電設備に係る点検報告について
www.energia.co.jp/press/06/p070330-3.html

四国電力
発電設備に係る点検・調査結果の報告書提出について
www.yonden.co.jp/press/re0703/j0ypr012.htm

九州電力
発電設備に係る点検結果報告書の提出 について
www1.kyuden.co.jp/press_070330-1