東京電力・柏崎刈羽原発1号炉でスクラム事故隠し,福島第二1号炉でも

東京電力・柏崎刈羽原発1号炉で事故隠し,福島第二1号炉でも

■柏崎刈羽1号炉で1992年に起きた原子炉緊急停止事故を,東京電力は規制行政当局に報告していなかったことが明らかになった.

■1992年2月28日,定期検査に向けて原子炉を停止する際,タービンバイパス弁の異常が原因で原子炉が自動停止する事故がおきたが,なにごともなかったかのように「安全に停止した」と運転日誌に記載され,事故のあったこと自体が隠されていた.原子炉の自動停止を誘発すること自体が事故であり、法令上の報告義務もある.今回明らかになった事件は法律違反である.

■タービンバイパス弁の異常とはどのようなものであったのか明らかになっていないが,タービンバイパス弁が開かず原子炉の圧力が異常に高くなって原子炉のスクラムにいたった可能性がある.原子炉の出力急上昇も同時に起きている可能性が高く,安全上重大である.(→3月1日の報告書中に,制御系統の異常でタービンバイパス弁が全開したことが明らかになった)

■この事故の後,東京電力では1992年9月29日に,福島第一2号炉で原子炉への給水がストップし緊急炉心冷却装置が作動する,という大きな事故が起きており,発電所は異なるがこの事故隠しと無関係とは思われない.事故への反省の無さがより大きな事故を生んでいるというべきかもしれない.

■このような重大な事故を見過ごす,ないしは,見逃している規制行政当局とは,いったいどんな存在価値があるのか.運転にかかわる操作やデータを原則的に一般公開することとし,中央制御室の事故時の対応ぶりなども,「運転レコーダ」やビデオに記録し必要に応じて公開するしくみをつくるなどして,市民の監視のもとにおくべきではないか.

■東京電力はこの期に及んでも「2002年以降データ改ざんはなかった」と,それ自体虚偽の宣伝をおこなっている(少なくとも福島第一などの海水温度データ改ざんは2006年12月13日まで続けられていた).福島第一1号炉同様,2度の安全上重大な法令違反が明らかになった柏崎刈羽1号炉は福島第一1号炉とともにただちに閉鎖すべきである.

■関連ニュースソース
NHKニュース
東電 原子炉緊急停止報告せず
www3.nhk.or.jp/news/2007/02/28/d20070228000159.html

共同通信ニュース
原子炉の緊急停止隠ぺい 柏崎刈羽原発で92年
www.47news.jp/CN/200702/CN2007022801000656.html

新潟日報
東電、原子炉緊急停止を隠ぺい
www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=231205

毎日新聞
<東京電力>「原子炉緊急停止」報告せず 92年柏崎原発で
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000141-mai-soci

■福島第二原発1号炉でも緊急停止事故(1985年11月)を報告していなかったことが明らかになった.

■関連ニュースソース
読売新聞
東電、原発「緊急停止」2件を報告せず
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000414-yom-soci

朝日新聞
東電、原発緊急停止もみ消す 記録も改ざん 柏崎・福島
www.asahi.com/national/update/0228/TKY200702280366.html

毎日新聞
東京電力:「原子炉緊急停止」報告せず 92年柏崎原発で
www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070301k0000m040108000c.html