関電美浜3号タービン建屋で2次系復水管破断事故(2)

 美浜3号事故に関して、原子力安全・保安院は総合資源エネルギー調査会の下に「美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会」を設置した。
www.nisa.meti.go.jp/mihama0000003.htm
また原子力安全委員会は「美浜3号機2次系配管事故検討分科会」を設置した。
www.nsc.go.jp/siryo/siryo.htm
それぞれ現地調査をはじめ調査を行なっている。
 福井県警は9月4日から美浜発電所などへの捜索を開始した。関電や行政は刑事捜査を理由として情報公開を制限しようとしているが、それは事故調査と再発防止の妨げとなる。
 原子力安全・保安院は関電とそれ以外の電力会社に、原発での検査漏れがないか調査させ報告させた。
www.nisa.meti.go.jp/mihama0000002.htm
結果はおおむね検査漏れはないというものだったが、関電では美浜3号以外にも複数の原発の二次系で検査リスト漏れが見つかった。
www.kepco.co.jp/pressre/
また検査リストからは漏れていなくても、まだ運転開始以来一度も測定されていない場所が何万箇所もある。
 事故の直接の原因は検査リスト漏れだった。その経緯については以前として不透明である。しかし検査リスト漏れがなければ大丈夫なのか?1990年に作られたPWE二次系管理指針は、想定以上の減肉率や、想定していない場所での減肉をカヴァーできない。
 事故への詳しい経緯ーや他の原発の健全性について疑問が多く残っているのに、保安院の事故調査委員会は中間とりまとめを作って、事態収拾をしようとしている。
www.meti.go.jp/committee/materials/g40906aj.html
 保安院・事故調の言いたいのは、指針をふくめた老朽化対策手法全体は基本的に十分であり問題ないというものだ。「PWRの減肉率については、実績がPWR管理指針で規定されている数値にほぼ収まっていることから、指針に基づき点検の行われている部位については安全上の問題は生じない。また、BWRについては、全体として少ない減肉傾向にあり、現在の管理手法で特に問題となるものではない」(事故調資料4-1-5)
www.meti.go.jp/committee/downloadfiles/g40906a4150j.pdf
 しかし以下のようなことがどんどんわかってきている。
・美浜3号のみならず、美浜1号、高浜4号、北海道電力泊1号、日本原子力発電敦賀2号でも事故箇所と同様な箇所が最近まで検査漏れしていた。
www.fukuishimbun.co.jp/mihamaziko/kiji2.htm#0817a
・美浜3号では事故箇所と並行したなB系統も基準値以下まで減肉していた。
・関西電力は複数の原発で、交換基準以下の(交換しなければならない)配管を交換せず使いつづけてきた。
・沸騰水型原発である女川2号でも、1年で約3mmという激しい減肉が起きていた。
 事故調資料3-1-3もきわめて根拠薄弱な仕事だ。美浜3事故が明らかにしたのは、検査漏れを起こし軌道修正できない電力会社・原子力産業の実態のみならず、管理指針そのものに抜け穴があること、つまり今までの管理手法では配管の健全性を証明できず、美浜3号に限らずどの原発でも、人の知らないところで配管のダメージが進んでいるかもしれないということだ。