六ヶ所再処理工場精製建屋で漏えい事故発生(『通信』より)

六ヶ所再処理工場精製建屋で漏えい事故発生(『通信』より)

 アクティブ試験中の六ヶ所再処理工場の精製建屋で、5月17日19:00ころ、硝酸ウラン溶液の漏えいが発見された。プルトニウム精製工程の運転を停止し9時間後の18日4:00頃になって漏えいの停止が確認された。漏えいは、同建屋1階の試薬分配第1室からプルトニウム洗浄器セルに硝酸ウラン溶液を移送するステンレス配管の接合部(T字部)で発生した。

 隣室にいた下請け会社の社員が硝酸の異臭に気づき、扉を開けて発見した。漏えい量は約7リットル、漏えいした溶液に含まれる全ウランは1リットル当たり約21グラム、全体で147グラム。溶液に含まれる全ベータ約4.7×10^2ベクレル/ミリリットル、全アルファ:約6.5ベクレル/ミリリットルと公表されている。

 問題の「T字型継ぎ手」は、ウラン試験中の05年7月にも、製造時に不純物が混合し硝酸溶液によって腐食し漏えい事故を起こしていた。しかし日本原燃は他の同型の「継ぎ手」54箇所について目視によって問題なしとして、取替の措置を取らなかった。今回の漏えいは時間の経過によってさらに腐食が進んで漏えいを発生させた可能性が高い。材料の欠陥を知りながらそのまま放置していたために事故を招くという、六ヶ所再処理工場のお粗末な安全対策の実態が浮き彫りになった。

『原子力資料情報室通信』384号(2006.6.1)短信より
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