六ヶ所再処理工場プルトニウム被ばく事故:日本原燃のお粗末な被ばく対策と放射線管理体制

六ヶ所再処理工場プルトニウム被ばく事故:日本原燃のお粗末な被ばく対策と放射線管理体制

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六ヶ所再処理工場でプルトニウム被ばく事故
www.cnic.jp/376

■5月25日に公表された六ヶ所再処理工場でのプルトニウム被ばく事故に関して、公表・報道されている情報を整理しました。日本原燃は原因等について調査中としていますが、今までの情報からだけみても、六ヶ所再処理工場の被ばく管理、放射線管理の体制が、安全を本当に考えたものではない実態が明らかです。

■経過

【4/19~20】
35歳の下請け作業員(男性)は、他の作業員5名と分析建屋内でプルトニウムを含む試料分析の作業を行っていました。この分析試料は工場内の他の建屋から移送されたもので、液体状のものが固化され分析が行われました。作業は、グローブボックスと呼ばれる密閉状の箱形作業装置と、フードのついた作業台での作業です。作業マニュアルにはマスクの着用は義務づけられていなかったので、着用しないまま作業を行っていた模様です。そのため、作業員は何らかの理由で浮遊したプルトニウムの微粒子を鼻や口から吸い込み、内部被ばくしたと考えられます。(後の測定で、5人は被ばくしていないことが確認されています。)

6名の作業員は、この分析建屋(イエロー区域:線量当量率500μSv/h以下)から退出の際、ハンドフットクロスモニターで測定が実施されました。しかし被ばくした作業員の汚染は確認されませんでした。
*この放射能測定についての情報なし
*実際の汚染が19日なのか、20日か、日本原燃は公表していません。

【4/22】
洗濯のため作業着の放射線を測定したところ、右胸の部分が汚染されていることが確認されました。この作業着の使用者を特定し、被ばく測定が行われました。
*日本原燃:「被服の右胸部に汚染(最大でα:1.5Bq/cm2、β:0.17Bq/cm2)が確認されました。」
*汚染部分の大きさに関する情報なし。

【4/25】
しかしホールボディカウンターでは被ばくは確認できず、バイオアッセイ法(排泄物から内部被ばくした放射能の量を推定する方法)によりプルトニウム被ばくが確認されました。
*日本原燃:「試料の分析作業を行っていた協力会社作業員が、微量の放射性物質(預託実効線量で約0.01mSv(暫定値))を体内に摂取していたことが、本日、確認されました。」

■【日本原燃の作業マニュアル】:被ばくの危険性が少ないのでマスクは必要なし

プルトニウムを初めとする非常に危険で雑多な放射能を扱う再処理工場内の分析作業に、マスクの着用が義務付けられていなかったのです。その理由について日本原燃は、「被ばくの危険性がないので義務づけなかった」と説明しています。これは明らかに六ヶ所工場の「作業マニュアル」の重大な欠陥であり、日本原燃の「安全意識」のお粗末な実態を示すものです。そのような意味でも、今回のプルトニウム被ばく事故は、明らかに「人災」です。

日本原燃は、事故後マスクの着用を義務づける旨を公表しています。しかし六ヶ所再処理工場が先例としてガラス固化技術等を導入したり、作業員の教育・訓練を行った東海再処理工場においても、手袋・マスクを着用しなかったためにプルトニウムによる指先の汚染、内部被ばく事故は多発していました。この教訓を日本原燃はどう生かしたのでしょうか、何を先行施設から学んだのでしょうか。

■【被ばく管理、放射能管理の問題点】

作業員が分析建屋から退出の際行った被ばく測定で、汚染は見つかっていません。ハンドフットクロスモニターで、作業着の汚染が確認できなかったのです。一方で洗濯前の測定で汚染が発見されています。建屋出入りの際の測定システムの不備・欠陥、さらに作業員への測定方法や放射線教育が不十分だった可能性が考えられます。さらに被ばくした作業員は下請け企業従業員です。工場内の従業員教育がきちんと行われていない可能性もあります。さらにもし作業着の汚染が見逃されていたら、被ばくは確認できなかった可能性もあります。徹底的な原因の究明が必要です。

■【2日間の空白】作業員は被ばくの事実を認識していなかった。(当然日本原燃も)

作業員は2日間、被ばくへの処置も実施されずに、日常生活を送っていました。したがって22日以降バイオアッセ法が実施されたわけですが、プルトニウム被ばく後の排泄物も2日間は測定されていません。

*被曝量については、50年預託線量という、50年間プルトニウムが体内に留まって体内を被ばくさせるという評価値が公表されている。しかしその計算方法等は示されていません。
*作業員の勤務日程、作業の詳しい内容は公開されていません。

■【プルトニウム】

日本原燃はホームページ上で、今回のプルトニウム内部被ばくについて、「胸部レントゲン撮影により被ばくする線量の約5分の1であり、被ばく歴に記録するレベル(記録レベル:2mSv)よりも十分低い。」と述べています。これはプルトニウムの内部被ばくとレントゲン撮影による外部被ばくという、まったく性格の違うものを比べるという、まったく非科学的な議論です。明らかに事故の重大性を覆い隠そうとする意図的な情報です。

プルトニウムは、地球上で最も毒性の強い元素です。微粒子状で人間の器官や肺の繊毛に沈着します。一度体内に取り込むと極めて排泄されにくい物質です。プルトニウム239は24100年という半減期なので、ほとんど生涯にわたって細胞内の遺伝子に放射線をあびせかけることになります。今回の事故は、プルトニウムという発ガン性などの極めて毒性の強い放射能を誤って吸い込んで、体の中で放射線が発せられるのです。このプルトニウムの出す放射線(アルファ線)は非常に強力なエネルギーを出すので、どんな微量でも内部被ばくした場合遺伝子への破壊・損傷効果が確実にあります。被ばくした労働者への将来の健康上の影響は無視できないもので、今後の健康管理も重要な問題となります。しかし日本原燃は、特別な健康管理等は考えていないとしています。

■関連情報
【日本原燃】
www.jnfl.co.jp/daily-stat/topics/060525-recycle-01.html
【デーリー東北】
www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2006/kn060528a.htm
www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2006/kn060527a.htm
www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2006/kn060527b.htm
www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2006/kn060526a.htm
【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/0531/nto0531_10.asp
www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2006/sha20060529.html
www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2006/sha20060529.html
www.toonippo.co.jp/kikaku/kakunen/new2006/0527_4.html
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/0526/nto0526_7.asp
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/0525/nto0525_18.asp