福島第二3号炉・超音波探傷検査で再循環系配管のひび割れ見逃し(『通信』より)

福島第二3号炉・超音波探傷検査で再循環系配管のひび割れ見逃し

 福島第二原発3号炉(沸騰水型炉、110万キロワット)で、2005年5月に超音波による点検でひび割れが見つかっていたB再循環系の配管(再循環系入口配管)の溶接部を交換した後に詳細に調査したところ、すでに見つかっていたひび割れ以外に、深さ5.4ミリのひび割れが見つかったことを東京電力が2月7日に発表した。福島第二3号炉は2004年12月から定期検査中で、2005年12月から調整運転を行なっている。

 事前の調査で溶接部付近に発見されていたのは、溶接と平行な方向に発生した長さ17ミリ、深さ5.8ミリと診断されていたひび割れで、溶接部交換の際にこのひび割れを含むかたちで試験体を切り出し、1月23日から断面観察などの調査を行なっていた。その結果、もともと発見されていたひび割れは、深さが7.8ミリであることがわかり、さらに溶接部にごく近い位置に、溶接部に沿ったひび割れが、試験体の幅いっぱいの10センチに断続的にできているのがわかった。あらたに見つかったひび割れは深さ5.8ミリにも達していた。試験体だけでなく、配管溶接部のより大きな範囲にひび割れが広がっていた可能性があるが、この点についてはまだ確認されていない。

 これほど大規模なひび割れが超音波探傷検査で見落とされていたことは、ステンレス鋼のひび割れ検査技術の不正確さ・不確実さを実証するものだ。このような検査結果をもとに行なわれる健全性評価がいかにいい加減で、住民を欺くものであるかを示している。

『原子力資料情報室通信』381号短信
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