ソープのガラス固化処理施設のトラブル・内部告発で明らかに

ソープのガラス固化処理施設のトラブル・内部告発で明らかに

参考
www.cnic.jp/237

 英国セラフィールドの再処理工場ソープ(THORP)で深刻な事故が起きていたことがわかったのは今年の4月だった(本誌372、373、374号)。使用済み燃料を硝酸で溶解したのちに計量するタンクへ通じるパイプが振動の繰り返しで破断していた。BNFLは操業再開を急ぎ、タンクの取替えではなく、パイプをバイパスさせて06年3月の運転再開を目指しているという。
 今度はガラス固化処理施設でもトラブルが起きていたことが内部告発から明らかになった。今のところ、告発文を受け取ったと見られる地元紙のホワイトへブンとインディペンデント紙が伝えるのみだが、ガラス固化処理施設での出来事は、今後イギリスからの返還を受ける日本にも深く関係してくることから、以下、その内容を紹介したい。
 内部告発は施設の操業者である英国核燃料会社(BNFL)が、ガラス固化処理施設を含めてほぼすべてを売却する決定を下した直後に行なわれた。BNFLは経営が破綻した結果、一部を原子力廃止措置機関(NDA)が引き受け、利益が見込める部分は継続していたが、それも、このたび売却しようとしているようだ。
 このような状況では労働環境は良くなく、その条件も悪化していることは容易に推察できる。インディペンデント紙は告発書を引用して「ガラス固化建屋内の遠隔操作機器の操作ケーブルは切断され、ガラス状の廃棄物が入れられるはずのキャニスターには故意ではないが高レベル放射性廃液がいっぱいにはいっている。安全装置の誤作動についてはきちんと報告されないなど、生産目標ばかり追及されたため、工場が正常に運転することが困難になっている」と伝えている。
 また、「品質管理委員会は秘密の『ブラックファイル』会議と呼ばれて、議事録などがいっさい作られていない」と指摘している。ホワイトヘブン紙は「当該施設に対する秘密会議はいっさいない。記録を残さなかった会議はいくつかあるがそれは事務処理を簡便にするためであり、決して秘密会議ではなかった」とBNFL当局の弁明を載せている。
 また、製造されたガラス固化体についての品質不良など20以上の実例をあげて指摘している。そのうちのいくつかが報じられている。 3年前にキャニスターの審査を受けた際に、製造されたガラス固化体の3分の1が海外顧客(日本を含む)への返還条件に適合していない。2002年時点までに519体のキャニスターが製造されたが、調査された266体のうちの254体には製造記録がなかった。さらにその中のもっとも懸念される171体のうち52体は製造仕様に規定された以上の高レベル廃液が入っている。ガラス固化の過程でガラスの中に放射性物質をうまく閉じ込められていないものがあった。
 BNFLは、これらの問題は過去のものであり、2000年代初頭に10の改善を実施した後には改善しているとしている。04年から05年にかけて478のガラス固化体を製造したがすべて第三者信用機関のロイドレジスターの監査に合格しているという。果して、過去のできごととしてすませられるのか、今後の動きを注目していきたい。(伴英幸)

『原子力資料情報室通信』377号(2005/11/1)より

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