[六ヶ所]六ヶ所再処理工場燃料プール:漏えいの原因は不正溶接 総点検で見逃し

六ヶ所再処理工場燃料プール:漏えいの原因は不正溶接 総点検でも見逃し

◆漏えいは不正溶接と調整工事が原因

6月8日に発見された使用済燃料貯蔵プール、バーナブルポイズン取扱いピットの漏えい事故は、プール建設時の不正溶接と、2004年末から実施されたバーナブルポイズン切断装置の調整工事によって貫通穴ができたことが原因とする報告書が、7月12日日本原燃から公表された。

◆貫通穴は2ヶ所

「報告書」は、6ミリメートルの厚さのステンレスライナーの漏えい部分について、1)7年前の三菱重工の建設工事時に不正な「切り欠き・肉盛溶接」が行われ、つぎ足し部材を使い0.05ミリの厚さで溶接され、グラインダーがかけられた。2)連続した2箇所の貫通穴を確認。3)0.05ミリの厚さでは約100キログラムの荷重で破損の可能性がある。4)昨年12月からの同重工の切断装置の調整工事で貫通穴が生じた、としている。

◆曲面なので発見できなかった!

「報告書」によれば、【前回の総点検では、ライナーの溶接線にそって撮影したDVD映像をもとに3名の点検員が「疑義のあるグラインダー跡」を探したが、漏えい箇所は溶接線ではなく、曲面でもあるので発見できなかった】、と弁解している。【点検はルールに従って行われ、「点検要領書」に問題はない】、と日本原燃は断定している。さらに品質保証上の改善点としては【曲げ加工部の点検の撮影ルールの改善が有効である】とし、「総点検」で発見できなかった責任を撮影技術の問題とすり替えている。

◆プールの信頼性は向上??

さらに今後の対策について、【前回の点検において、多数の計画外の溶接個所を見つけ出し、補修したことにより、プールのなどの信頼性は向上したものと考えています。しかしながら、長期的な運転の中では、漏えいを想定することも必要と考えられることから、次の改善活動に取り組むこととします。……】として、曲げ加工部の再点検(約100ヶ所)や保安規定の変更をあげている。不正溶接による漏えい箇所は概ね補修済みであり、今後の漏えいに備えればよいという、全く無責任な態度である。

◆六ヶ所の燃料プールの漏えいは、想定内?

「報告書」は、今後の対応まで含めてプールの運転の継続、再処理計画の推進を大前提にまとめられている。日本原燃自身が、未対策の不正溶接箇所の存在を認め今後も漏えいが発生する可能性が大きいために、もう漏えいは「事故としてあ扱う必要がない」と宣言しているのである。日本原燃は、建前としての「安全確認」さえ放棄したに等しい。このような会社に再処理工場を運転する能力も資格もないことは自明である。

◆日本原燃・原子力安全保安院・青森県の三位一体

 7月12日、日本原燃の兒島社長が青森県の三村知事に上記報告を行った。三村知事は「遺憾」として同日原子力安全・保安院にたいし、「日本原燃の調査報告書」の妥当性の評価を求めている。これは「六ケ所再処理施設総点検に関する検討会」の議題となる。すでに原子力安全・保安院は、7月15日に「六ケ所再処理施設総点検に関する検討会(第15回)」を開催する予定になっている。
 
 日本原燃の「報告書」の公表、青森県知事の保安院への要請、検討会の開催等、事前に三者間で日程的な調整が行われたであろうことは自明だ。六ヶ所再処理工場の安全性、特に燃料プールの大規模な不正溶接問題への対応について、地元六ヶ所村・青森県の住民をはじめとして、多くの国民がこのような日本原燃・保安院・青森県の三位一体による「安全確認」体制に、最大の不信、疑念を持っている。この「報告書」がこのまま保安院や「検討会」によって“了解”されるようなことになれば、六ヶ所再処理工場の安全性と強引な計画推進への国民的不信と怒りは益々増大せざるをえない。

◆「総点検」の信頼性は崩壊した!

「再処理施設の品質保証体制点検結果報告書」が施設の安全性を確認したものではないという事実が自明となった。また今回の報告書で、「(漏えい量はわずかであり)、…プールの冷却能力を適切に維持し、……安全に影響を及ぼすものではありませんでした。」と主張する日本原燃の態度には、漏えい問題に対する真摯な反省、再処理工場という危険施設を運転するという自覚は全く見られない。「総点検」の信頼性はもはや崩壊している。”「安全」だから問題ではない”、と居直る日本原燃の安全は、もはや誰にもに信頼されていない。原燃には原子力事業者としての最低限の安全確保能力さえ欠如しているという根本的問題が問われずに、使用済燃料が輸送され、再処理工場のウラン試験が継続されていることこそ最大の安全問題ではないだろうか。また日本原燃だけでなく漏えいの再発によって、「総点検報告」を可とした、原子力安全・保安院と「六ケ所再処理施設総点検に関する検討会」の責任や検証能力についても、もおのずと問われることになる。

今までの再点検~国の確認という手法をいくら繰り返しても、再処理工場の安全性は確保できないことが明らかになったのである。

【関連情報】

◆日本原燃
「漏えいの原因と今後の対応について(報告書)」
www.jnfl.co.jp/press/pressj2005/pr050712-1.html
「漏えいに係わるプールの設計変更と工事について」
www.jnfl.co.jp/press/pressj2005/pr050712-3.html
「品質方針」
www.jnfl.co.jp/jnfl/all-quality.html
「再処理施設の品質保証」
www.jnfl.co.jp/quality/index.html
「再処理施設の品質保証体制点検結果報告書」
www.jnfl.co.jp/quality/index3.html
「再処理施設の品質保証体制点検計画書の修正について」
www.jnfl.co.jp/quality/index.html
◆「東奥日報」
www.toonippo.co.jp/kikaku/kakunen/new2005/0712_1.html
◆「デーリー東北」
www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2005/kn050712b.htm
◆YAHOO!NEWS
「時事通信」
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050712-00000027-jij-soci
「共同通信」
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050712-00000048-kyodo-soci
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050712-00000014-kyodo-soci
◆総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会六ケ所再処理施設総点検に関する検討会(第15回)の開催について
www.meti.go.jp/committee/notice/0002983/0002983.html