国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地決定について

国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地決定について

2005年6月30日

原子力資料情報室・原水爆禁止日本国民会議

 6月28日の閣僚級会合において、国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地をフランスのカダラッシュにすることが全会一致で決定された。これは、誘致の交渉開始から約3年も経過した後での結果である。

 今回のITER誘致に関連した一連の騒動に対して、私たちは以下のような声明をおこなう。

1. 本研究は、多くの嘘を私たちに提示した。

 ITER計画は、推進者が述べるような「国民のことを考えた将来に向けた素晴らしい研究」ではなかった。現実には、既得権益に群がる人々の駆け引きが行われただけで、税金を投入した誘致の作業にも関わらず、利用者となるはずの市民や、さらには次世代の人々に向けた説明はなかった。

 また、研究者達は本来の目的であったはずの「理想的なエネルギー源の研究開発」という理念を忘れ、研究費獲得のために私利私欲に走った。その結果、外交問題に翻弄され、いたずらに時間と資金を無駄にしてしまった。

 建設地を決める段階ですら、このような状況であることは、今後数十年をかけて行われる研究についても、期待をすることはできない。

2. 建設地は決定したが問題はまだ解決していない。

 今回の騒動の当事者は、優遇策を示すことで外交政策の失敗を隠そうとしている。例えば、日本からの研究職員の比率が2倍に増加するとされているが、20人が40人に変わっただけである。文部科学省や青森県がこれまでに使用したとされる約675億円の予算を、別のエネルギー資源の開発や雇用対策に利用していれば、もっと多くの人々が利益を享受し、またより良い社会の実現の可能性が示されていただろう。

 既得権益者たちもまだあきらめていない。既に国内では、関連施設誘致に向けた動きがあるが、例えば材料照射施設のIFMIFは、その安全性について明確な規定すらない高エネルギーの中性子ビーム発生装置なのである。

3. ITERの建設地は国外に決定したが、核融合研究のような原子核エネルギーを扱う大型研究プロジェクトの今後を考える必要がある。

 核融合は、投入エネルギーに比べて生み出すエネルギーは少なく、大量の放射性廃棄物を発生する。しかも実現の目処すら立っていないものである。

 今後の核融合研究に対して、「多額の資金をこれまで投入したのだから」「外交上問題があるから」といった理由で、結果もでないまま研究を進めることを認めることは出来ない。市民による監視システムや、プロジェクトの批判的検討システムが必要である。