[セラフィールド]ソープ再処理工場で高レベル放射性廃液約83立方メートル漏えい

ソープ再処理工場で高レベル放射性廃液約83立方メートル漏えい

◆イギリスのソープ再処理工場で、ウランとプルトニウムを含む高レベル放射性廃液約83立法メートルが漏えいする大事故が発生し、同工場は操業を無期限に停止している。同再処理工場は、原子力発電所の使用済み燃料から、プルトニウムとウランを回収し、高レベル放射性廃液を分離する施設で、同工場を運転するBNG(British Nuclear Group)は、工場は安定した停止状態にあり、施設の労働者、周辺環境への影響はない、としている。
◆5月9日以降報道されているように、イギリス中西部・カンブリア地方セラフィールド原子力施設内にある同工場では、すでに4月5日に清澄セル内で漏えいが確認されたため、部分的に運転が停止されていた。事故は同工場の前処理施設にある清澄セル(清澄設備の設置された小部屋)内で発生した。セル内は高放射線区域のため、遠隔カメラによる検査が行われ、放射性廃液は破損した複数の配管から漏えい液受け皿(セル内床全体に設置されているステンレス製の大きなタライのようなもの)に流失し、約25センチメートルの高さで貯まっているのが確認され、漏えいした高レベル放射性廃液は約83立方メートルと推定されている。
◆再処理工場では使用済み燃料を濃硝酸に溶かして処理しているが、漏えいした廃液に含まれる、プルトニウム、ウラン、高レベル廃液、硝酸の濃度、量などの詳細は不明。
◆現在、BNG(British Nuclear Group)が、除染・回収・補修方法等を検討しているが、高放射線区域のため作業員がセル内には立ち入れず、遠隔操作または特別なロボット等の作業しかできない。そのため、数ヶ月以上の時間、数千億円?1兆円の経費が必要になると報道されている。同工場の長期間の運転停止は必至で、工場の操業停止による収益減、再処理の遅延による債務の拡大によって、再処理事業計画全体の再検討が必要になると考えられる。
◆イギリスのN I I(原子力施設検査局、Nuclear Installations Inspectorate)は、5月16日から調査を開始する予定と報道されている。
◆この大事故の公表が数週間以上遅れたことは、同施設の経営責任への批判、安全操業への疑念・不審をさらに増大させることは否定できない。
◆日本の電力会社から同工場への使用済み燃料の委託再処理量は、全体で4200トン。2004年3月末現在の処理量は、3900トン、2006年中にすべての再処理が終了する予定とされていた。
(CNIC:URL参照: cnic.jp/files/repro_contract.pdf
◆ガーディアン紙の報道記事
www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,,1479483,00.html
◆イギリスの市民団体:CORE(環境の放射能汚染に反対するカンブリアの会)のホームページ関連記事
www.corecumbria.co.uk/newsapp/briefings/briefsmain.asp?StrNewsID=210
www.corecumbria.co.uk/newsapp/briefings/briefsmain.asp?StrNewsID=212
◆上記の日本語訳と解説:「美浜の会」ホームページ
www.jca.apc.org/mihama/
◆THORP(BNG)のホームページ関連記事
www.sellafield.com/content.php?pageID=147&newsID=1056
◆TOHRP主工程俯瞰図
mext-atm.jst.go.jp/atomica/pict/04/04070309/06.gif
◆六ヶ所再処理工場の工程
cnic.jp/rokkasho/img/process.jpg