策定会議の委員4名:細野大臣と近藤原子力委員会委員長宛て申し入れ

本日(2012年7月3日)新大綱策定会議の委員4名の連名により、細野大臣と近藤原子力委員会委員長あてに下記、申し入れ書を提出いたしました。


近藤駿介原子力委員会委員長 様

2012年6月19日に新大綱策定会議委員の4名が提出した「秘密会議に関する第三者検証と原子力委員会改革に関する要望書」の内容を無視し、6月21日の原子力委員会において、「核燃料サイクルの選択肢について」を決定したことに強く抗議する。

「核燃料サイクルの選択肢について」には由々しき問題をはらんでいる。

(1)まず何より「核燃料サイクルの選択肢について」の最後に、「なお、現在技術小委の検討過程に関する検証チームが設置され、検証が進められている。この検証の結果、見直す事項が認められた場合には、本決定の見直しを行う」と書かれているが、これは現在の内部による検証作業を前提としたものであり、原子力委員会が何らの反省もしていないことを意味するだけである。先の要望書でも指摘したように、「内閣府副大臣と内閣府職員6名による秘密会合の「検証」は、第三者によるものとは言えず、内部のやらせ検証になる恐れ」があり、また細野原発担当大臣も、「衆議院予算委員会において、この点において『最終的に外部に評価してもらうなどのやり方を至急検討したい』と改善策」に言及している。

実際、利害関係者との秘密会合の第1回に原子力委員全員が参加しており、その後の会合においても原子力委員長、委員長代理をはじめ委員が参加していたと報じられている。こうした事態を踏まえ、原子力委員会は第20回新大綱策定会議において自ら改善に努力することを決意表明したはずである。にもかかわらず、「新大綱策定会議の審議中断について」においても、第三者による検証作業に関して何らの改善策を示していない。きちんとした第三者による検証作業を待たずに、現在の原子力委員会自らが改革の方向性を示すことなしに、こうした決定することは許されない。しかも、これまで時間を割いて参加してきた新大綱策定会議のメンバーに何らの通知もなく、意見を求めていないのは、極めて不誠実であり、こうした決定は正統性を持ちえない。

(2)さらに、2030年の原子力比率を20~25%シナリオとした場合について、「『全量再処理』のメリットは選択肢?(15%)よりも大きくなり『全量再処理』政策が有力です」と書かれている。「全量再処理」政策は再処理の量が多くないと意味がなく、原子力比率35%の選択肢が消えた時点で、併用方式優先の書き方に改めるべきである。そもそもを言えば、こうした選択肢は限定的な条件の下で、それぞれの選択肢におけるコスト比較を行ったものにすぎない。「核燃料サイクルの選択肢について」の書き方では、原子力比率の選択肢に応じて、自動的に「全量再処理」「併用方式」「直接処分」が決まってしまうかのような誤解を与えかねない。こうした不十分な文書が出てしまうのは、新大綱策定会議など広いメンバーを集めた議論を経ていないからである。原子力委員会には再考を強く促したい。

(3)さらに問題なのは、「核燃料サイクルの選択肢について」の中で高速増殖原型炉(FBR)「もんじゅ」についても、原子力比率と同時に「研究開発」と「実用化」を自動的に選択するかのような提言がなされていることである。

現実は、高速増殖原型炉「もんじゅ」に関しては関連含めて約2兆円もの巨額の税金を投じながら事故によって15年間稼働しないままである。そうした中で、2012年6月19日付け毎日新聞において、3月8日の秘密会合において4つのモデルケースにおいて「併用方式+高速炉実用化中止」のシナリオが隠蔽されたと報じられた。もし秘密会合において、そうした意図的なシナリオ改ざんがあったとすれば、由々しき問題である。第三者による検証作業を行わないまま、FBRに関する政策選択肢を勝手に設定することは許されない行為である。しかも、新大綱策定会議では、文科省の選択肢説明があり、若干の質疑応答があっただけで、十分な議論が行われていない。第三者による検証作業とともに、公開のもとにきちんとした議論の場を設けるべきである。

(4)「核燃料サイクルの選択肢について」において「日本原燃の六カ所再処理事業は本格操業に向けて計画通り進めるのが適切である」との記述があるが、すでに計画から20年たっても稼働せず、また今後の具体的な見通しも立っていない。こうした状況で「計画通り」進めるということは文章として意味をなしていない。それは、巨額の失敗公共事業を、利害関係者が自己利害から国民(利用者)の電気料金負担のもとに「永続」させることを意味するだけである。これは一種の腐敗であると言ってよい。早急に、国民に与えた損失と今後の見通しを明らかにするために、日本原燃の経営財務に関して調査することこそが求められている。

以上の点に関して、近藤駿介原子力委員長および原子力委員会の見解を示すとともに、早急な改善措置を求める。

2012年7月3日
伴英幸
金子勝
浅岡美恵
阿南久


■2012/6/19 秘密会議に関する第3者検証と原子力委員会改革に関する要望書
 http://www.cnic.jp/1389

■新大綱策定会議奮闘記(9)原子力委員会は存続するか
 http://www.cnic.jp/1395