新大綱策定会議奮闘記(3)基本問題委員会も設置され、エネルギー政策の見直しへ

『原子力資料情報室通信』第499号(2011/11/1)より

新大綱策定会議奮闘記(3)
 基本問題委員会も設置され、エネルギー政策の見直しへ

 福島事故によって中断していた新大綱策定会議が9月27日より再開した。革新的エネルギー環境戦略の策定が関係閣僚からなる「エネルギー・環境会議」(以下、エネ・環会議)で行われることとなり、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で始まるエネルギー基本計画の見直しと共に、原子力委員会の大綱見直しが同戦略に反映されることから、再開することになったのだろう。福島原発10基が廃炉になることがほぼ確実であることから、「脱原発依存」ではあるが、脱原発に持ち込めるかは微妙だ。

 第31回原子力委員会で規制の在り方について意見を述べたときに原子力を推進してきた人たちに反省が見られないことを「戦犯」という言葉で、また再開策定会議でも、直ちに健康に影響がないと宣伝する専門家は「犯罪的」と批判した。未曾有の福島原発事故にもかかわらず、原子力を進めてきた人たちはいまだに原子力が必要と主張していた。彼らは「全く変わっていない」。目先の利害だけに囚われているのだ。

 新大綱策定会議は1年ほどかけて改定を進めるとのこと。とはいえ、他の2つの会議・委員会と矛盾のないように相互に打ち合わせながら進めるという。

 中心となるのはエネ・環会議で、同会議の資料によれば、今年中に基本方針を示し年度末までに戦略の選択肢をまとめ、春から国民的議論を展開し、来夏を目途に戦略を決定する計画だ。

 これに合わせて策定会議と基本問題委員会がそれぞれかかわっていく。この過程でコスト検証がエネ・環会議の下に設置されたコスト等検証委員会で行われることとなった。同会議より原子力委員会に核燃料コスト(プルサーマルサイクルと直接処分)、事故リスクコストの算定が依頼され、原子力委員会は核燃料サイクル等技術検討小委員会を設置してこれを進めることとなった。筆者はここにも関わることとなった。サイクルコストではすでに報道されているように直接処分コストがさらに有利となることが確実だ。事故リスクでは最新の原発における格納容器損傷リスクの確率を使おうとする声がある(事故リスクコストはkWhあたり0.01円のオーダーとなる)。これに対して私は、福島事故という現実をベースに算定(1円/kWhを超える)するべきと主張して、かなり緊迫した状況が続いている。孤軍奮闘の感があるが、一本にまとめると私の主張が消されてしまうので、コスト検証委員会への報告が仕事であることを理由に、複数の評価結果を報告する形に持っていきたい。

 福島事故の後、審議会に批判的な人間を加える動きがある。これは鉢呂吉雄前経済産業大臣の指示によるものらしい。基本問題委員会にも招かれ参加することとなったが、同委員会には策定会議でご一緒している阿南久全国消費者団体連絡会事務局長も加わった。実に歯切れよく脱原発を主張してくださる。ISEPの飯田哲也さんも入り、経済学者の大島堅一さんらも加わった。簡単ではないが、脱原発の選択肢が国民議論に乗ることを目指したい。

(伴英幸2011.10.19)


●新大綱策定会議奮闘記(2)
 http://www.cnic.jp/988

●新大綱策定会議奮闘記(1)
 http://www.cnic.jp/977

 

原子力資料情報室通信とNuke Info Tokyo 原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。
毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。
どちらの方にも、原子力資料情報室通信(月刊)とパンフレットを発行のつどお届けしています。